【びわ湖疏水船/滋賀県大津市⇔京都府京都市】
琵琶湖と京都を結ぶ『琵琶湖疏水』をご存知でしょうか?
普段は琵琶湖の水を京都市へと運ぶ水路ですが、
毎年春と秋の時期にはその水路を通る
観光船が運行されています。
小さな船で琵琶湖をゆったり進み、
真っ暗なトンネルを抜けた先には
満開の桜と菜の花がお出迎え!
まるで平安貴族になったかのような、
優雅な『びわ湖疏水船』の旅をレポートします!
滋賀県の定番桜スポット『琵琶湖疏水』
滋賀の定番の桜スポットでもある『琵琶湖疏水』。
レトロな『第一トンネル東口』前では
今年も見事な桜並木が咲きほこっていて、
ついぼんやり見とれてしまいます。
すると……
ざっぱーん!
突然、トンネルの中から船が現れました!
はるばる京都の蹴上からやってきたこの船こそ
今回ご紹介する『びわ湖疏水船』です。
64年ぶりの復活!季節限定の疏水船の旅
疏水船はかつて疏水を使って
滋賀と京都を行き来していた舟運で、
明治から昭和にかけて多くの人や物を運びました。
自動車や鉄道輸送の台頭で廃止された後、
舟運は半世紀以上途絶えていましたが、
新たな観光資源として2015年に64年ぶりに復活!
2018年からは春秋限定で三井寺~山科・蹴上間を行き来しています。
そして2024年の春には新たなルートが新設され、
今まで第一トンネル東口前で発着していた疏水船が延伸し、
「びわ湖・大津港便」として大津港までやってくることに!
琵琶湖から京都に至る船旅……
いったいどんな景色が見られるのか確かめるべく、
疏水船に乗るため大津港に向かいました!
琵琶湖を走る「びわ湖・大津港便」
集合時間に大津港を訪れるとちょうど観光船「ミシガン」が
出港していく場面に立ち会えました。
そしてこちらが乗船するびわ湖疏水船です。
諸注意を受けて救命具を腰に巻いたら、いよいよ出港です!
今回新設された「びわ湖・大津港便」の醍醐味は、
なんといっても琵琶湖を走ること!
大津港を出ると遠くに琵琶湖大橋や三上山を望む
青々とした湖の風景が広がっていました。
途中、『ボートレースびわこ』の傍も通ります。
運よく選手たちの練習風景に立ち会えたら、
停船してこっそり見学することもあるのだとか。
やがて船は琵琶湖疏水へと舵を切りました。
水路の向こうでは三井寺の桜がきれいですが……
あれ?
水路の門が閉まってる!?
船の“エレベーター”『大津閘門』を通過!
実はこちらは『大津閘門(こうもん)』と呼ばれる施設なんです。
琵琶湖と疏水の間には水位差があるため、
二つの水門で疏水船を挟んだ後に水を出し入れし、
エレベーターのように移動させる仕組みです!
門が閉じると、疏水の水位に合わせて閘門内の水が抜かれていきます。
通常の「三井寺便」はこの先の乗下船場からの発着となるため、
大津港を発着する「びわ湖・大津港便」ならではの体験です!
この日は約80㎝ほど下まで水が抜かれた後、
ゆっくりと前方の門が開きはじめました。
扉が開かれた先に待っていたのは桜の世界。
なんともいえない優雅な演出と風景に息をのみます。
閘門を出た疏水船は水路を進み、
第一トンネルの中へと入っていきました。
真っ暗でひんやりとしたトンネル内はスリル満点!
前方に針の穴のように見える出口の光のほかに明かりはなく、
約2.4㎞のトンネルを船の前照灯を頼りに進みます。
もちろんここは遊泳禁止ですが、
大昔は地元の子どもたちが度胸試しのために
トンネル内を泳いで京都まで行っていたのだとか!
度胸ありすぎです……!
途中、山の湧き水が滝のように落ちている箇所も。
遊園地の水上アトラクションのような演出ですが、
船には天板がありますのでずぶ濡れになる心配はありません!
そして出口が近づき、長いトンネルの旅を終えた先には…
京都の桜並木のトンネルが続いていました!
船でゆっくりお花見を楽しむなんて、気分は平安貴族。
京都らしい雅な体験ですね!
トレインビューや菜の花も楽しめる!山科の散策スポット
疏水船はこのまま京都市東山区の蹴上まで行くのですが、
今回は山科区にある『四ノ宮舟溜』で下船しました。
実はここ山科に、みなさんにご紹介したいスポットがあるんです!
目的地に向かって疏水沿いの遊歩道を歩く途中、
『疏水公園』に立ち寄りました。
JR山科駅から徒歩10分ほどのところにあり、
遊具や公衆トイレを備えているほか、
トレインビューと桜を同時に楽しめます。
そして疏水公園からさらに北上すると、
桜と菜の花が満開のスポットにやってきました!
山科駅から徒歩約9分。琵琶湖疏水にかかる安朱橋の周りには、
地域の方々によって菜の花が植えられており、
毎年この時期になると桜とともに見頃を迎えます。
菜の花の香りに包まれながら桜を見られるなんて、
なんという贅沢な春なんでしょう……!
そんな桜と菜の花で鮮やかに色づいた琵琶湖疏水を、
蹴上からやってきた疏水船が通り抜けていきました。
「びわ湖・大津港便」は4月7日で終了しましたが、
三井寺~蹴上間を結ぶ「三井寺便」は
引き続き6月上旬ごろまで運航されます。
桜が散った後は、瑞々しい新緑のシーズン。
緑に染まる琵琶湖疏水の船旅を、
ゆったり楽しんではいかがでしょう!
- 記事を書いた人
- 結城弘(ゆうきひろ)/滋賀県出身。小説家・ライター。滋賀が舞台として登場する小説『二十世紀電氣目録』『モボモガ』などを執筆。趣味は旅行、レトロ建築巡り、ご当地マグネット集め、乗り(呑み)鉄、地酒開拓。各SNS⇒ Twitter(X)/ Instagram/ note
『びわ湖疏水船受付事務局』の詳細
- 住所
- 京都市下京区河原町通松原上ル2丁目富永町338
京阪四条河原町ビル7階 JTB京都支店内 - 営業時間
- 9:30~17:30
- 定休日
- 土曜日、日曜日
- 電話番号
- 075-365-7768
- 公式サイト
- https://biwakososui.kyoto.travel/