【美の滋賀trip!2019#02】
「あ、懐かしい!」「あそこ覚えてる?」
そんな声があちこちから聞こえてくる会場。
生活に欠かせなかった民具や、町角に貼られたポスターなど
その町を愛した人々が残した記録から、
記憶の片隅に残っていた懐かしい町の風景が蘇ります!
旧高島町と木之本町。
いまも歴史を色濃く残す2つの町へ、みんなで一緒にタイムトラベルしてみませんか?
地域に残る古い映像をみんなで共有し、
未来へとつなぐ活動を続ける「おうみ映像ラボ」の上映会が、
今年は湖西と湖北の2つの町で開かれます。
【10月19日】湖西編・高島民具クラブが届ける町の宝石
湖西編の会場となるのは、シェアスペース「白湖(はこ)」。
江戸時代には大溝城の城下町として栄えたこの辺りには
古い町並みや水路がいまも大切に受け継がれています。
そんな町にそっと溶けこむように誕生したこのお店は、
カフェやコミュニティスペースとして地元の人に愛されています。
今回上映されるのは「高島民具クラブ」が町の記録として精力的に製作してきた映像。
地域で受け継がれてきた行事には人々の感謝や祈り、慰霊の想いが、
民具には先人の知恵が込められています。
時代とともに変化したり、姿を消してしまったものもありますが、
こうやって映像で残されていると、私たちも当時の様子を見ることができます。
これは、道路の拡張工事に伴い、建物をそのままの状態で移動させる曳屋作業の様子。
この辺りでは曳屋作業を「ブマヤ」と呼んでいたそう。
こちらは、「タニシ」または「サザエ」と呼ばれていた民具。
内湖から水を汲みあげるために使われていた道具です。
グルグルと回して使うもので、使い方を再現した映像を見ることができます。
村の鍛冶屋の作業場など、
後世にも伝えたい職人の技術なども上映される予定。
日常生活の中ではほとんど見かけることもなくなった民具ですが
町の歴史を今に伝える大切な宝物です。
「湖西編・高島民具クラブが届ける町の宝石」
日時:2019年10月19日(土) 14:30~16:00 上映+お話会
場所:白湖(はこ)(高島市勝野1229)
料金:無料
定員:25名 ※事前予約なし・先着順
内容:1976年発足の「高島町文化協会民具クラブ」が制作した、高島の歴史や自然、知恵や技を撮影したビデオ作品を上映。「ブマヤ」「揚水機実演展示」など。
【11月10日】湖北編・田辺宗一郎の8ミリフィルム映像とデザイン
湖北編の会場は、木之本町で1965年頃まで営業していた
レトロな映画館「日吉座」です。
木之本町出身の美術教師・田辺宗一郎氏が撮りためた
100本あまりの8ミリフィルムから、数本が上映されます。
田辺宗一郎といえば、地元では有名な菊水飴のポスターや
地蔵せんべいの包装紙などをデザインした人物。
伊香・虎姫・伊吹高校の校章も手掛けているので、
彼の名前を知らなくても、作品は馴染みのあるものかもしれません。
田辺氏が残した映像からは、町を愛する気持ちも伝わってきます。
「湖北編・田辺宗一郎の8ミリフィルム映像とデザイン」
日時:2019年11月10日(日) 1回目:13:00~14:10 2回目:15:00~16:10
※各回とも上映+お話会、2回の上映は同内容、各回20分前より開場
場所:日吉座(長浜市木之本町木之本1240)
料金:無料
定員:各回80名 ※事前予約なし・先着順
内容:伊香・虎姫・伊吹高校の校章、地蔵せんべいの包装紙や余呉の菊水飴のポスターなどのデザインを手掛けた、木之本出身の美術教師・田辺宗一郎氏が残した100本あまりの8ミリフィルムからデジタル化した映像を数本上映。当日は、JR木ノ本駅にSL北びわこ号も到着する。
地域の魅力は様々ですが、どれも短期間で出来上がったものではなく、
長い年月を重ねて培われてきたもの。
おうみ映像ラボの大藤さんは
「記録された映像を通して先人の思いや考え、世の中への視点が伝わってきます」と話します。
当時を知る人はもちろん、その時代を知らなくても、
記憶の共有や歴史を知る入口のひとつとして楽しんでみてください。
※「美の滋賀trip!」は『しがトコ』が企画・取材を担当し制作しています。この記事は、滋賀県公式のポータルサイト『美の滋賀trip!』でも公開されています。