カフェ・お店

飴細工のように愛らしい!多賀町名物“糸切餅”の老舗『ひしや』で職人技に出会う

ひしやの糸切餅

【糸切餅/滋賀県多賀町】

真っ白なお餅にブルーとピンクのラインが愛らしい。
”糸切餅”は滋賀県犬上郡多賀町の名物和菓子。

シンプルなお餅と少し塩気の効いた餡の
バランス加減が絶妙で、その味には
全国に多くのファンがいるほど。

じつは「糸切餅」の歴史は古く、
なんと約700年前の「蒙古襲来」に
起源を持つというから驚きです!

昨今のスイーツトレンドである”甘すぎない甘さ”を
はるかむかしから提供し続けている「糸切餅」。

現在、糸切餅を製造・販売するのは3軒のみですが、
中でも店頭で”糸で切る”のは『糸切餅本家ひしや』だけ。
糸で切っているところを、見たい!!

居ても立ってもいられなくなり、
さっそく『ひしや』さんへ行ってきました。

伝統の製法から生み出される、素朴な味わいのお店

ひしやの外観

多賀大社門前からスタートする絵馬通りを、
西に5分ほど進むと、通りの終わり辺りに
ひっそりと佇む『ひしや』さんを発見!

ひしや店内で作業中

「こんにちは!」と声をかけながら店内に入ると、
四代目の宮坂誠二さんが、箱詰めされた
出来立ての糸切餅を、せっせと包装しているところでした。

すぐ横の作業台を見ると、、、

米粉100%のお餅を三味線の弦で切る!

糸切餅を着る作業その1

まさに、糸で切っている最中です!

奥の厨房で作ったばかりの米粉100%のお餅。
その塊を、細く長く伸ばしていき、
一定のリズムを刻みながら、三味線の弦で
手早く切っていきます。

まさに匠の技。

糸で切る作業その2

何度撮影しても、切る瞬間の手元がブレてしまうほど!

手作りの糸切餅作成工程

店内には、糸切餅の製造過程の写真が
展示されていました。

糸切餅のトレードマークは青と赤の三本線。
工場で作られた糸切餅は、書いただけの線なので
細く淡い印象ですが、
『ひしや』さんの三本線は色付けした餅を
白い餅の上に並べ、一緒に伸ばして線を
描いているんです!

餅の塊アップ

白い餅の上の線が、少しぷっくりと
盛り上がっていますね。
存在感と味のある三本線は、こうして
昔ながらの製法で描かれているのです。

それでは、出来立ての糸切餅を
さっそくいただいてみましょう!

ひしやの糸切餅

箱を開けると、出来立てのお餅の香りが
飛び込んできます。

柔らかいお餅同士は既にくっついているので、
「これを使って食べな!」と渡されたヘラを使って、
切り分けながらいただきます!

とてもきめ細かくて柔らかいお餅の食感が、
口の中いっぱいに広がります!

優しいお米の甘みと、少し塩気の効いた餡の
組み合わせが絶妙で、ヘラを持つ手が止まらず、
次から次へと口へ運んでしまいます。

3本線は蒙古軍の旗印から?!糸切餅の歴史をご紹介

ここで、糸切餅の歴史を少しご紹介。

糸切り餅の歴史は古く、なんと約700年前の
「蒙古襲来」にまでさかのぼります!

二度にわたる襲来に耐え忍んで戦い、蒙古軍は撤退。
取り戻した平和を祝福し、人々は神社仏閣へ
お供え物をしました。

多賀大社へのお供え物の中に、蒙古軍旗を
模した青と赤の三本線のお餅があり、
それが弓の弦で切られたものであったため
糸切餅と呼ばれるようになりました。

四代目宮坂さん

四代目の宮坂さんが、

「多賀大社は、生命を司る神様やろ?
その神様にお供えするお餅やから、
細くながーく、刃物は使わんで切ってるんやで」

と教えてくださいました。

かつては弓の弦で切っていたそうですが、
今は長浜で作られた三味線の弦を使用しているとのこと。

「その三味線の弦も、作り手が減ってきて
手に入りにくいんや」

と困り顔で話されていましたが、
こだわりを持って、伝統の製法で糸切餅を
作り続ける姿は、とても力強く、誇り高くみえました。

冬季限定「糸切餅の天ぷら」も。絵馬通りでの食べ比べもおすすめ!

現在、糸切餅を製造・販売しているのは、『ひしや』さんの他に2軒あります。

絵馬通りの入り口

多賀大社門前の絵馬通り入口近くに並ぶ2軒は、
初詣の時期には長蛇の列が出来ますよ。

多賀やの外観

大きなしゃもじが特徴的な看板の『糸切餅総本家 多賀や』。

莚寿堂の外観

そして、『多賀や』さんの2軒隣にある『糸切餅 元祖莚寿堂本舗』。

こちらは店内にイートインスペースがあるので、
購入したら無料のお茶と一緒に、すぐにいただけます。

『莚寿堂』さんでは少し変わった糸切餅を
食べることができます。

天ぷら販売ブース

なんと、糸切餅の「天ぷら」です!
1月上旬に訪れると、店頭の揚げたてを販売するブースには、
列が途切れることなくお客さんが押し寄せていました。

莚寿堂の糸切餅の天ぷら

サクッとした衣に中はとろ〜りとしたこしあんで、
不思議な食感を楽しめます!
2月3日までの限定なので、気になる方はお早めに。

出来立ての香りと食感を味わえるのは現地だけ!

『ひしや』4代目の宮坂さんは、

「米粉だけで作っとるから、ご飯やおにぎりと一緒で、
時間が経つとかたくなるんよ。
すぐに食べるのが一番おいしい!!」

と力説されていました。

「重くてえらい作業ばかりやで」と言いながらも、
こだわりを持ち、伝統を守り続ける職人さんがいます。

ぜひ足を運んで、出来立ての風味や食感を、
この空気を味わってみてくださいね。
きっと、あなたもファンになってしまいますよ!

(写真・文: 仲上涼太)

記事公開日:2017年1月18日/最終更新日:2021年6月14日

「糸切餅 本家ひしや」
住所:滋賀県犬上郡多賀町多賀711
電話:0749-48-0068
営業時間:8時~売り切れ次第閉店
定休日:不定休

「糸切餅総本家 多賀や」
住所:滋賀県犬上郡多賀町多賀601
電話:0749-48-1430
営業時間:8時~17時(1月は延長)
定休日:年中無休
詳細はこちらから

「糸切餅 元祖莚寿堂本舗」
住所:滋賀県犬上郡多賀町多賀599
電話:0749-48-0800
営業時間:9時~17時(売切れ次第閉店) 毎月1日は7:30〜
定休日:毎週水曜日(1月.2月.11月を除く)
詳細はこちらから

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