カフェ・お店

ガタンゴトン京阪電車が横を通る。関蝉丸神社下社に隣接する本格割烹『佳山(かせん)』

【佳山(かせん)/滋賀県大津市】

万葉集や古今集にも歌われた、交通の要衝「逢坂」。
“これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関”の
百人一首で有名な蝉丸を「歌舞音曲(かぶおんぎょく)の神」として祀った
関蝉丸神社下社の隣に「佳山」はあります。

踏切と鳥居
京阪京津線上栄町から徒歩約5分、JR大津駅から徒歩約7分。
深い歴史と文化の面影を色濃く残すこの地で、古民家を改修し、昨年7月10日にオープンした「佳山」。
記念すべき一周年のタイミングで、だしが薫るお昼のコースをいただいてきました。

窓からは鳥居と京阪電車。奥様のこだわりのつまったレトロな店内

看板

看板の「kasen‐佳山」の文字は、京都のデザイン書道家・臼井彰さんの作で、
「第19回日本デザイン書道大賞」で入選!お店に入る前から素敵な空間が広がります。

鳥居と電車

「地元でお店を開きたいと物件を探していた時、2階の窓から見える
鳥居と京阪電車に惹かれました」と店主の安江洋造さん。
電車が通る際に窓際からの風景をスマホで撮影するお客さまもいました!

2階客席

築80~100年の古民家をリノベーションした店構え。
お店の扉を開けてすぐに目に飛び込んでくるレトロな飴の缶・ジュースの小瓶。
時代を感じさせる小窓、改修前からあった洗い台・・・。

どこか懐かしく、でも新鮮でおしゃれな店内は接客を担当する奥様・純代さんの
こだわりが詰まっています。
「京都の古道具やさんで出会った好きなものに囲まれています。
懐かしく落ち着く雰囲気で本格的な割烹を楽しんでもらえたら」と純代さん。

地元・大津の一品や調味料を取り入れた和食

料理全体

川端康成が愛し、かの魯山人も「うまいものを食うなら浜作へ行け」と
言ったという京都の名割烹「浜作」で修業した安江さん。
おすすめの懐石コース(2700円・要予約)はその時々の滋賀の食材を生かし、
丁寧に作られたお料理の数々。繊細で優しい味に体が喜び、ほぐれていきます。

先付

この日の先付はゴマ豆腐とちゅるっとしたじゅんさいがマッチした水無月豆腐。
マイクロトマトの酸味もアクセントです。

向付

鯛の昆布じめを割りポン酢でいただく向付。

椀物

だしが体に染み入る椀物は、海老しんじょうと焼きナスが存在感を発揮しています。

炊き合わせ

ガラスの器が目にも涼しい冷やし炊き合わせ。小かぶら、新さつまいも、オクラ、なんきん、
トマト、あぶり貝柱に旨味が凝縮されただしのゼリーが絡む逸品。

焼き物

カマスに地元・菱屋町商店街内に店を構える「八百与」の「長等(ながら)漬け」を刻んで詰めて焼き上げた焼き物。
野菜などを塩漬けした後に糠に漬け、その後に酒粕で漬け込むという「長等漬け」の甘味と
下にしかれた土佐酢の優しい酸味がカマスの塩焼きをより一層、美味しく引き立ててくれています。

お店の名物に・・・!?おだしたっぷり出し巻き

ごはん・だしまき

お腹の最後を〆てくれるご飯はお店近くのお米やさんおすすめの長浜産コシヒカリ。
やや水分を多めに信楽焼きの土鍋で炊くご飯は、甘味と粘り気があって
「あ~やっぱり日本人で良かった~」と感嘆する美味しさ!!

留め椀の白味噌汁は「昨年の7月にオープンし、赤味噌の留め椀でスタートしたのですが、
冬に白味噌をお出ししたら評判が良くて、通年白味噌になりました」と安江さん。
地元・丸屋町商店街外れの「九重味噌」の白味噌を使ったコクのある上品な甘さの白味噌汁は格別です。

出し巻き調理

「ごはん・留め椀・香の物」と思いきや、一緒に出てくる「出し巻き」。
「出し巻きはみんなが大好きな一品だと思います。実はこれが名物になればな~とごはんと一緒にお出ししています」と安江さん。
この出し巻きが、美味しいおだしがたっぷり溢れ出て、
ほわほわで~たまりません。もうご飯、おかわりします!!

水物

甘いものは別腹!バニラアイスに梅酒のゼリーをかけた水物。
2つの甘味と食感の違いで、最後まで舌を楽しませてもらいました。

「佳山」に込められた思い

お二人

「『佳山』は「佳(よ)い山」と書きます。いい(よい)山は時代が変わっても
そこにあって価値が変わらない。そういうお店でありたいし、
そういうお料理を提供し続けたいです」と安江さん。

安江さんの料理やお客様に向き合う真摯な姿勢に感銘を受けて、
おだしの旨味の余韻に浸りながらお店を後にしました。

(写真・文 安部愛子)

記事公開日:2019年8月29日/最終更新日:2021年6月14日

『佳山』を地図でみる

JR大津駅から徒歩 約7分 京阪京津線上栄町から徒歩約5分

滋賀県大津市逢坂一丁目14-8

→大きい地図で見る

『佳山』の店舗情報

住所
滋賀県大津市逢坂一丁目14-8(→地図
電話番号
077-576-8458
定休日
水曜日、木曜日昼
営業時間
11:30~15:00(LO/14:00)
17:30~(予約制・最終入店20:00)
料金
コースは昼2,700円、夜7,020円(要予約)ワンプレートランチ1,296円
駐車場
2台
インスタグラム
https://www.instagram.com/kasen___sumi/
しがトコ採用情報

関連記事

  1. 【移転】ちゃんとしてるのに普段着になじむ!シャツ職人さんがつくる…
  2. 八幡堀のほとりにある上品な町家カフェ『art.cafe 氵(さん…
  3. 店内まるごとナッツ100%!歴史ある酒蔵跡を再生したナッツ専門店…
  4. 自分で淹れる”サイフォン”が理科の実験みたいに楽しい路地裏の『ふ…
  5. 滋賀県初!新しいスタイルの”ボルダリングカフェ”が彦根に誕生!
  6. 夏限定バーベキュー!湖畔ホテルのプールサイドで“近江牛”をゆった…
  7. 「揚げピッツァ」のモーニングとモチモチ全粒粉ピザがおいしい守山の…
  8. 空気がおいしい高島市に登場!『発酵』と『水』がテーマの体よろこぶ…
滋賀を自慢したくなるカレンダー2024 ご注文受付中
PAGE TOP