【鯖美庵(さばびあん)まつり/滋賀県高島市】
滋賀の最西端に位置する高島市朽木は
北は福井、西は京都に繋がっています。
その昔、福井の若狭湾から朽木を通って京都へ至る
「鯖街道」を、行商人は歩いて鯖を運んでいました。
そんな朽木の歴史や文化を守り、伝えるお祭り
『くつき鯖街道 鯖美庵まつり』が11月4日(土)に
開催されました。
今年で25回目を迎えたこのお祭り。
朽木自慢の“うまいもん”を揃えた屋台市に、
行商人を再現した「鯖街道行商ガールズ」が登場したりと、
美味しいと楽しいが揃った企画が満載!
鯖街道でまさに鯖づくし!
『くつき鯖街道 鯖美庵まつり』へ取材に行ってきました。
主役はやっぱり鯖寿司!鯖寿司好きは必見です
会場は鯖街道の中間地点に位置する「道の駅 くつき新本陣」。
日曜日と祝日には特産品が並ぶ朝市が開催され、
地元の人はもちろん県内外からも人が集う、この町の市場です。
「特設うまいもん屋台市」には、朽木の特産品がずらり!
地元のお店もこの日のために、腕をふるって屋台を出店します。
まさに朽木じゅうの“うまいもん”が勢揃いしているんです。
それでもやっぱり、主役は「鯖寿司」!!
朽木ではお祝いの席や法事など、人が集まる場に並ぶ、
大切な郷土料理の一つです。
取材陣が驚いたのは、鯖寿司にも
種類がた~くさんあるということ!
まずは定番の鯖寿司。
焼き鯖寿司もあります。
巻き寿司スタイルは初めて見ました!!
鯖寿司は高価なので、なかなか食べ比べができないもの。
それを贅沢にできてしまうのも、この屋台市の魅力!
人気店の「朽木旭屋」さんの鯖寿司がお得に買えちゃうことも!
鯖の分厚さ、調味料の配分だけで味が大きく変わるそうで、
「お店によって味はぜんっぜん違いますよ~。
うちのを食べてみてよ!」と
それぞれ自慢の鯖寿司をおすすめしてくれました。
鯖寿司好きの取材者にとっては楽園のようなこの屋台市。
地元の人たちからは、
「鯖を食べすぎて、むしろもう飽きちゃってます!」という
ぶっちゃけ話も聞こえてきましたよ。
鯖寿司だけじゃない!朽木じゅうの“うまいもん”が勢ぞろい
インパクト大な見た目の「鯖焼き」ブースからは
こんがり良い匂いが漂います!
美味しそうに並ぶ名物の「栃餅」や、
特産品を活かしたスイーツも。
「寒い時期だから、温かい食べ物を用意しました!」
という心遣いもうれしいですね。
地元の人が心を込めて、朝から丁寧に仕込んだお料理が
ずらりと並ぶ屋台市。
自慢の味で、心もお腹も大満足です!
昔の“鯖売り歩き”を再現した『鯖街道行商ガールズ』の登場
その昔、若狭湾でとれた鯖を歩いて京都まで
運んでいたことで有名なこの鯖街道。
鯖を塩で締めて丸一日かけて歩いていくと、
翌朝京都に着く頃にはちょうどいい味加減になっていたのだとか。
このお祭りでは、その伝統を受け継いで昔の鯖売りのスタイルを再現。
今年は現代風にアレンジした「鯖街道行商ガールズ」が登場しました!
大谷大学の学生たちが行商人スタイルで、
カメラにもばっちり笑顔で応えてくれました!
鯖売りに使っていたという籠には、
今回は鯖カレーパンと栃餅あんパンが。
ここでも朽木名物が登場!
「鯖街道行商ガールズ」の売り歩きがスタート!
みんな興味津々。あたたかい目で見守ります。
気になる鯖カレーパンを受け取ってみると、
朝にできたばかりらしく、ほんのり温かい!
この鯖カレーパンは、地元ではとっても有名な
パン屋さん「ひだまり堂」で人気の商品なのだそう。
カレーパンにも鯖を入れるとは斬新!
いったいどんな味がするのでしょうか。
中には鯖の身がゴロっと入っていて、
カレーの具としてしっかり馴染んでいました。
気になるお味は、“鯖の味が強いカレーパン”という感じ。
鯖の旨みが効いていて美味しい!
他にも『鯖美庵まつり』はお楽しみ企画が満載。
バルーンアーティストのballoon noah(バルーン ノア)さんは、
音楽に合わせてあれよあれよとお花や人形を作り出し、
子どもたちには大きな笑顔が!
「丸太早切り大会」や音楽ライブなどで、
個性的なイベントも開催されました。
地域に根付き、続いていく。この町の『鯖美庵まつり』
このユニークなお祭りを主催しているのは
「朽木・群・ひとネットワーク」の皆さん。
朽木が高島市に合併した2005年前後に、
地元の人を中心に結成された団体です。
役員の清水勝徳さんにお話を聞きました。
昔に比べると、鯖街道の存在やその歴史を知らない人も増えてきました。
そこで、鯖街道の歴史を伝え、さらに朽木の文化と魅力を知ってもらおうと
始めたのが、この『鯖美庵まつり』なのだそう。
“鯖美庵(さばびあん)祭り”というちょっと変わった名前の由来は、
フランス語の「サバビアン」。
軽い挨拶を交わす時に使う言葉だそうです。
そこに朽木名物の鯖をからめて、
“鯖美庵”と命名だなんてオシャレですね!
当初は特産品の販売がメインでしたが、
年を重ねる毎に少しづつ面白い企画を増やしていき、
今のスタイルになっていきました。
賑やかな声がする方を見ると、
このお祭りにボランティアとして
朽木中学校から集まった34名の学生たちが。
学生たちもアイディアを出して出店を企画するなど、
この町のたくさんの人たちの工夫や支えが垣間見えます。
とは言っても、町の人口が少なくなってきたこともあり、
ここ数年はお祭りの規模が少しずつ小さくなってきているのだそう。
「来年もその先も、このお祭りをずっと継続していけたらいいな」
と話す清水さん。
「昔のようにもっと活気あるお祭りにしていきたいけれど、
地元の人たちでつくる“みんなのお祭り”なので、無理のない範囲で」
と笑顔を見せてくれました。
自然豊かな朽木を駆け抜ける、歴史の深い鯖街道。
“京は遠ても十八里”といわれていたように、
鯖街道があるから、若狭湾から京都は身近な存在でした。
今もこの道は、県外からの車が多く走ります。
当時の旅人が歩みを進めたこの道は、
これからも町の活性化を支えてくれるかけがえのない道です。
地元の人たちのたくさんの支えと温かさに、
そして歴史にも触れることができる『くつき鯖街道 鯖美庵まつり』。
来年はどんな企画で楽しませてくれるのでしょうか。
ぜひ来年は、訪れてみてくださいね。
(写真・文:安積里沙)
『くつき鯖街道 鯖美庵まつり』を地図でみる
道の駅 くつき新本陣で開催!!
→大きい地図で見る
『くつき鯖街道 鯖美庵まつり』のデータ
- 会場
- 道の駅 くつき新本陣(滋賀県高島市朽木市場777)
- 開催日
- 毎年11月上旬
- 開催時間
- 9:00~15:00
- お問い合わせ
- 0740-38-2331(高島市役所朽木支所)
- 公式facebookページ
- くつき鯖街道 鯖美庵まつり公式facebookページ