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仏具世界にため息!職人と若い感性がコラボした彦根仏壇街『七曲がりフェスタ』に行ってきました!

金色の仏具

【七曲がりフェスタ/滋賀県彦根市】

思わず「金塊ですか?」と聞いてしまいそうなほど
キラキラと輝くこの物体。じつは、これ仏具なんです。

みなさんは『伝統工芸士』の技を、間近で見たことはありますか?

「伝統工芸なんて古くさい」、「おもしろくなさそう。。。」
なんて思っているそこのあなた。
ぜひ一度『七曲がりフェスタ』を覗いてみてください。

彦根城下町と中山道を結ぶ”七曲がり”と呼ばれる町があります。
江戸時代から残る風情ある町並みも素敵ですが、
ここは伝統的工芸品「彦根仏壇」のお店が並ぶ職人の町。

その七曲がりで毎年10月初旬に『七曲がりフェスタ』が開催されています。
今回は、しがトコ編集部が10/8(日)にイベントに潜入。

伝統の技と若い感性のコラボでユーモアたっぷりの現場の様子を
写真多めでレポートします!

伝統の職人技を間近で見るチャンス!仏壇七職の実演は圧巻

七曲がり通り
その名の通り”7回曲がる”細長い路地をゆっくりと
進んでいくと、そこには歴史を感じる町並みと
伝統の技があちらこちらに。

彦根仏壇は『仏壇七職』と呼ばれる、木地師、宮殿師、彫刻師、
漆塗師、金箔押師、蒔絵師、錺金具師の分業で作られています。

この仏壇七職による伝統工芸の実演が一同に見られることが、
この七曲がりフェスタの最大の魅力!

まずは金箔押師の宮本美弘さんの工房へ。

金色の仏具
工房には思わず「金塊ですか?」と聞いてしまいそうな
キラキラと輝く仏具がずらり!
息を止めて見入ってしまうほど、繊細な作業の実演を見学できます。

作業中の宮本さん
宮本さんが手にしているのは「金箔」。
薄くて軽いので、風が大敵です!
もちろんドアも窓も締め切りますが、作業中はエアコンも消して慎重に。

箔押し
私たちに丁寧に説明をしながら、ささっと金箔を張り合わせていきます。
ご好意でほんの少しだけお手伝いさせてもらえることに!

箔押しに挑戦
いざ挑戦してみるとこれが難しいこと!
貴重な金箔がひらりと落ちてしまうハプニングも。
さらりと手を動かしていた宮本さんでしたが、
実践してみると改めて”伝統工芸士”の凄さを感じました。

真綿で仕上げ
仕上げにふわふわの真綿で撫でると、クシャッと張り付いていた金箔が
ピシッと伸びてツヤッツヤの表面に!
熟練の業の凄さ、完成した仏具の美しさにため息の連続でした。

250年以上続く錺金具師の『白金屋』で出会った”伝統”と新たな”挑戦”

白金屋
続いて、錺金具師の『白金屋』を覗いてみました。

大橋さん
こちらが約250年前から続く白金屋の9代目・大橋政次郎さん。
江戸末期より続く老舗の中には芸術品のように美しい金具や
年季の入った道具がずらり!

美しい金具
代々、仏壇用の金具を作ってきましたが、

行事の軍配
最近では大相撲の行司が持つ軍配の金具や、

リングピロー
結婚式用のリングピローなど、時代に合わせた作品も
数多く制作されているのだそう。
繊細で美しい模様や、キラキラと輝く表面はまるで宝石のようです。

白金屋の工房
伝統の技は書物などではなく、修行の中で目と手で学び、
代々受け継いでいくのだそう。
「200年以上前の祖先が制作した物でも、技術がちゃんと受け継がれているから
修復や再現ができるんだよ」と語る大橋さん。
「伝統」とはまさにそういうことなんですね。

木目が美しい彦根仏壇を輝かせる『漆塗り』の実演も!

漆塗り実演1
『永樂屋工房』では漆塗りの実演も。

漆塗り実演2
木目が美しいことが特徴の一つである彦根仏壇。
漆を塗った後に、きめ細かい粉をつけて手でなじませることで
美しく輝く表面に仕上がります。

「昔はね、鹿の骨粉を使っていたんだよ」と話しながら
熟練の技を間近で見せてくれました。

若手の実演
永樂屋では、女性の職人さん3名が修行中で
フェスタ当日も実演をされていました。

若手の彫刻
まだまだ修行は始まったばかりだそうですが、
細かい彫刻は素人から見たらもはや芸術品!
伝統的工芸品の未来を担う若手のみなさんを応援したいですね。

『仏壇組立競争』から学ぶ、過去から未来へ繋ぐ伝統の技術

仏壇組立競争
「仏壇組立競争」という驚きの看板を発見!
ずらりと並ぶのは彦根仏壇の部品。
ここでは簡単にはめ込んでいくだけなので
30分くらい組み立てられるそうですが、
実際に金具をつけて組み立てると大人2人がかりで
1週間ほど時間を要するそうです。

ほぞ組み
彦根仏壇は『ほぞ組み』で制作されているので分解が可能です。
40~50年に一度、分解し、漆の塗り直しや金箔の押し直しを
することで新品同様に生まれ変わります。
この作業を「お洗濯」と呼ぶそうです。

仏壇のパーツ2
伝統が続いているからこそ、この「お洗濯」ができますが、
ここ七曲がりでも悩ましい後継者問題が。
数十年前は40軒以上あった工房も、今では9軒になりました。

技術の継承のためにも、時代にあった製品の開発や、全国各地の
神社仏閣の修復に携わったりしているそうです。
また未来に向けてクラウドファンディングを使用した取り組みや、
『仏壇アカデミー』の構想もあるそうですよ!

彦根仏壇事業協同組合理事の田中伸治さんは
「今までは目の前の仕事に手一杯だったんだよ。
でも今している仕事はね、全部”未来”に向けてのものなんだよ!」と
とても楽しそうに語ります。

職人技と若い感性の融合!個性豊かな企画や展示もずらり

『仏壇街』と滋賀大生の若い感性がコラボして、
通りには個性豊かな展示や体験が散りばめられていました。

宮殿
『六曲がり』の新宮道で、黄金の宮殿(くうでん)を発見!!

これは『七曲がりでインスタ映え』と題して、
伝統工芸品を使ってトリックアート写真が撮影できるという企画。

取材陣もさっそく挑戦!
「もっと前!あ、ちょっと右に、、」など大声で騒ぎながら
撮影した写真がこちら。

トリックアート1
お~、ゴージャスでかっこいいですね!!

トリックアート2
こちらのカエルは、今回のトリックアートのために
職人が手作りした特別な作品。
彼氏(カエル)に手を引かれてデートをしているような
爽やかな一枚が撮れました!

こんな個性的なトリックアートは、ここだけでしかできない
貴重な体験ですね。

ようかいさんぽ1
子どもに大人気の『ようかいさんぽ』。
薄暗い蔵の中で開催ということで、蔵まではこーんな細い隙間を通り
ちょっとした冒険気分!

ようかいさんぽ蔵の中
蔵の中では地元の子どもたちが描いた妖怪たちが、
次から次に飛び出してきます!
ひょこひょこと動いてとっても可愛らしくて、
大人も子どもも「わぁ!出てきた!」と声をあげながら
眺めていましたよ。

歴史的な洋館で個性的なびっくり体験!

旧秋口家
国登録有形文化財の『旧秋口家住宅洋館』。
大正5年に建てられ、当初は歯科医院だったとか。

この素敵な洋館で行われていたのは、なんと『入棺体験』と
『極楽浄土疑似体験』!興味津々で中に入ります。

白装束
『入棺体験』とはまさに「棺に入ってみること」。
「生前に棺に入ると長生きする」という説もあるらしく、
最近では「終活」の一つとしてさまざまなところで開催されているそうです。

こんな機会はなかなかないぞ、とさっそく体験させてもらうことに。
白装束を施してもらい、いざ入棺です!

入棺体験1
せまい!お布団はふわふわですが、きゅっと体を縮めて寝る感じ。
不思議な感覚についつい笑みがこぼれます。

入棺体験2

続いてカメラマンも入棺体験。ちゃんと蓋も閉めてもらいますよ。
窓の隙間から光が優しく入ってきて、周囲の音が外にいるときよりも
はっきりと聞こえてきます。
人生の終わりの時を静かに想像するという、不思議な時間でした。

貴重な体験を終え、隣の部屋では映像技術を使った疑似体験。

極楽浄土疑似体験1
「小さなお寺」と言われている仏壇の中に自分が小さくなって
入ってみたらどんな感じなのでしょうか?

極楽浄土疑似体験2
壁に映し出されたのは、彦根仏壇のパーツの背景と
小さくなった自分の合成映像で、まるで仏様になった気分?
入棺体験の後なので、より一層不思議な感覚ですね。

極楽浄土疑似体験3
実際は、このようにカメラの前に立って動いているだけ。
独特のアニメーションバーチャル極楽空間で、
飛んでみたり泳いでみたり、ついついはじけてしまう面白さでした!

充実の体験コーナー!試してみたい体験がきっとみつかるはず

学生達の「こんな商品がほしい!」という声と、
伝統工芸の技を集結させこんな体験コーナーも実現しました。

木地スマホスピーカー
木地師の技術を使った『スマフォスピーカーづくり』は、
職人の丁寧な指導のもと、組み立てて木工用ボンドでつけるだけ。

スピーカー
どんな部屋にも合いそうな、シンプルなデザイン。
なのに音がキレイに広がる、不思議なスピーカーです。

蒔絵体験
他にも蒔絵の『飾り額づくり』や、『漆塗りのお箸づくり』。

におい袋づくり2
『オリジナルにおい袋づくり』は、好きな生地の袋を選んで香りを選びます。
簡単なのに本格的!

この他にもいくつも体験コーナーがあり、どれにしようか迷うくらい!
毎年少しづつ内容が変わるので、来年はどんな体験ができるか楽しみですね。

メイン会場には地元人気店もずらり!職人と学生が作る『七曲りフェスタ』に笑顔集まる

運営陣
このイベント運営をしているのは、企画委員長の吉田彰浩さん(右)を
はじめとする地域のみなさんと、滋賀大学の学生さん達。

昔からこの『七曲がりフェスタ』は開催されていましたが、
通りを通行止めにして、大々的なイベントとなったのが5年前。
その頃から滋賀大学の『地生きプロジェクト』というサークル、
『地域連携教育推進室』のメンバーをメインに、職人さん達と
学生が協力して運営しているそうです。

七曲がりガチャ
メイン会場で子ども達の行列ができていた『七曲がりガチャ』。
抽選会を「ガチャガチャにしよう」というアイディアも
学生からでてきたもの。

ガチャ景品
景品の中でも子ども達が狙っていたのは特賞ではなく、このオリジナル商品!
金箔の入ったレアなスライムに、

マスキングテープ
伝統工芸品や仏壇がデザインされたマスキングテープ!
ここでしか手に入らないユニークなデザインで、
手にした人たちも「これは何の柄だろう?」と盛り上がっていました。

いと半のお団子
メイン会場には地元で人気の飲食店がずらり!
名店『いと半』のみたらし団子は、終了時間を待たずに売り切れ。

甲冑を着た侍
彦根仏壇の技術を使って再現した甲冑を着た侍(こちらも滋賀大の学生さん)が
登場すると子どもたちは大はしゃぎ!
汗だくのお侍さん、お疲れ様でした。

トラックステージ
トラックステージでは学生による和楽器演奏会や、
芸人さんの漫才も。
このステージを進行するのも、滋賀大学の放送研究会のメンバーです。

七曲がりの町並み
住宅環境の変化などで仏壇が減少してきている現代。
伝統の技を後生に繋げていくため、街を盛り上げるために、
仏壇街の職人と若者が手を取りあって開催される『七曲がりフェスタ』。

良い化学反応が起こり、毎年進化していっているのだそう。
見応えたっぷりで、丸一日楽しめるイベントです。

次回の開催は、来年の10月。
まだまだイベントは先の話ですが、
次はどんな”ワクワク”に出会えるのか、期待が膨らみます。

(写真:西川遥香)

『七曲がりフェスタ』を地図でみる

最寄りは近江鉄道本線・彦根口駅!!

七曲り広場

→大きい地図で見る

『七曲がりフェスタ』のデータ

メイン会場
滋賀県彦根市元岡町18 七曲がり広場
開催日
毎年10月上旬
開催時間
10:00~16:00
お問い合わせ
0749-24-4022(彦根仏壇事業協同組合)
公式facebookページ
七曲がりフェスタ公式facebookページ
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