【工房しゅしゅ/滋賀県東近江市】
普段は日本酒を飲むときに使うお猪口。
でも、この中に入ってるのは、日本酒ではなくスイーツです。
スプーンですくいたくなるこのお菓子は、
じつは、滋賀の地酒の酒粕で作られた生チーズケーキ。
酒粕というのは、お酒を作る工程でできるものなんですが、
その風味は、日本酒と同じくらい、酒蔵ごとに違います。
このチーズケーキは、そんな酒蔵ごとの個性を楽しむため、
滋賀県東近江市にある『工房しゅしゅ』へと行ってきました。
利き猪口で楽しむ、滋賀の6つの蔵の味

『工房しゅしゅ』のお店は、東近江市ののどかな風景の中にあります。
店内にはラスクやクッキーなど、地元滋賀の食材を使った様々なお菓子が陳列。

色とりどりなお菓子に、つい目移りしてしまいそう!
ところで、このお店では一風変わった生チーズケーキを取り扱っているそうですが……
「はい、こちらですね!」

製造責任者である持永美咲さんが掲げてくれたのは、お猪口が6つ入ったセット。
見た目のインパクトにびっくりしてしまいますが、こちらはれっきとしたお菓子。
これが、工房しゅしゅで販売されている「湖のくに生チーズケーキ」です!

お菓子の容器として使われているのは、日本酒を楽しむために用いられるお猪口。
蓋を開けると中にはお酒……ではなく、まっ白で上品な見た目の生チーズケーキが詰まっています。
スプーンですくって一口食べてみると……
甘い!
甘くて濃厚な舌触りとともに鮮やかに広がるのは、日本酒の風味……!
そしてこの、ツブツブとした食感はなんでしょう?

その正体は「酒粕」
「湖のくに生チーズケーキ」は、滋賀県内の酒蔵の酒粕から作られたお菓子なのです。
使われているのは、七本鎗、萩乃露、浪乃音、美冨久、松の司、喜楽長の6つの蔵の酒粕。
利き酒ならぬ”利き猪口”でそれぞれの蔵の酒粕チーズケーキを食べ比べると、味わいがはっきりと異なることがわかります。

お酒の風味が濃かったり、さっぱりしていたり。
酒粕のツブツブ感が強かったり、さらさらしていたり。
じつにバリエーション豊かですが、なぜこんなにも違った味を楽しめるのでしょうか?
それには、ある”琵琶湖らしい”理由がありました。
利き猪口で楽しむ”利き琵琶湖”?

こちらの図を見ると、6つの蔵は琵琶湖をぐるりと囲む形で点在していることがわかります。
そして偶然にも、それぞれ水源が異なる伏流水をお酒の仕込みに使っているため、水そのものの違いが味に出るのだそうです。

つまりこうして食べ比べることは、利き酒ならぬ、利き琵琶湖……を楽しんでいると言えるかもしれませんね!
そして酒粕ならでは楽しみ方は、これだけではありません。

「熟成」です。
酒粕の中に含まれる麹菌を殺さずに使用しているため、製品にしてからも発酵が進み、日を追うごとに徐々に味も変化していくのだそうです。
取材に訪れた際、できたてのものと、約10日間熟成されたものを特別に試食させていただきました。

……確かに違います!
できたての生チーズケーキにはキレがあり、お酒っぽい味わいが強いですが、熟成が進んだものは角がとれて、風味も食感もまろやかになっていました。
“今年だけの味”をみんなで食べ比べ
さらに使用する酒粕は、その年の日本酒のできによって味わいが左右され、毎年味が微妙に異なるそうです。
しかし工房しゅしゅでは、あえて味わいに手を加えることはしていません。

ベースの酒粕の風味をメインに立たせるために、クリームチーズは国産よりもあっさりとしたオーストラリア産を使うなど、「今年だけの味」を最大限楽しんでもらえるように様々な工夫が凝らされています。
「これ、お酒の味が強いね」
「さっきのよりも味に丸みがあるね!」

お猪口に詰まったケーキをつついていると、酒蔵で利き酒をしているかのよう。
お酒好きな人も、お酒を飲めない人も、一緒にワイワイ”利き猪口”を楽しめるのが良いですね!
酒粕チーズケーキ誕生のきっかけ

工房しゅしゅのお菓子の製造販売は、2012年に『社会福祉法人あゆみ福祉会』による障がい者自立支援の事業として始められました。
その際、法人理事である酒蔵の社長から「今まで捨てていた酒粕を使えないか」と提案されたことから、酒粕を使った生チーズケーキを考案。
「他の蔵の味もあって、食べ比べできたら面白いよね」
と社長の厚意で他の蔵にも呼びかけてもらった結果、6つの蔵の味が誕生しました。

そして販売開始から1年後の2013年。
観光庁の品評会で、全国約700のお菓子の中から「世界にも通用する究極のお土産」の一つとして選出されると、「湖のくに生チーズケーキ」の知名度は一気に広まっていきました。

始まりは「お父さんのお菓子」だった
現在の地に店舗ができたのは2015年。
工房しゅしゅの建物は、3つの異なる建材で構成されています。

これは「障がい者さん・支援者達・地域の人達が一体となって地域を活性化していこう」という想いが込められているほか、デザインには別の意図も含まれています。
それは、男性が入ってきやすいお店にすること。
元々の生チーズケーキのコンセプトは、「お酒好きだけどケーキも好き!」というお父さんに、お子さんがプレゼントできるようにと考えられた「お父さんのためのお菓子」でした。

なのでパッケージも男性向けのデザイン。
お店も男性が入ってきやすい外観にしているおかげか、会社への手土産を買いに訪れる人もいれば、中にはダンプカーでやってくる人もいたそうです。
そして時代が移り、酒粕や麹を使った食品が流行り始めると、お父さんのためのお菓子だった酒粕生チーズケーキは老若男女に幅広く受け入られていくようになりました。
これからも滋賀らしさを詰めこんで

「湖のくに生チーズケーキ」は、店頭にて蔵ごとの味を単品で販売しているほか、お猪口だけでなくプラカップに入ったタイプも用意されています。
オススメは6つの蔵の味を利き猪口できる
「湖のくに生チーズケーキ【プレミアム】お猪口入り6蔵セット」

セットに含まれる「酒粕ビスコッティ」は、生チーズケーキに浸して食べると絶品なのだそうです!
手に入ったお猪口は、そのまま日本酒用に使うのもよし。
いらなくなったものは店舗に持ち込むとポイントカードがもらえ、お猪口6個で300円の金券と交換してもらえます。

工房しゅしゅがこの地に店を構えて2025年で10周年。
酒粕生チーズケーキ以外にも様々なお菓子が生まれてきましたが、「どうせなら滋賀の素材を使いたい」と一貫して地産地消にこだわり、棚やショーケースにあるお菓子には何かしら滋賀県産の食材が使われています。

「なので滋賀県が活性化すれば、これからもっと棚の商品が賑やかになるかもしれませんね!」
最後に持永さんは笑いながらそう話していました。

大切な人への贈り物に。
家族みんなで楽しむために。
今度のバレンタインやホワイトデーは、工房しゅしゅの「湖のくに生チーズケーキ」で、利きチョコならぬ”利き猪口”を誰かとワイワイ楽しんでみてはいかがでしょう!
- 記事を書いた人
- 結城弘/滋賀県出身。小説家・ライター。滋賀が舞台として登場する小説『二十世紀電氣目録』『モボモガ』を執筆。趣味は旅行、レトロ建築巡り、ご当地マグネット集め、地酒。noteにて旅ブログなどを更新中。各SNS⇒ X(旧Twitter)/ Instagram
『工房しゅしゅ』の店舗詳細
- 住所
- 滋賀県東近江市上羽田町786-1
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 月・木曜日
- 電話番号
- 0748-20-3993
- 公式サイト
- https://chou-chou11.com/
- オンラインストア
- https://chouchou11.shop-pro.jp/












