【カフェ・フジタニ洋品店/滋賀県大津市】
1949年に開業した『フジタニ洋品店』。
先代の店主が90歳で閉店するまで親しまれていた店の看板を引き継ぎ、
服を売らない洋品店の「カフェ」として2018年にリニューアルオープン。
洋品店からカフェへと変化しながらも地元で愛され続けている
『カフェ・フジタニ洋品店』をご紹介します。
叔母の洋品店からカフェへ
京阪島ノ関駅から南西・県庁方面に向かって歩き、
一つ目の角を左に曲がると、
どこか懐かしい小口タイルをあしらった建物が見えてきます。
ノスタルジックな字体で掲げられた看板が目印です。
『フジタニ洋品店』は、店主・吉井佳弥子(よしいかやこ)さんの
叔母の藤谷静子さんが、25歳になる1949年に洋品店として開業。
90歳で閉店するまで、地域の人が集まる
憩いの場としてもにぎわっていたそう。
93歳で叔母がなくなり、建物の整理をしていた
吉井さんは、閉めっぱなしのシャッターが気になり、
今までの様に地域の人の憩いの場にしたいと
2018年11月28日、いっせん焼き&カフェをオープンしました。
昔ながらの「いっせん焼き」をカフェメニューに
「昔は、小さなたこ焼きやさんがたくさんありましたよね。
子どもたちが小銭をもって、おやつを買いにいくような。
そんなほっこりとした場所にしたくて、
100円で買えるいっせん焼きを提供しています」と店主の吉井さん。
いっせんやきは、北海道産小麦を使用し、
お好みソースは化学調味料不使用。
油も菜種100%のものを使うなど、
こどもたちに安心して食べてもらいたいと
材料からこだわっています。
木の香りが心地良い店内で、
カフェメニューをゆっくりといただくと、
大人も子どもも、ほっとくつろげる一時に。
リフォームを担当したのは左官職人である、
吉井さんの義理の息子さん。
人にも環境にも優しい空間を作るために、
内装には、なるべく土に還るものにこだわって、
杉、土などの自然素材をできるだけ多く使用しているのだそう。
ほっこり癒される、コーヒー&スイーツ
「まあ、おすすめのコーヒーでも飲んでください」。
吉井さんがお気に入りの奈良県の『珈琲の富田屋』
から仕入れる豆を挽いてくれました。
ほぼ月一で替わる豆の種類は、
吉井さん自ら好みのものを選別。
この日いただいたコーヒーは
「ユルマセユルス」というエチオピア産の豆を使用。
豊かな香りですっきりとした、コーヒー好きにもたまらない味!
信楽の陶芸作家・奥田美恵子さん作の
コーヒーカップも趣があります。
「これも身体に優しくて、美味しいのよ」と出してくれたのは、
吉井さんの次女さんが考案した「和パフェ」。
黒ごまプリンを土台に、上にはプルプルの無農薬抹茶寒天、
自然な甘味の無農薬玄米甘酒アイス、
注文を受けてから作る白玉、北海道産小豆の粒あん、
黒蜜&きなこ、と食感が違う素材を愉しめます。
裏山で採った竹に漆を塗った手作りの器も目に心地良く、
吉井さんが淹れてくれたコーヒーと一緒に味わうと、
本当にほっこり、癒されます。
愛着のある店名、愛され続けるお店
「この絵は叔母の友人が書いてくれたのですが、
この通り、開業当時はショーウィンドーがあって、
地域のみなさんに愛される洋服屋さんでした」。
「よく、カフェなの?洋品店なの?と首をかしげられるんですよね。
でもみなさんが、愛着をもってくださっている店名で
叔母のおもいがこもった店名を残したくて」と吉井さん。
近くの小学校の下校時間になると、
お店を覗き込んでくれる子どもたちもいるのだとか。
「ふらっと立ち寄って
ほっと、くつろいでいただければ幸いです」。
何よりも吉井さんの人柄が、
みんなから愛され続けるお店の理由なのかもしれません。
(写真・文 安部愛子)
- 記事を書いた人
- 安部愛子/滋賀県大津市出身・在住。びわ湖から唯一流れ出る川・瀬田川を身近に感じながら育ちました。大学進学を機に県外に出るも、びわ湖のない土地に窮屈さを感じ、びわ湖のありがたみを実感!
滋賀の地域情報紙記者を経て、現在は子と共に育ちながら滋賀の魅力を再発見しています。
『カフェ・フジタニ洋品店』を地図で見る
京阪島ノ関駅より徒歩3分
『カフェ・フジタニ洋品店』の店舗情報
- 住所
- 滋賀県大津市中央4-6-59(→地図)
- 電話番号
- 077-522-2195
- 定休日
- 日・月・火曜日
- 営業時間
- モーニングカフェ10:00~12:00/いっせん焼きカフェ12:00~16:00
- https://www.instagram.com/fujitani_ohtsu