【しが文化交流プロジェクト/風展】
湖北にある滋賀県で最も古い図書館で、唐突に始まったダンス。
ゆらり、ゆらりと。
風のように揺れるその踊りには、決まった型も、正解もありません。
なぜ彼らは図書館の中で踊っているのか?
しかもゲストダンサーは図書館長??
知れば知るほど踊り出したくなる、
「コンテンポラリーダンス」を軸にしたプロジェクトを取材してきました!
滋賀で最も古い私設図書館
滋賀県長浜市木之本町。
木ノ本駅のすぐ目の前に、古くて小さな町の図書館があります。

(撮影:山本陽子)
それが「江北(こほく)図書館」。
明治時代、地元出身の弁護士・杉野文彌(すぎのぶんや)によって創設されてから120年以上の歴史を誇ります。
全国でも3番目に古く、滋賀県では現存する中で最も古い図書館です!

(撮影:山本陽子)
現在の建物は昭和12年に建てられたもので、中に入るとまるでひと昔前にタイムスリップしたかのよう。
江北図書館は全国的にも珍しい「私立」の図書館として現在も運営が続けられており、館内ではなんと飲食も撮影も自由とのこと!

(撮影:山本陽子)
文化財みたいな空間だけど、なんだか実家や故郷のような大らかな雰囲気があって、一日のんびり過ごせちゃいそうです。
そんな図書館をうろうろしていると、ドシン、ドシンと2階から足音が響いてきました。

え?図書館でダンス??
自由すぎませんか?!
地域の魅力をコンテンポラリーダンスにする「風展」

踊っているのは、大津を拠点にダンスパフォーマンスやワークショップなどの活動を行う「はまダンス企画」のダンスプロジェクト「風展」で活動したメンバーたち。
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2025年度は活動の場を大津からさらに甲賀市や湖北地域に拡大。
この日は北国街道の宿場町の風情が色濃く残る木之本を訪れ、2026年2月末にオンラインで配信予定の映像作品の制作を行っていました!

(写真提供:はまダンス企画 撮影:中川敬介)
メンバーが踊っているのは「コンテンポラリーダンス」
決まった型があるわけでもなく、音楽に合わせて踊るわけでもなく、自分の置かれている環境と自分の中から生まれてくる感情を表現するダンスです。

振付を担当しているのは、大津市にて『比叡平ダンスクラブ』を開いている佐藤健大郎さんと、野田まどかさん。
日本のコンテンポラリーダンス黎明期から活動されているダンサー夫妻です!

ダンス映像のテーマは「風」。
ダンスが始まると踊り手たちは、ゆらり、ゆらりと体を揺らしたり、

スリッパをぽぉーんと脱ぎ捨てて床に寝そべったりと、自由奔放。
コンテンポラリーダンスで大切なのは、いかに自分を開放できるかということ。
踊りの「上手い」「下手」は関係ありません。
実際、旧大津公会堂のワークショップを訪れる人もダンス未経験の方がほとんどで、中には「娘が楽しそうに踊ってるのを見て私も始めてみました」という親御さんもおられるのだそうです!

見ているとついつい踊ってみたくなってしまう不思議なダンス。
そしてここ木之本でも、そんなコンテンポラリーダンスに魅了された方が現れました!
人と違っていいし、やってみないとわからない

こちらは玄関前で行われた撮影の様子。
当日は雨が降る中、白のワンピース姿の草津のバレエダンサー・佐竹美咲さんの踊りに、別の女性が傘を添えていました。
無事に佐竹さんのダンスが終わったと思ったら、今度は傘を持っていた赤い服の女性が踊り始めました。

踊っていたのは別のダンサー…ではなく、なんと江北図書館の館長さん!
「異なる文化を包含し、ひらかれた場を提供する江北図書館。その理念に共感して、館長の久保寺さん自身にフォーカスを当てたいと思ったんです」と佐藤さん。
当日に急きょ飛び入り参加となった館長の久保寺容子さんに感想を尋ねました。

「最初は難しいと思っていたけれど、やってみると考えずに自然に動けました」
はまダンスから「木之本の街や図書館で踊りたい」という提案を受けた際、コンテンポラリーダンスがどういうものか全く知らなかったそうです。
「知らないからこそ『面白そう!』と思い、お話をお受けしました。新しい形を通じて江北図書館を知ってもらえるきっかけになったら嬉しいですし、私が今まで知らなかった図書館の一面が見られるかもしれません」

その土地の歴史。様々なダンスの歴史。そして自分の体の歴史。
そうしたレイヤーを重ねつつ新しいものを生み出し、普段と違う感覚と出会うのがコンテンポラリーダンスの醍醐味。
今回のダンスの振付や衣装も、
「この人たちがこの場所にいるならどんな服がいいか?」
「どんな振付をすればこの場所が面白くなるのか?」
という考えから生み出されたのだそうです。

図書館で披露されるダンスを眺めていた久保寺館長は、
「ダンスも新鮮で、とってもインタレスティング。この踊りが何に見えるのかは人によって違いますし、違っていい。やってみないとわからない。そういう今の時代と逆行したところが、うちの図書館とぴったりです」
と話していました。
確かに白い衣装も、図書館の歴史や空間を行き交う風を思わせる振付も、江北図書館の雰囲気に溶け込んでいるように思えました。
うう…ダンスについて考えていると私も踊りたくなってきました…!
「滋賀のダンス」をみんなでつくりたい

そんな「私も踊りたいぞー!」という方がコンテンポラリーダンスに参加できるワークショップが、2026年1月31日(土)に甲賀市の『みなくるプラザ鹿深ホール』、2月1日(日)に長浜市の『長浜市曳山博物館』にてそれぞれ開催されます。

その日、その時居合わせた人たちとダンス作品をつくるという企画で、この日撮影された映像は2026年2月末にオンラインで配信される予定です。

「はまダンス企画」代表であり、ダンスアーティストとしても活動している千代その子さんは、ワークショップについてこう話します。

撮影地:甲賀市水口町(写真提供:はまダンス企画 撮影:中川敬介)
「私たちという『風』と、地域という『風』が交流しあい、一緒に新しいものを生み出したいと思い、今年は大津を飛び出して湖北や甲賀市に活動の場を広げました。夫婦、親子、友達と一緒に踊れたら一生の思い出になりますし、地元の方はもちろん、他地域の方にもぜひ来てほしいです!」

撮影地:甲賀市信楽町(写真提供:はまダンス企画 撮影:中川敬介)
そんなはまダンスの最終目標は『滋賀県立美術館』でダンスパフォーマンスを”展示”すること!
「ダンスそのものを展示し、一人ひとりから滲み出る表現を感じてもらえたらと思っています。
さまざまな地域から集まった人たちのダンスを通して、「滋賀のダンス」が見えてきたらおもしろいですね。」
と最後に千代さんは話していました。

撮影地:長浜市余呉町(写真提供:はまダンス企画 撮影:中川敬介)
主役もいないし、ダンスの解釈だって人それぞれ違っていい。
決まった型も、正解もない「コンテンポラリーダンス」。
踊ってみたいと少しでも思ったなら、何も考えずに「やってみる」から始めてみてはいかがでしょう!
(文:結城弘 写真:辻田新也)
- 記事を書いた人
- 結城弘/滋賀県出身。小説家・ライター。滋賀が舞台として登場する小説『二十世紀電氣目録』『モボモガ』を執筆。趣味は旅行、レトロ建築巡り、ご当地マグネット集め、地酒。noteにて旅ブログなどを更新中。各SNS⇒ X(旧Twitter)/ Instagram
『風展/交差する風景と身体 ワークショップ&パフォーマンス』の詳細
- 日時
- 2026年1月31日(土) 9:30~17:00(受付開始は15分前)
- 場所
- みなくるプラザ鹿深ホール(滋賀県甲賀市水口町本丸1番20号)
- 日時
- 2026年2月1日(日) 9:30~17:00(受付開始は15分前)
- 場所
- 長浜市曳山博物館(滋賀県長浜市元浜町14-8)
- 料金
- 1人3500円
- 対象
- 小学1年生~おとな
- 定員
- 15名(先着)
- メールアドレス
- hamadance.shiga@gmail.com
- https://www.instagram.com/hamadance.shiga/
はまダンス企画の公開中の動画
※この記事は、滋賀県の「地域資源活用交流創出事業に係るレガシー創出事業」の一貫で、『しがトコ』が企画・取材を担当し制作しました。 http://bino-shiga.net/












