【vokko/滋賀県彦根市】
扉の中にひっそりと素敵な世界を閉じ込めているかのように、
琵琶湖のそばに佇む印象的な建物。
滋賀県彦根市にある『vokko(ヴォッコ )』は、
滋賀では珍しい北欧の雑貨が並ぶお店です。
「北欧は自然と街の距離感がちょうどいいんですよね」と
その魅力を語る店主の巽 健司さん。
北欧で買い付けてくるのは、
有名なARABIA社のヴィンテージ品から、
無名の掘り出し物までさまざま。
店内には、はるばる海を超えてやってきた雑貨と、
日本で出会った丁寧に作られたモノが仲良く並び、
オリジナルの空間が広がります。
奥のカフェスペースでは、北欧の器でこだわりのコーヒーと、
お手製の季節のスイーツを。
ここには何時間でものんびりと過ごしたくなる空間と、
北欧の街をめぐる素敵な物語がありました。
レトロなお店の中に、心あたたまる雑貨がずらり
琵琶湖の東側を走る湖岸道路を北上していくと、
趣あふれる小さなお店を発見。
滋賀でも人気の高い、北欧雑貨が並ぶお店『vokko』です。
さっそくわくわくしながらお店の入り口へ向かいました。
取材に訪れたのは12月だったため、
素敵なリースが出迎えてくれました。
「皆さんにゆったりと過ごしてほしいから」と本来は撮影禁止の店内。
取材ではオープン前の時間にお邪魔して、洗練された北欧雑貨と
店主のセンスが光る店内を撮影してきたので、ぜひご覧ください。
扉を開けると、レトロな外観と一変して、
店内は真っ白な壁で明るくスッキリとした印象!
そこに丁寧に並べられているのは、お洒落な雑貨や
冬物の洋服たち。
どれも落ち着いた色目、優しい色合いのものばかりで、
見ているだけでほっこり心も温まるようです。
決して大きくはない店内ですが、たくさんの雑貨が
程よい距離感を保っていて、とても心地の良い空間です。
北欧雑貨と日本のモノ。こうやって混ざり合って並んでいると、
お互いが良く馴染んでいて、それが一つの文化になっているようです。
こちらに並んでいるのは、植物から作られたアクセサリー。
「商品」というよりも「作品」のように展示されている姿に、
見ているだけで楽しい気持ちになれます。
こちらはリトアニアの「バースデーキャンドル」。
すべて手作業で作られていて、
蜂蜜が原料なのでケーキにそのまま刺せるんです。
キャンドルの芯がカラフルで可愛らしいので、
火をつけるのがもったいないくらい。
人から人へと渡る、魅力的な北欧のヴィンテージ食器
お洒落な雑貨のほかにも、あたたかい色合いの食器に目を奪われます。
これらの多くはヴィンテージ品で、店主が年に2~3回買い付けに訪れる
北欧のアンティークショップやフリーマーケットで探してきたものです。
ヴィンテージといってもとても状態が良く、
色も柄も洗練されたものばかり!
これにはちょっとした素敵な理由があります。
1950~70年代に使われていたものですが、
今も綺麗な状態のまま残っているのは、
前の持ち主が大切に使っていた証。
“北欧の人は家具や食器をあまり捨てないそうです”
ここで聞いたその言葉がとても印象に残っています。
大切に使い続けて、使わなくなると捨てるのではなく、
お店やフリーマーケットで必要としてくれる別の誰かのもとへ。
そういう考えが、しっかりと根付いているのだとか。
自分が大切に使っていたものが、また別の誰かの大切なモノになる。
そうやって続いていく物語を想像すると、幸せな気持ちになれますね。
こちらはフィンランドやスウェーデンのカップアンドソーサー。
私たちが見慣れているものに比べるとちょっと小ぶりです。
北欧はとても寒いから、大きなカップに飲み物をいれておくと
最後の方には飲み物が冷めてしまいます。
というわけで、温められたポットから小さなカップに何度か注ぎ、
体を温めながらゆっくり楽しむのだとか。
食器ひとつにも、北欧の国々の文化や伝統が垣間見えるのも
大きな魅力ですね。
買い付けの時の基準を聞いてみると、
“夫婦二人ともが素敵だと思ったものを買う”
これが決まり事なんだとか。
「どちらか一人がだめと言ったら、絶対に買わないんですよ」
と店主は優しい笑顔を見せてくれました。
有名無名にこだわらず、二人ともが素敵だと思ったものを選ぶ。
だからこそ人を惹きつける魅力的なものが見つかるんですね。
北欧食器で味わうコーヒーとお手製のケーキ。琵琶湖畔で過ごす贅沢な時間
お店の奥には、シンプルなカフェスペース。
大きな窓から外の光が優しく射し込みます。
カウンターの他に4人席も。
すっきりした木製のテーブルも、個性的な椅子も、
その不揃いさが独自の空間を生んでいるようです。
人気の窓際席には、店主の知人に作ってもらった
こだわりの椅子が並びます。
こちらでは、外の景色をのんびり眺めながら
一人でゆっくり寛いで行く人も多いそう。
こちらが店主の巽 健司さん。
雑貨の販売は主に奥さんが担当しており、
コーヒーを淹れるのが巽さんの担当です。
のんびりとした店内に漂うコーヒーの良い香り。
カウンターの前に並ぶ素敵なカップを見ておや?と思いました。
そうです!カフェスペースで使うカップやお皿にも
北欧の食器が登場。
色とりどり、それぞれ形も模様も個性があって、
まるでお洒落なインテリアのように並んでいます。
お客さんの雰囲気に合わせて巽さんが選びますが、
「このカップにしてください!」
というお客さんからのリクエストもあるのだとか。
カフェスペースではこだわりのドリンクと、季節のケーキがメインメニュー。
「vokkoブレンド」と「洋ナシのタルト」をいただきました。
ケーキは奥さんのお手製で季節によって変わります。
vokkoブレンドはコーヒーだけでも飲みやすく、冷めても美味しいようにと
オリジナルでブレンドしてもらったものだそうです。
こんな可愛らしい食器に乗って運ばれてきたら、
これだけでお茶の時間がとっても嬉しい気持ちになりますね。
「一人でも気兼ねなく入れて、家のように寛いでいける場所にしたい。」
その言葉通り、コーヒーの優しい香りと
落ち着いた雰囲気が漂う空間が広がっていました。
自然と街のちょうどいい距離感。北欧と滋賀に重なる魅力
15年ほど前から、大好きな北欧をたびたび訪れていた店主の巽さん。
「楽しい旅の思い出と、北欧の素晴らしさをおすそ分けできたら」
そんな想いが『vokko』の始まりです。
彦根の琵琶湖畔に建つ古い平屋に出会い、リノベーションをして
巽さんと奥さま、二人の夢を形にしていきました。
北欧の魅力を聞いてみると、
「自然と街の距離感がちょうどいいんですよね。
人がせかせかとしない穏やかさが魅力なんです」と巽さん。
お店の前には雄大な琵琶湖が広がり、少し行くと彦根城を中心とした
観光地もあり、ここ彦根は北欧とどこか重なるものがあるのかもしれません。
天気の良い日はゆったりと波打つ湖を眺めているだけで、
ゆらりゆらりと優しい気持ちが立ち込めてきます。
「北欧と言ったら色鮮やかなファブリックや器のイメージもあるけれど、
シンプルで落ち着いたモノもたくさんあるんです。」と巽さん。
「そんな北欧の魅力も伝えられたら良いですね。」と話してくれました。
北欧雑貨を中心とした素敵なモノと、暮らしを結びつけるお店『vokko』。
ここに来れば、雑貨が運ぶ素敵な物語と、大切にしたい何かがみつかるかもしれません。
(写真・文=安積 里沙)