【COMMUNE/滋賀県彦根市】
さらっと着られて、身体になじむ。
そのちょうどよさと着心地のよさから、
日本中にファンがいるという
町のシャツ屋さん「COMMUNE(コミューン)」。
前回の取材から4年たった今、琵琶湖沿いの静かな集落に
自宅を兼ねた新店舗を構えられたとの情報が!
新しい場所でのものづくりはどうですか?
なにか心境の変化があった?などなど
質問をたくさん用意して、店主の久米さんにお話を伺ってきました。
思い出の詰まった祖父母の家をお店に
COMMUNEは、型紙作りから裁断、
ボタン付けまで1着ずつ手作業で仕上げられる
丁寧なものづくりが人気のシャツ屋さん。
店主の久米さんは、生まれも育ちも滋賀県彦根市。
東京の服飾専門学校を卒業後、
シャツメーカー勤務などを経て
2009年、彦根城の近くにショップ兼工房をオープンされました。
それから約10年。
観光客でにぎわう街の片隅でシャツをつくり続けるうちに、
自分はこの場所に合わなくなってきているのかも、
暮らしながらお店もできる場所はないかな…
という思うようになり、2020年5月、琵琶湖沿いにある小さな集落に
お店と住居を兼ねた拠点を構えられました。
「ここはもともと祖父母の家が建っていた場所。
この景色は、僕が小さい頃から変わっていません。
夏に親戚がおばあちゃんちに集まったら、
従兄弟と一緒に水着に着替えてそのまま琵琶湖に走って行ってました。
だから仕事中も、窓から見える景色が懐かしくて」
琵琶湖の見える工房スペースは、
すぐそこに道路が走っているとは思えないほど静か。
近所の野良猫がのぞきに来ることもあるそうで、
穏やかな環境でのものづくりは気持ちがよさそうです。
静かな日の琵琶湖をイメージした「Shibo」シリーズ
新店舗に移って嬉しかったのは、
広くなったのでシャツはもちろん新しく始めた「Shibo」シリーズを
ちゃんと見てもらえるスペースができたこと。
「僕がこれまで関わった滋賀県の人達で、どんなものがつくれるだろう」
そう思ったのがShiboを始めたきっかけで、
生地づくりから縫製に至るまですべて滋賀県の人が手掛けているそうです。
表面に細かなシワのある生地は、
滋賀県高島市にある機(はた)屋さんにお願いして
つくってもらったオリジナル。
「僕が思っている“いいシワ感”を機屋さんに伝えるのが難しくて。
ある日ふと思いついて『静かな日の琵琶湖の波のような感じ』
と伝えたら、機屋のおじさんが『こんな感じやな』って
すぐにわかってくれたんです。
滋賀ってすごいなと思いました」
いつも琵琶湖を見て生活している人同士だからわかる
共通言語と出会う瞬間。
同じ地域で暮らす人達でものづくりをする喜びは、
こういうところにもあるんですね。
ものづくりに対して自由になれた
4年前の取材から今までの、心境の変化についても聞いてみました。
「前は、自分で自分に制限をかけていたんですよね。
“自分はシャツ屋だ”という意識が強くて。
それがShiboを作ったことで、今までやらなかったことを
このシリーズでやってみようと思うようになりました。
おかげで自由になれたのは、僕にとってすごくいい変化だったと思います」
最近は、全国各地の在宅ワークをする人から
問い合わせが増えているのだとか。
家で過ごすのに着心地がよく、そのまま出かけることもできる洋服は
これからの時代のスタンダードになっていくのかもしれません。
「長い目で見て、ずっと継続していけることが大事」
という久米さん。
つくり手の続けていきたいという思いをたて糸に、
人とのつながりをよこ糸に、
織り継がれていく物語の始まりを見たような感覚です。
琵琶湖のようにどこにもない、でもそこにあるだけでほっとするような
ファッションが滋賀県から生まれていく。
久米さんのお話を聞いていると、そんな未来が楽しみになりました。
(文:林由佳里 写真:鎌田遥香)
「COMMUNE」を地図でみる
名神高速道路「彦根IC」から車で14分!
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『COMMUNE』の店舗詳細
- 住所
- 滋賀県彦根市大藪町1835【→地図】
- 営業時間
- 午前11時~午後7時
- 定休日
- 水・木曜日(臨時休業等はHPのNEWSをご確認ください)
- 電話番号
- 0749-26-2027
- 公式サイト
- COMMUNE
- Shibo
- https://www.facebook.com/COMMUNE-218862704815296/
- インスタグラム
- https://www.instagram.com/communeworks//