カフェ・お店

白色に込められた思い。信楽の窯元が営むギャラリー&ショップ『shiroiro-ie』

壁の棚の白たぬき

【shiroiro-ie/滋賀県甲賀市】

壁や棚、太い梁、信楽のたぬきさえも。
あらゆるものが”白色”に染められた『shiroiro-ie(シロイロノイエ)』。

見慣れたものがただ白色である。
それだけで、どこか不思議な非日常へ誘われるような感覚が味わえます。

滋賀県甲賀市にある『shiroiro-ie』は、
信楽の窯元「庄左衛門窯 松庄」の営むギャラリー&ショップ。

そこには、確かな目でセレクトされたさまざまな作品が並び、
その豊かな個性をゆっくりと楽しむことができます。

あらゆるものが白色に染まった空間

入口たぬき
お店に到着し、ぱっと目に飛び込んできたのは信楽のたぬき。
それが…なんと真っ白!!

「おこしやす」とほほえむような口元と、
くるりと愛らしい目で私たちを見上げています。

見慣れた信楽のたぬきが、白い。
そのギャップが、なんとも新鮮でかわいらしい!
お店に入る前から、さっそく”白色”が心をとらえます。

壁際の棚
中に入ると、そこはまさに白の世界。
美しくモダンな店内に、一瞬ここが信楽であることを忘れそうになります。

二階
ギャラリーは2階にも続きます。
こちらには、思わず手に取りたくなる、優しい風合いの作品が。

うさぎもちつき
※編集部撮影

まるで、絵本の一場面を切り取ったような作品も。
思わず笑みがこぼれます。

窯の温度計
これも、作品…?見ると正体はなんと”温度計”!
場所によって異なる窯の中の温度が、この曲がり具合で分かるのだとか。

窯元のギャラリーだからこその、”職人道具”との出会い。
「お土産におひとつ、どうぞ」の言葉が添えられています。

滋賀県立大学の古民家再生プロジェクト

二階の梁
この建物は、もとは窯元松庄の社宅として使われていた民家でした。

空き家となったところ、2008年”古民家再生プロジェクト”として、
滋賀県立大学の学生たちによって、今の姿へ生まれ変わりました。

お風呂
そんな”暮らしの名残”ともいうべき、お風呂も残っています。
蛇口や湯船の栓まで、白一色!

そこにあるはずの生活感がすっぽりと抜けている
不思議な感覚は『shiroiro-ie』ならでは。

完成まで二年。”白色たぬき”がうまれるまで

ハートたぬき
※編集部撮影

入口でも出迎えてくれた、白いたぬき。
完成まで二年の歳月がかかった、思いのつまった作品です。
製作中には、「伝統的な信楽のたぬきを、白にするなんて」という声もあったそう。

名入れたぬき
しかし、いざ販売されるとその愛らしさが多くの人の心をとらえ、
たちまち大人気に。

たぬきにペイントをほどこす”名入れオーダー”のイベントでは、
なんと一度に50~60人からのオーダーが入ることも!

小さなサイズは、マンションに住む人に好評なのだとか。
新居祝いなど、お祝いの気持ちを込める縁起物としてピッタリの贈り物です。

お客様のために。窯元同士で”得意”を紹介しあう

奥田香代さん
この日、私たちを迎え入れてくれたのは、奥田香代さん。
庄左衛門窯 松庄のおかみさんとして、うつわづくりに携わりながら
『shiroiro-ie』で作品を販売しています。

「信楽の窯元同士、仲はとてもいいです。
それぞれの窯に”得意”があるので、お客様の要望を聞いて、
マグカップならあのお店、花瓶なら…と
お互いに紹介しあっているんですよ」と奥田さんは話します。

スカーレットポスター
2019年秋。NHK朝の連続ドラマ『スカーレット』放送にあたり、
窯元散策路のwa(信楽窯元有志で作った会)で集まり
”スカーレット会議”がおこなわれたそう。

動きやすい人の流れや、商品の価格のことなど、
訪れる人たちが楽しく信楽をめぐれるように話し合い、
観光客の受け入れ体制を整えているために力を尽くしています。

白色に込められた思い

壁の棚の白たぬき
※編集部撮影

ところで…なぜ、この場所を白色に?
ここにきたら誰もが抱く疑問を、奥田さんに尋ねてみました。

「白は”いちばん基本の色”、”もとの色”。
オーナーが大切にしているこだわりの色なんです」

何もまじらない。基本のこと。
いつも心に留めておきたい、大切なことですね。

カーテン揺れる窓際
”もとの色”である、『shiroiro-ie』の白。
それは、白いうつわの”個性”を引き出し、
やさしい風合いの作品のあたたかさを引き立たたせる。

ここにある作品たちが、整然と並びながらも
どこかゆったりと見えるのは、
そんな”もとの色”に包まれた安心感からかもしれません。

また来たくなる!”足跡のしかけ”

足跡
※編集部撮影

お店を出て駐車場へ向かう道。
ふと見ると、地面に白い足跡が!なんともハッとする、素敵な”しかけ”です。
次に来るときは、この足跡をたどってみようかな。
そんな気持ちがわいてきます。

『shiroiro-ie』は、最後まで”白色”に魅了される、素敵な場所でした。

<写真:若林美智子 文:土岡菜摘(しがトコ編集部)>

記事公開日:2019年11月2日/最終更新日:2021年6月14日

「shiroiro-ie」を地図でみる

庄左衛門窯 松庄の敷地内

shiroiro-ie

→大きい地図で見る

「shiroiro-ie」のデータ

住所
〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野645【→地図】
営業時間
11時~17時
営業日
月曜日~土曜日
電話番号
0748-82-3773
公式サイト
https://onlineshop.shiroiro-ie.com/

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