カルチャー

140円で琵琶湖一周!「大回り乗車」に挑戦したら滋賀の広さが身に沁みた

唐崎駅の切符

【琵琶湖一周大回り乗車/滋賀県】

いまになってみれば「140円で琵琶湖が一周できるんですよ!」と
安易に発言した自分がにくい。

すべては編集会議でのことでした。

「じゃあ、旅気分で車窓の景色を楽しんできてよ」と編集長に後押しされて、
足取り軽く琵琶湖一周電車の旅へ。

それが、こんな地味に辛い体験になろうとは。

肝心の絶景スポットで景色は見えず、
楽しみにしていた駅弁にもありつけずに地味に不運が続いた3時間。

そんな私の琵琶湖一周体験をみなさんへお届けします。

※2023年5月現在、最低運賃は150円です

140円の片道切符×2枚で可能!琵琶湖一周『大回り乗車』

車内の景色

琵琶湖を電車で回る『大回り乗車』をご存知ですか?

やったことある!という人も多いのではないでしょうか?
体力を使って自転車でビワイチしなくても、
電車で楽して琵琶湖が一周できると知る人ぞ知る電車旅。

片道の一駅分の切符を購入して、目的の駅と反対方面へ出発します。

比叡山坂本駅(路線図)

琵琶湖をぐるっと回って目的の駅に到着。
帰りの一駅分の切符を購入しすれば、合計280円で琵琶湖をきっちり一周できるのです!

・途中下車して改札を出ない
・同じ経路は1度しか通らない
・大都市近郊区間内に限る
・切符の有効期限は一日

このルールを守れば、140円の片道切符がぶらり旅切符に。
※JR西日本の「きっぷのルール」や、駅の窓口でルールをしっかり確認してから行ってください。

比叡山坂本駅

なんでそんなことするの?なんて思いますか?

車窓の外の移り変わる景色を眺めながら、
駅弁をいただいて、ガタンゴトンと揺れる電車に身をゆだねる。
余計なことは考えず、ただのんびり琵琶湖をぐるりと回る。

こんな楽しみ方ができるのは滋賀だからこそですよね?
そんな滋賀の楽しみ『大回り乗車』の魅力をお届けします!

…なんていうテンションで記事を進める予定でした。
それがなんとも言えない地味に辛かった体験に。

「140円で琵琶湖が一周できるなんて、きっと面白い記事になる!」
と、そんな容易い考えは見事に打ち砕かれるのです。

快晴の空のもと、いざ電車の旅へ!

唐崎駅の切符

春のぽかぽか陽気が漂う中、お天気も晴天でまさに電車旅日和!
今回は、JR湖西線「唐崎駅」がスタートです!
※乗車駅によって金額は異なります。

唐崎駅からの景色

駅のホームからいつもの慣れた景色を眺めながら、
わくわくで電車に乗り込みます!

山科駅(路線図)

まずは南へ、「山科駅」を目指します。

湖西線からJR琵琶湖線で折り返すには山科駅で乗り換えるのが
お馴染みのルート。

一度、京都府へ出るって、改めて考えるとなんか面白いですね!

電車に乗る楽しみの一つと言ったら、
一番先頭か最後尾に乗って線路の景色を見ること!

車窓からの線路の景色

先頭では、ぐんぐんと電車が突き進んで、トンネルを出たり入ったり!

減速して駅のホームへ入っていく様子が
車掌さん目線で見られるのも面白いですよね。

桜

琵琶湖線に乗り換えて折返し。今度は北上していきます。
「大津駅」ではちょうど桜が咲いていました!

膳所駅

「膳所駅」付近では、京阪電車の線路や駅もちらっと見えたり、
ささいな発見がちらほら。

この時点で一番先頭車両には人がパラパラと座っている程度。
みなさんどこへ行くんでしょうか?

穏やかな雰囲気の電車は、ゆっくりと走り出していきます。

瀬田川

「石山駅」を通り過ぎたところで琵琶湖を横断!

ボートがゆらりと進んでいくのも見えました。
いいやん!

太陽光パネル

やたらと大きい太陽光パネルが気になってカメラに収めます。

草津駅

「草津駅」でパタパタと人が下りていきました!
新快速電車との乗り合わせがあったようです。

草津駅乗り換え

乗っていた普通電車は出発までにまだ時間があったので、
一度ホームへ降りてみて少し駅の雰囲気を楽しむことに。

そしてそのまま、今度は最後尾の車両に乗ってみました。
これが、のちに痛い目を見ることに…。

苦難連続のJR琵琶湖線!電車旅の“魅力”ってなんだろう

篠原駅(路線図)

それから「栗東」、「守山」、「野洲」と各駅に停まっては
走り出してを繰り返します。

そして次に到着したのが「篠原駅」です!
よく新快速電車を利用する人は、野洲の次は「近江八幡」だと思い込んでいませんか?

普通電車だと、普段は通り過ぎてしまうことが多い駅の
雰囲気が見れるのも面白いですね。

篠原駅に来たことをカメラで撮ろうとすると…

篠原駅

ああ、ぶれました。

この時点でかなり気になっていたのですが、
一番先頭、最後尾の車両はホームでの停車時に
駅名標が微妙に見えない位置に停車するのです。

そこで、電車が発進して駅名標が見える瞬間に
撮ろうと思ったのですが、これがなかなか難しい。

次の駅でも、停車していた電車はゆっくりと動き出し、
そうそう!もう少し手前!
と思ったところで電車は加速。

安土駅

その結果、絶妙なブレ具合の写真に。

さらに電車の中からではホームの風景も上手く撮影できず、
やや焦りだします。

ですが、人の多い中心部の車両でカメラを回して
ほかの乗車客にご迷惑をかけるわけにはいきません。(それよりも気まずい)

誰にも迷惑をかけずに、ひっそりと琵琶湖一周を成し遂げるために、
引き続き最後尾で挑戦を続けます。

田んぼの景色

いつの間にか景色は田んぼに。
のどかな景色を眺めていると仕事であることを忘れてしまいそうです。

意外と琵琶湖からは距離があるんですね。

このあたりでもう一つ気になっていたことがあるのですが、
本日は晴れているのに、やや靄がかかっていること。

嫌な予感は増していくばかり。

山

山の景色も、すっきりしていたらもっと綺麗なんだろうなぁ。
この季節特有の“春霞”でしょうか。

そしてずっと前から気になっていたのですが、
いざこの大回り乗車を「面白く伝える」ことを目的に
電車に乗ってみると、とても難しい。

この時点でぶっちゃけると、この140円琵琶湖一周の魅力は

・電車に乗る中で移り変わる景色
・それぞれの雰囲気を持つ駅のホームの風景
・電車に揺られて進む、“乗り鉄”の楽しみ

畑の景色

外の景色は写真に残しても同じようなのが続いてしまうし、
景色の中にハッとする面白い建物などを見つけても
カメラを構えているうちに見えなくなることもしばしば。

乗っている立場だと景色だけでもわくわくするのですが、
それは第三者からすると、
「だから?」と思われることは分かっているのです。

そしてホームの景色は電車の中からだと、ほとんど映らない。
本当は駅ごとに雰囲気が違ってとっても面白いのです。

窓際の切符

車内の景色は同じです。

琵琶湖一周してきます!と言い出したのは自分であったけれど、
正直、取材となると全然楽しくありません。

次の駅はどんな駅?何が魅力?と考え、
電車の中ではそわそわ。

楽しむよりも、何とかして編集部に面白いネタを持ち帰る。
これに徹するばかり。

私がそんなプレッシャーと戦っているとはつゆ知らず、
電車は突き進んでいきます。

彦根駅

あれこれ考えているうちに「彦根駅」に到着。
彦根と言ったら、彦根城ですよね!

見れませんでした。
ですが反対側に近江鉄道が!

近江鉄道

普段見かけないのでちょっと嬉しくなりました。

湖北エリアに突入!ここでも不運の連続?!

米原駅

そして「米原駅」に到着。滋賀にとって米原駅は新幹線の停車駅。

米原駅

ここからなら名古屋へも新快速電車で1時間ほどで行けるんですよね!
私にはこの駅でもう一つ目的がありました。

電車旅と言ったらやっぱり駅弁!
「お弁当の井筒屋」さんが在来線のホームでも
売店でお弁当を売っているのです。

これも事前に情報収集済み。電車出発の待ち時間に売店へ向かいます!
前日から食べるメニューを決めていてたのでわくわく。

お弁当の井筒屋さん

ですが、ない…。
目的のお弁当が売り切れに。

滋賀っぽい駅弁を買って電車の旅後半を楽しむ!
という考えはここでも打ち砕かれます。

残っているお弁当もとても美味しそうだったし、
別の売店まで行けば目的のお弁当があったかもしれませんが、買うのを躊躇。

思ったより時間がなかったのです。

乗っていた電車が前4両の車両を切り離すとのこと。
後ろの車両はこの駅どまりなのです。

そういえば車内アナウンスが流れていたなと今になって思い出しました。
(これに関しては自身のミス)

米原駅(路線図)

さらにここから電車の数は一時間に一本の世界。
この後別の取材も控えていたため、乗り遅れるわけにはいきません。

そして一番後ろから4両目まではかなりの距離。

やばいやばい!早歩きしていたのがだんだん小走りに、
最後はややダッシュでギリギリ4両目の扉に駆け込みました。

そして想像以上の人の多さに黙ります。

席は補助席もすべて埋まっており、立っている人もたくさん。
みんな北へ?どこ行くの!?

人の多い車両へぎりぎりで駆け込んできたあとの周りの目が気になり、
何となく恥ずかしい気持ちに…。

ここからしばらく静かになりました。

人が多くあまり自由に身動きが取れず、
ひたすら電車は走っていきます。

長浜駅(路線図)

長浜駅付近では琵琶湖側に「長浜びわこ仏像」という
28mの巨大仏像が見られるという情報があったのですが、
人の間を縫ってカメラを構える度胸もなく、
巨大仏像は静かに通り過ぎて行きました。

虎姫駅

「虎姫駅」は外装が木彫なのだそうですね!
もちろん、電車の中からは見ることはできません。

さらにここからは新快速という名の各駅停車。

各駅に留まっていくにつれ、
電車の混雑も解消されていきます。

高月駅

滋賀県民にとって「たかつき」と言ったら「高月駅」ですね!

自然のど真ん中を走り抜けていくと、やがて余呉湖が見えてきました!

余呉湖

琵琶湖とはまた違う、もう一つの湖の美しさに
思わずカメラを構えます。(靄がかかってるけど)

すると、そばにいたご老夫婦が私の様子を見て、
綺麗な景色にうっとりして同じように写真を撮っていました。

その和やかな雰囲気に少しホッと優しい気持ちになります。

余呉駅

余呉湖を超え、トンネルを突き進んでいきます。

旅も終盤!靄が立ちこめる湖西線へ

近江塩津駅

琵琶湖の最北駅「近江塩津駅」に到着!
ここで湖西線に乗り換えて、今度は琵琶湖の西側を南下していきます。

駅を降りると自然に囲まれていて、空気が美味しい。
そして、長っ!!

近江塩津駅

ホームが長い!中心地点に立っていてまだ先がこんなにもあります!
ホームと線路がどこまでも伸びていくようです。

そしてすぐに新快速電車「姫路行き」が到着。

姫路行の新快速電車

この駅に停まるのは、ほとんどが新快速電車なのです。
そして湖西線へ入る新快速電車は
すべてが姫路まで連れて行ってくれるという意外な強者駅。

ここでも電車は1時間に一本。
乗り遅れると1時間待っている間に何も考えたくなくなりそう。

近江塩津駅からのトンネル

せっせと湖西線に乗り換えます。

駅を出発し、やがてトンネルへ。
そして、トンネルを抜けるとそこは…!

湖西線の景色

霧ですか?

海津大崎のあたりは開いた琵琶湖の景色が美しいことで有名ですよね。
ですがなんとももったいない景色…。

湖西線の景色

見事に琵琶湖と空の境目が見えません。

これを編集部にどう言い訳するか。さすがに再撮も考えました。
北と南でこんなにも天候が違うのかと滋賀の偉大さを思い知らされます。

マキノ駅

「マキノ駅」です!カタカナの駅名は全国でも珍しいですよね!
この町の旧名が「マキノ町」であったことから、
そのまま駅名になったそうですね。

そして同じく新快速という名の各駅停車。
さらにドアの開け閉めは手動なのです。

湖西線の景色

人の出入りもほとんどなく、穏やかな時間が流れます。

平和堂

平和堂が見えるとなんだか嬉しくなりますね。

近江今津駅

「近江今津駅」です。

安曇川

やがて安曇川を超えていきます。

北小松駅

「近江高島駅」を超え、「北小松駅」へ。
京都からの湖西線終電を寝過ごして、北小松で目覚めたときの
絶望は計り知れません。

そんな淡い経験を思い出します。

湖西線の景色

近江舞子あたりの琵琶湖の景色が綺麗です。

湖西線は琵琶湖との距離が本当に近くて、
天気の良い日なら琵琶湖を眺めていると目的地に着くくらい、
景色に飽きません。

特に北湖側だと琵琶湖の一番広くて深い景色が見られるので、
十分に見る価値があります。

湖西線の景色

琵琶湖の恵みを存分に受ける湖西線は、吹きさらしの位置を走ることで
暴風の日にはtwitterが炎上したりしますが
こんなに綺麗な景色の中を走ると考えると、どこか愛せてしまいますね。

琵琶湖大橋

だんだんと街並みに戻っていき、
琵琶湖大橋が見えたところでゴールが近づいてきました。

見慣れた景色が目に入り、無事に帰ってこられたことにホッと一安心。

比叡山坂本駅

「比叡山坂本駅」に到着したところで、
琵琶湖一周電車の旅は幕を閉じたのでした。

(乗車駅と同じ駅で降りるのはルール違反なので、今回乗車した「唐崎駅」の
一つ手前で降りました)

電車で琵琶湖を一周回りたいなら

今回やや運が悪いことが重なりましたが、
やっぱり琵琶湖は広いなぁっていうのと、滋賀の自然は場所によって全然違う。

それを改めて実感しました。

比叡山坂本駅(路線図)

走った距離は約170㎞。かけた時間は3時間ちょい。
今度は取材ではなく、なんでもない日にもう一度出かけてみたいと思いました。

湖西線の景色

ぜひ挑戦したいという人は、しっかりルールを守って
のんびり時間に余裕を持って下さいね。
ちなみに駅弁は予約可能だそうです。

駅名標をコンプリートしたいという人は、
中心に近い車両に乗るか、各駅下車することをおすすめします。

今年のゴールデンウィークは雨予報もありますね。

どこに行こうかと迷ったら、のんびりと電車に揺られて
車窓に浮かぶ滋賀の自然に癒される。

そんな一日もありなんじゃないでしょうか。

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