カルチャー

これは何だろう?瓦のまちで不思議なアートに出会う『土から生まれた』展に行ってきました!

【滋賀近美県内移動展示事業×かわらミュージアム】

ぶつぶつがついた背中とどこか愛らしい目
思わずじっと見入ってしまう
今にも動き出しそうな三匹のいきもの。
一体これは何でしょう?

これは「つちのこ」と題された陶芸作品。
近江八幡市の”かわらミュージアム”で開催された
『土から生まれた』展の様子です。

会場には、躍動感いっぱいの作品が展示され、
不思議なアートとの出会いに、
ふだん使っていなかった感覚が動き出すような、
見る人の好奇心をゆさぶる顔ぶれが並んでいました。

新型コロナウィルス感染防止対策のため会期途中での中止となってしまい
「見に行けなかった!」という人のためにも、展覧会の様子をレポートします!

土から生まれた陶芸作品

土から生まれた展

現在、リニューアル休館中の滋賀県近代美術館の県内移動展示事業の
第4弾として企画された『土から生まれた』展。

海外でも評価の高い滋賀県在住の陶芸作家、澤田真一さんの作品や
滋賀県立近江学園の生徒たちの作品が展示されていました。

つちのこ2

こちらは溝口翔太さんの作品「つちのこ」。
まさに今、土の中からひょっこりと顔を出したような表情がとてもユニークです。
ベタ〜っと横に広い口と、まん丸の目。
見れば見るほど味のある「つちのこ」たちです。

つちのこ1

近江学園の職員さんが釉薬で色つけしたという鮮やかな赤色も
「つちのこ」を楽しいキャラにしています。
よくみると、ヒゲのようなものがくるんと跳ねていて、
作者の力強さも随所に感じる作品です。

これは宇宙人?!いいえ、じつは‥‥

たぬき2

こちらは海外でも評価を得ている陶芸作家、
澤田真一さんの作品。

「あ!宇宙人だ!」と思いましたよね?
よくわからない不思議な存在。
どこからどう見ても、これは宇宙人!
いやいや、それが、じつはこの作品‥‥

たぬき1

「たぬき」でした!

土の中から現れてきたかのような
人間味のある表情と個性的な形に目がくぎづけに。
たぬきと言われてみれば、
くりっとした丸い目のあたりが、たぬきにも見えてくるかも?!

子どもの頃、どこからともなく現れて、そばにいてくれた友達。
そんな空想なのか現実なのかわからない存在が
いませんでしたか?

大人の目には見えない
子どもの目にだけ見える存在を
形にしたかのような作品群。

澤田作品

体にまとわりつくように並ぶぶつぶつも
やはり生命の源である土を感じさせます。

作品名は「キリンの山」

キリンの山1

こちらの作品は石野光輝さんの「キリンの山」。
なぜこれがキリンの山なのか…。
タイトルを見てそう考え込まずにはいられない作品です。

作者によるキリンはこちら。

キリン

こちらは「キリン」の雰囲気がありますね。
背中にあるのはたてがみでしょうか。
風を受けて疾走するような、
エネルギーを感じる作品です。

キリンの山2

じつはこの作品「キリンの山」は、
数えきれないほどのキリンが、山を登っている様子だと
学芸員の星野志穂さんが教えてくれました。

人間の環境破壊に怒ったキリンたちが、
人間を相手に戦いを挑もうとしている様子に見えました。
(そう、ジブリのあの作品のように…)

この作品は見る人の想像力を掻き立てる力があります。
きっとそれぞれの心にキリンのストーリーが生まれるのではないでしょうか?

それぞれの中にある「仏像」

仏像2

そして最後は、木村佑介さんの作品「仏像」です。
カタチも様々で、よく見ると、優しい表情をしています。
私たちが想像する仏像のイメージとは180度違っていますが
その雰囲気はとてもフレンドリー。

仏像4

大きな手でこちらに手をふっているようなポーズは
「ハイタッチしよう!」と言っているみたいですね。

作者の木村佑介さんは実は仏像鑑賞が大好きで
よく京都や滋賀の寺院巡りをしているのだそう。

そこで見た仏像も、木村佑介さんのフィルターを通すと
このような楽しい仏像になるのかもしれないと、
学芸員の古沢ゆりあさんが教えてくれました。

うさぎのリンゴ

見る人によって受け取り方はそれぞれ。
あなたはどんなものを感じるでしょうか?

土から生まれた展覧会場

「こうに違いない」という、固定概念を取り払った先に待っているのは、
感性がとまどいながらも、新しい世界を受け入れようとする。
不思議な好奇心との出会い。
アートがぐんと身近に感じられる作品展示でした。

滋賀県立近代美術館 県内移動展示事業・
かわらミュージアム企画展「土から生まれた」

会期:2020年2月15日(土)~3月22日(日)
 ※新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、2月29日以降中止
会場:かわらミュージアム(近江八幡市多賀町)
主催:滋賀県立近代美術館、
かわらミュージアム(指定管理者 株式会社かんでんジョイナス)

詳しくはこちらから

かわらの粘土で制作体験も!八幡瓦の魅力に触れられる「かわらミュージアム」

かわらミュージアム1

会場となった「かわらミュージアム」は、
近江八幡の街並にとけこむ白壁に瓦屋根の、
全国でも珍しい“瓦”がテーマのミュージアム。
八幡瓦をはじめたとも言われている瓦職人・寺本仁兵衛の住居跡に
平成7年に誕生したスポットです。

瓦の石畳

よく見ると、足元の石畳にも瓦が使われています!

かわらミュージアム展示
近江八幡は、300年以上続く八幡瓦の産地。
その立地条件から、瓦に適した良質な粘土が採取され
昔から八幡瓦が作られてきました。

かわらミュージアム展示2

常設展では、瓦の歴史や、日本や世界各地の瓦について学べるほか、
体験工房ではかわらの粘土を使って、
オリジナルの鬼瓦を作ることもできますよ。

近江八幡市の人気観光スポット「日牟礼八幡宮」や「八幡堀」にも近く
観光のついでに立ち寄るにも便利なスポット。
外歩きを楽しみながら、休憩がてら足を運んでみるのも良いですね。

(写真・辻村耕司 文・若林佐恵里 編集:しがトコ)

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