カルチャー

琵琶湖と暮らす漁師町、尾上地区の日常をおさめた写真展「湖港の光り」をご紹介

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海のない滋賀県ながら、地域の中心は漁港。
季節ごとの湖魚や伝統野菜、水辺を飛びかう渡り鳥。
そして、湖とともに生きる人びと…。

滋賀県長浜市湖北町尾上(おのえ)地区には、
琵琶湖の原風景を守ってきた暮らしがあります。

その魅力にほれこんだ「長浜ローカルフォト」が、
写真展「湖港の光り」を開催しました。

今回は、その写真展から作品の一部をご紹介します。
 

わずか3軒だけになった、尾上の漁師

春は「ニゴロブナ」、夏には「ビワマス」。
尾上は、湖底がなだらかで魚が生育しやすい環境が整っているといわれます。

でも、いま尾上集落の漁師は3軒だけ。
そのうちの1軒が、こちらの松田好樹さん、悠樹さん親子です。

滋賀に住んでいる人でも、琵琶湖の漁業を間近で見る機会はほとんどありません。

美しい琵琶湖には、それとともに生きる人々がいるのですよね。
当たり前のことに気づいていなかったと、ハッとしてしまいました。

この写真、「ビワマスのお造り」を食べたことがある人なら、ヨダレ必至!

クセがなく、とろりとした舌触りのビワマスは、
他の魚ではたとえられない美味しさです。

松田さん親子はもともと料理人。
新鮮な素材を求めて、漁に出るようになったそう。

「鮮度が命の湖魚を、自分らで捕って自分らで目利きし、
すぐに調理して提供できる。それが自慢ですね」

二人の誇らしげな表情は、味の証明でもあります。

琵琶湖とともにある「暮らしと食」

琵琶湖と強く結びついた営みのひとつが「鮒ずし」です。
塩漬けしたフナを米と麹で発酵させるシンプルな作り方ですが、
家庭の味はそれぞれ。

あたりまで、ありふれた、家族のワンシーン。
こんな写真が撮れるほど、
地域にどっぷり浸かって「撮る人」「撮られる人」の
立場を超えてしまうのが、長浜ローカルフォト流。

「今年のはおいしいね」
「山椒を多めにしたんやけどどうやろ」

こんな楽しい会話まで聞こえそうです。

こちらは漁港のすぐ近所で、湖魚の「焼き串」を
昔ながら炭火でじっくり焼き上げる平田登喜子さん、山岡純子さん姉妹。

この道30年。
昔は、こうした加工場はいくつもありましたが、今はここ1軒だけ。

「動けるうちはがんばろうかなぁ」
そう言って笑う二人と、美味しい焼き串を目当てに、
直接買いに来るファンがいるのも納得です。

産官学で復活とブランド化を推進

こちらは、尾上のまちづくりに取り組む
「みらい委員会」の皆さんを映した一枚。

世界的にも珍しい湖底遺跡(葛籠尾崎湖底遺跡)の資料館運営のほか、
高齢過疎化、少子化対策も模索を続けています。

この写真は、長浜農業高校や長浜バイオ大学の学生さんたちが、
尾上の伝統野菜「尾上菜」の栽培見学をおこなったときのもの。

尾上で古くから栽培されて、この地域の食卓を彩ってきた「尾上菜」。
作り手が減っていく中、「何とか残したい」という地元の声から、
産官学がタッグを組んで復活とブランド化が進められてます。

日常のありふれた景色に宿る、尾上の「美」

冬の夜明け前、「ヒウオ」(アユの稚魚)を釣り上げるのは
嶋田義晴さん、はつ子さん夫婦です。

撮影日は、いつになく豊漁。
束の間の休息に見せた表情を「パチリ」。

尾上漁港の南側の湖岸一帯は、
「日本の夕陽百選」にも選ばれる景勝ポイント。

ヨシ原が茂り、多様な生き物が暮らす、
水鳥の楽園としても知られます。

その要因は、漁が根づき、干拓や埋め立てがされなかったから。
すばらしい風景は、人々の「残したい」という思いがあるからなのですね。

撮影した人と、撮影された人。共につくった写真展


▲滋賀県立美術館で開催された写真展の様子

「湖港の光り」展は、滋賀県立美術館(2022年1月25日~2月6日)と、
長浜市内のBIWAKO PICNIC BASE(2022年2月11日〜2月20日)で開催されました。

迫力ある写真が来場者をひきつけ、
写真を収録したフォトブック(数量限定で配布)も大好評。
完成度の高さに、驚きの声が上がりました。

長浜会場には、漁師の松田さんご家族の姿も。
写真を撮った人、撮影に協力した人が、
その垣根を越えて一緒につくった写真展。

そんなことが、ひしひし伝わるオフショットです。

人をつなぐ写真-「長浜ローカルフォト」の思い

「写真を通じて、たくさんの人が長浜ファンになっていただくこと、
そして自分の住んでいるまちをもっと好きになっていただくこと」

そんな思いを胸に、長浜在住・在勤のメンバー9名で活動する
長浜ローカルフォト。

全国各地にあるローカルフォトの取り組みの中でも、
特に精力的と言われ、
「写真でまちを元気に!」をモットーに幅広い活動を展開しています。

活動の幅が広がっても、その原点は変わりません。

「これまでの写真展を訪れた方からは、
『写真に残してくれてうれしい』と涙される方もいて、それには私たちも涙で…」。

長浜で暮らすからこそ、
向き合える人たちの顔がある。
つむいできた文化にふれることができる。

長浜という歴史深い町の「かさねた時間」も
ファインダーから見つめ、シャッターを切りつづける
長浜ローカルフォト。

今後の活動も大注目です。

(取材・文:川島圭 写真:長浜ローカルフォト 編集:しがトコ編集部)

長浜ローカルフォト写真展「湖港の光り」の概要

大津会場
2022年1月25日(火)〜2月6日(日)
長浜会場
2月11日(金)〜2月20日(日)
お問い合わせ
長浜ローカルフォト
公式サイト
https://nagahamalpa.tumblr.com/

提供:滋賀県 「滋賀をみんなの美術館に」プロジェクト http://bino-shiga.net/

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