【伊崎の棹飛び/滋賀県近江八幡市】
湖上へ突き出た”棹”の上で合掌し、一気に琵琶湖へ!
思わず「え!」と声を上げたくなる、インパクト抜群のこの写真は、
滋賀県近江八幡市の伊崎寺(いさきじ)でおこなわれる
『伊崎の棹飛び』の一瞬を捉えたもの。
写真を見ているだけで足がすくむ『棹飛び』。
伝承では1000年近く続いていると伝えられ、
文献でも16世紀にはおこなわれていたことが確認されています。
一体なぜ、琵琶湖へと飛び込んでいるのでしょう。
飛び込んでいる人は、どんな人?
お寺の方に詳しく教えてもらいました!
湖上にまっすぐ突き出た棹の上を歩く
(写真:辻村耕司)
『伊崎の棹飛び』がおこなわれるのは、滋賀県近江八幡市の伊崎寺。
近隣にある、西国三十三所札所である
長命寺から連なる山系上に立地する、天台宗のお寺です。
『伊崎の棹飛び』は毎年8月1日におこなわれ、
伊崎寺の代名詞として全国的に広く知られています。
(写真:辻村耕司)
突き出た棹の先端から琵琶湖へ飛び降りるという、
緊張感に包まれた行事。
身をもって体験できるのは
“百日回峰行(ひゃくにちかいほうぎょう)を万行した行者”です。
厳しい修行に耐え抜き、挑む
百日回峰行とは、定められた数十キロの山道を
一日たりとも休むことなく往復し、
それを百日間続ける修行のこと。この修行に入れるのは、
事前に修行を終えた、一年にたった一人だけ。
一度始めたら途中でやめることは許されず、
万が一やめる場合は自害を求められます。
そんな、想像を絶する厳しい修行に耐え抜いた行者の”行”として、
『伊崎の棹飛び』は位置づけられています。
湖に飛び込む姿は他者救済の行
行者が、湖上にまっすぐ突き出た”棹”と呼ばれる角材の上を歩き
湖に飛び込む行為は、”捨身(しゃしん)の行”をあらわします。
捨身(しゃしん)とは、仏道の修行者が、他者救済のため自らの命を捨てること。
行者が人々のさまざまな願いを背負い、棹の先端から湖に飛び込む。
そして、自らの足でまた陸へ戻ることは、生まれ変わりの様子をあらわしています。
伊崎の棹飛びは、そんな”再生”をあらわした”行”なのです。
伊崎の棹飛びをこの目で見たい!
その瞬間を間近で見たい!という人は、
参拝者におこなわれる、くじ引きに参加してみてはいかがでしょう?
くじに当たると、船に乗って琵琶湖から参拝することができます。
伊崎寺が檀家制ではなく、参拝者からの”お供え”により運営していることから
“日ごろから参拝してくださる方への感謝をあらわすため”として始まった、湖上からの参拝。
当日は、10時頃より受付が始まり
ここで”お供え”を渡す際に、希望者にくじ引きがおこなわれます。
くじは、船からの参拝と棹飛堂からの参拝を選んでおこない、
もし外れてしまった場合は、本堂でライブ中継映像を見ることができます。
脈々と受け継がれてきた、神聖な祈りの場
琵琶湖のほとりで暮らしてきた人々の、大切な行事として
脈々と受け継がれてきた『伊崎の棹飛び』。
電話取材に応じてくれた、伊崎寺職員の亀岡さんは
「伊崎寺は、滋賀の魅力にあふれる素晴らしいお寺です。
駐車場からは歩くことになりますが、それでも神聖な祈りの場である棹飛びを
ご覧になりたいという方は、ぜひお越しいただければと思います」と
棹飛びへの思いを語ってくれました。
まさに近江の奇祭とも言える迫力満点の『伊崎の棹飛び』を見に
伊崎寺へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
(写真・近江八幡観光協会、辻村耕司 文:土岡菜摘 しがトコ編集部)
記事公開日:2019年7月31日/最終更新日:2022年7月27日
『天台宗伊崎寺』を地図でみる
駐車場から境内まで徒歩約1km
→大きい地図で見る
「天台宗伊崎寺」の詳細情報
- 住所
- 〒523-0803 滋賀県近江八幡市白王町1391(→地図)
- 電話番号
- 0748-32-7828
- 交通案内(電車・バス)
- JR東海道本線(琵琶湖線)近江八幡駅下車、
近江鉄道バス(北口バスターミナル6番乗り場より)
長命寺経由 休暇村近江八幡行き 乗車 約30分 - 交通案内(車)
- ファミリーマート近江八幡白王町付近に案内看板あり。
駐車場から境内まで約1km徒歩となります。
台数に限りがありますのでご注意ください。 - 伊崎の棹飛び
- 毎年、曜日に関係なく「8月1日」におこなわれます
- 公式サイト
- http://www.isakiji.jp/