カルチャー

「この町、昔ゾウが歩いてました」多賀町立博物館で知った大昔の琵琶湖は”アフリカ”だった?!

【多賀町立博物館/多賀町】
「昔の滋賀は、アフリカみたいな場所だった」

取材でそう聞いたとき、
思わず「え、どういうこと?」となりました。
だって滋賀ですよ。琵琶湖のある、あの滋賀です。

でも話を聞いていくと、
たしかに「アフリカっぽい」と
言いたくなる理由がありました。

約180万年前の多賀町には、
なんとゾウがいたそうなんです。

しかも、ワニもいた。

いまののどかな町並みからは
ちょっと想像できないけれど、
その証拠はちゃんと残っていました。

多賀町立博物館に展示されているのは、
日本で独自に進化した
アケボノゾウの本物の化石。

この町に、ほんとうにゾウがいた…?!
そう思って展示を見ると、
博物館がぐっと面白くなります。

滋賀に暮らしていても意外と知らない、
多賀町とゾウの話。

その先には、昔の琵琶湖の姿まで見えてきました。

400万年前ゾウの祖先がやってきた


博物館の入口に入ると、
まず大きなゾウの骨格が迎えてくれます。

このゾウの名前はアケボノゾウ。

いまのアフリカゾウやアジアゾウとは
ちょっと違う、日本固有のゾウです。

「ゾウの祖先が日本にやってきたのは約400万年前」。

そう話すのは、多賀町立博物館館長の高橋進さん。

「当時の日本列島は
まだ大陸とくっついたり離れたりしていて、

そのタイミングでゾウが渡ってきたと考えられています。
もともと大陸のゾウはもっと巨大だったんですよ」。

でも日本は山が多くて、食べ物も少ない。
その環境に合わせて体が小さくなり、
やがて生まれたのがアケボノゾウ。

背中までの高さはおよそ2メートル。
現代のゾウよりちょっと小柄です。

奇跡みたいな化石

このアケボノゾウの化石が
多賀町で見つかったのは1993年。

工事中に「古いパイプのようなものが出てきた」
と掘り出されたものが……なんとゾウの牙でした。

そこから発掘調査が始まり、
次々と骨が見つかります。

そして驚いたのが保存状態。

普通、ゾウの化石は
全身の3割くらい見つかればかなり良いほう。
でも多賀町で見つかったゾウは
なんと7割以上。ほぼ全身。

この状態の良さから、この化石は
ゾウの化石として初めての国の天然記念物に指定されました。

ゾウがいたなら、ワニもいる

昔の琵琶湖

そして、もうひとつ面白い発見があります。

同じ地層からワニの歯。
そうです!ゾウがいて、ワニもいた。

つまりこの頃の滋賀は、高橋館長いわく
「アフリカみたいな環境」だったそうです。

いまの琵琶湖とは違って、このあたりは湿地帯。

そこにゾウやワニが暮らしていた。
そう思うと、田んぼの風景も
ちょっと違って見えてきます。

ここに水辺の景色があった

琵琶湖移動

さらに面白いのは、このゾウの化石が

昔の琵琶湖の場所を教えてくれるということ。

「動物は普通、陸で死ぬと
他の動物に食べられたりして骨が残りません。

でも水辺だと、泥の中に埋まりやすく
酸素が届かないので化石になりやすい。

つまり、ゾウやワニの化石が出たということは
昔ここが水辺だった証拠なんです」と高橋館長は教えてくれました。

いまの琵琶湖はもっと西にありますが、
180万年前は湖南から湖東、
そしてこの多賀町あたりまで
大きな湿地が広がっていたそうです。

「ゾウのまち」多賀町

入口
こんな発見があったことから
多賀町は今、
「ゾウのまち」として町おこしをしています。

博物館の前にはなんとゾウの飛び出し坊や。

その名も
飛び出しゾウヤ。滋賀らしいダジャレ?!です。

ゾウのアート展も開催中

そんな多賀町では今、
「ゾウ」をテーマにしたアート展も開催されています。

2回目の開催となる「シガタガゾウのアート展」では、
平面・立体・映像の3部門で作品を募り、
150点もの応募がありました。

どの作品も多賀らしさと親しみやすさがあって、
自由に個性的に表現されたゾウたちにずっと見入ってしまいそうです!

こちらはグランプリを受賞した重松里実さんの「エレ・フォント -Ele Font-」
多賀の文化や名所を象表現したユニークな文字が並びます!

こちらの木彫りの象は、
準グランプリ賞【立体の部】受賞の堤秀元さんの「見つめるゾウ」
なんと、多賀町産材をチェーンソーで彫ったもの。
こ、細かい…!

「学術的な話は難しくなりがちなので、
アートを通してゾウに親しんでもらえたら」

と高橋館長。なるほど。
ゾウって、こんなに身近だったんですね。

180万年前のゾウに会える場所

多賀町立博物館には、
本物のアケボノゾウの化石が展示されています。

しかも復元骨格や、
シガタガゾウのアート展エリアは
無料で見学可能。

180万年前。この町をゾウが歩いていた。

そんな想像をしながら見てみると、
展示がぐっと面白くなります。

アート展の展示は4月12日(日)まで。
「多賀のゾウ」に会いに行ってみてはいかがでしょう!

(企画・編集:しがトコ編集部/写真:辻田新也)

『第2回シガタガゾウのアート展』の詳細

会場
多賀町立博物館(あけぼのパーク多賀内)
期間
2026年4/12(日)まで
休館日
毎週月曜日、毎月第3日曜日、祝日、3/26(木)
公式サイト
https://shigatagazou.com/

『多賀町立博物館』の詳細

住所
滋賀県犬上郡多賀町四手976-2
開館時間
平日10:00〜18:00 土・日 10:00〜17:00
休館日
毎週月曜日、毎月第3日曜日、祝日(第3日曜日を除く日曜日と重なる場合は開館)
資料整理日(毎月最終木曜日、1月4日)、年末年始(12月29日~1月3日)
特別整理休館期間(10日間)
入館料
16才以上 250円
団体(有料入館者が20名以上)200円
障がいのある方およびそのつきそいの方1名 125円
多賀町内在住もしくは在勤の方無料
電話番号
0749-48-2077
公式サイト
https://www.town.taga.lg.jp/akebono/museum/index.html
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