カルチャー

全国シェアなんと9割!300年以上受け継がれた伝統工芸「高島扇骨」の世界を覗いてみませんか?

【高島扇骨/滋賀県高島市】

全国の9割を占める伝統工芸「高島扇骨」をご存知でしょうか?

琵琶湖の北西部に広がる高島市安曇川町。
のどかな田園風景が広がるこの町は
“扇子の町”とも言われています。

そのわけは、300年以上も続く
この町の伝統工芸「高島扇骨」にあります。
「扇子」ではなく「扇骨(せんこつ)」って

その謎を探るべく、高島市は安曇川町に向かうことに。
まずは「すいた扇子」を訪ねて話をうかがってきました。

ずらりと並ぶ扇子に圧倒!「すいた扇子」で高島扇骨について教えてもらいます

マンホール
安曇川駅から歩いていると、
なんと扇子模様のマンホールを発見!!
「扇子の町」であることを実感してワクワクしてきました。

外観

10分ほど歩くと、「すいた扇子」に到着!
さっそくお店を覗くと色鮮やかな扇子がずらり。

実用的な夏扇子から、京都の舞妓さんが使う舞扇子、
滋賀ならではの大津絵まで
用途に合わせたさまざまな扇子が並び
見ているだけでも楽しくなってきます。

全国シェア90%以上!「高島扇骨」とは?堤防代わりの”竹”が大活躍!


そして、こちらが「扇骨」。
扇骨というのは“扇子の骨”のことで、
国産扇子の扇骨のなんと90%以上が、この安曇川町と
隣町の新旭町で作られたものというから驚きです! 

高島の風物詩ともいわれるこの光景は、
扇骨を砂利の上に干す“白干し”という工程。

本来、青い色をしている竹が太陽の光をあてることによって
美しい山吹色になるのだそう。

すいたさん

「高島扇骨」の歴史を、店主の吹田さんに教えてもらいました。

「安曇川町と新旭町の間には「安曇川」という川が流れていますが、
昔からよく決壊し、村人たちはとても困っていました。
そこで堤防の代わりにたくさん植えたのが竹でした」
  
「それが非常に良質な竹となり、その竹を使用した扇骨産業は
江戸時代には農家の農閑期の副業としてさかんになった」
と店主の吹田さんは言います。

扇骨が京へ行けば京扇子となり、
江戸へ行けば江戸扇子になり、全国に広まっていきました。
こうして扇骨はこの地の産業として、
人々の暮らしを支えてきたということです。

そんな安曇川の河畔には、今も竹がたくさんあります。
お話を聞いたあとに見ると、いつもの景色が少し違って見えてきますね。

扇子はどうやってできるの?それは職人さんの手作業による分業制

竹を扇子の形にしていくには、まず竹を棒状にして、
そこから美しいカーブを描く扇子の形に
磨いていかなければなりません。


この地では職人さんがほぼ手作業で、
それぞれの役割を担う形の”分業制”で扇子を作っています。

例えば、扇子の一番外側の竹を厚く削った2本の骨を”親骨”といい、
扇子の内側の薄く削った骨を”中骨”といいますが、
この2つはそれぞれ違う職人さんが担当しています。

そして、それをまとめて扇子の形にする専門の職人さんもいるんですよ。
ここまで細かく分業化されているんですね!

高島扇骨の職人技を実演!磨かれた竹は乙女の素肌のよう

ずらりと並ぶ道具
今回は中骨を磨く工程を少し見せていただきました。

磨く作業3
扇骨を束にして「包丁」と呼ばれる独特の形の刃物で削っていきます。
その束ねられた扇骨の数は、なんと1,300枚!!

最初はザラザラだった表面が、
作業後は乙女の素肌のようにすべすべになっています。

磨く作業2
長い時間をかけて磨き上げられた職人の技は
見ているだけでほれぼれ!

世界にたったひとつだけの”オリジナル扇子”をつくろう!

もっと気軽に高島扇骨に触れてみたい、という方におすすめなのは
扇子の絵付け体験!!「すいた扇子」では、世界に一本だけの
オリジナル扇子を作ることができます。

説明をきく
今回はしがトコ編集部のお子さん達が仲良く挑戦!

イチから丁寧に説明してくれるので、
はじめてでも、小学生でも簡単にできるのでご安心を!

下書き
描く絵が決まったら、扇面に鉛筆で下書き。

絵の具で絵付け
そのあと、水彩絵の具で色を付けていき、

完成
これで完成です!
爽やかで可愛らしい絵柄になりました。

この後は、扇子にしておよそ1か月後に郵送してくれるそうです。
どんな仕上がりになるかとっても楽しみです!

絵付け体験は予約制となっていますので、事前予約をお忘れなく。

もっと「高島扇骨」を知りたいなら

高島扇骨についてもう少し気軽に知りたい、という方には
すいた扇子からほど近くの「道の駅 藤樹の里あどがわ」内の
ギャラリーもおすすめです。

道の駅の展示
パネルやビデオでとてもわかりやすく解説されているので、
ぜひ足を運んでみてくださいね。

日本文化を支えてきた奥深い高島扇骨の世界に触れてみませんか?

何人もの職人の技術が合わさり、
ひとつひとつ丁寧に作られていく高島扇骨。
茶道や華道、日本舞踊にも、また、将棋や囲碁の世界でも
扇子はなくてはならないもの。

そんな日本文化を長きにわたって支え続けてきた高島扇骨。

みなさんもぜひ安曇川を訪れ、オリジナルの扇子を作ってみたり、
300年の歴史と文化に触れてみてはいかがでしょうか。

(写真・文 若林佐恵里)

記事公開日:2017年9月21日/最終更新日:2021年6月15日

「すいた扇子」を地図でみる

JR安曇川駅から徒歩約10分!

すいた扇子

→大きい地図で見る

「すいた扇子」のデータ

住所
 〒520-1212 滋賀県高島市安曇川町西万木62
→地図
電話番号
0740-32-1345
定休日
不定休
Webサイト
びわこ高島観光ガイド
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