【しが文化交流プロジェクト/長浜国際芸術祭】
どこか懐かしい、昔ながらの風情が残る長浜。
歩き慣れた商店街や歴史ある建物に、この夏、現代アートが溶け込みます。
元金物店から老舗の文具店、街角の公園まで、
日常の風景がそのまま展示空間に変わる
『2026 AT ARTS EXHIBITION 長浜国際芸術祭』が開幕しました!
いつもの街歩きがちょっと違って見えてくる、
新しいアート体験をのぞいてみませんか?
長浜の商店街が、まるごと美術館に!?

黒壁スクエアなどがある長浜大手門通り商店街を中心に、
8月8日から開幕した「長浜国際芸術祭」。
日本、スペイン、ポーランド、ウクライナといった
国際色豊かな9名のアーティストたちが参加し、作品を展示しています。
2回目の開催となる今回、
最大の見どころは、商店街が“まるごと”展示会場になっていること!

金物店を営んでいた歴史ある町屋に、明治創業の老舗文具店、
地域の自治会館、さらには街角の公園まで。
絵画や立体作品などおよそ100点が、
長浜の街中を舞台に、いたる所に展示されています。
歴史ある空間と作品が対話する「生」のアート体験

メイン会場のひとつ「土田金物店」で出迎えてくれるのは、
長浜のシンボル・竹生島の神話や歴史をテーマに、
ダイナミックな空間を創り上げた大﨑緑さんの作品です。

能の演目「竹生島」に登場する言葉を立体的に切り出し、
まるで滝のように解き放った空間。
7日に行われたオープニングセレモニーでは、自身の作品の中で、大﨑さんが舞も披露しました!
さらに、座敷へと目を向けると、
座布団に覆い被さった何やら細長い紙の作品に…。

仏壇と向かい合うようにして飾られた、羽のような作品。

「実はこれ、“舌”をモチーフにしているんです」。
そう話すのは、作品を手がけた野尻恵梨華さん。

「もともと会場にあった仏壇と向かい合うように展示することで、この土地で歴史を刻んできた方々の目線と、現代を生きる私たちの目線が対峙する構造にしました。AIや情報があふれる現代社会において、『一番信じたいものは何か』を模索しています」。
このように、それぞれの会場で惹き込まれるのが、
地域の暮らしが染み込んだ建物の“時間の重み”と、
現代アートが放つ“表現への情熱”が見事に調和した空間。

ただ見るだけでなく、
作品の中に入り込み、光や音、建物の歴史などを通して
“五感で味わう”のがこのイベントの楽しみ方なんです!
街中でアートと出会える仕掛けも満載!

商店街の街角にある「金屋公園」で屋外展示を行うのは春成こみちさん。
豊臣兄弟ゆかりの長浜で、戦国の世の“生と死の炎”から着想を得て形にしたそうです。
使われている素材は、なんと身近な「割り箸」と「ゴム」!

現地に立ってから公園の構造や木の枝ぶりを見て展示方法を考えるという、
現代アートならではの自由な発想に触れることができますよ。
このほかにも、
商店街の各店舗に飾られたアートを探しながら歩く「まちなかギャラリー」や、
多彩なワークショップなど、大人から子どもまで楽しめる仕掛けが盛りだくさんです。
長浜の風土と暮らしの中で生まれた作品たち

この企画の大きな特徴が、アーティストが実際に長浜に滞在し、
この土地の風土や空気感に触れながら作品を作り上げる
「アーティスト・イン・レジデンス」です。
ポーランドから訪れ、およそ2週間長浜に滞在した
カシア・クヤブスカ-マーフィーさん。

母国で芸術大学の先生も務めているというカシアさんは、
長浜で目にした一面に広がる田園風景や、船が行き交う琵琶湖の水脈などから
インスピレーションを受けて、作品を制作しました。
深い歴史や美しい建築が今も多く残る長浜の街並みを
「素晴らしい」と絶賛するカシアさん。
親切で温かく歓迎してくれた長浜の人たちを大好きになったんだそうです!
今回の滞在期間では、
ポーランドから17時間のフライトで持ち込めた筆や墨などの最小限の道具と
長浜で調達した材料のみで制作。
制約があることが表現力を高める良い刺激にもなったそうですよ。

また、滞在制作以外でも長浜に影響を受けたというアーティストも。
老舗本屋「文泉堂」に展示する工芸作家の松山淳さんは、
「以前、長浜の高月にある十一面観音を拝観した際、その美しさに深く感動したのが長浜との縁の始まり」と振り返ります。

その土地だからこそ湧き上がる感情や気づきが、
唯一無二の表現を生み出す原動力なのかもしれません。
長浜に根差したアート活動を目指して

1ヶ所のみだった昨年の会場から拡大し、
今年は街全体が舞台となった「長浜国際芸術祭」。
「商店街の皆さんや地域のボランティアをはじめ、本当にたくさんの人の支えがあって形になりました。文化を生み出すということは1人ではできません。皆さんの力を借りることの大切さを、今回改めて感じています」。
このイベントを主宰するアーティストの西村のんきさんです。

「アートには言葉を超えたコミュニケーション力がある」と信じ、
西村さんは長年アートイベントに取り組んできました。
「世界中にどこか閉塞感が漂う今だからこそ、異なる文化や多様な価値観を理解し合える“オープンマインドな視線”が大切だと感じています。古い歴史と豊かな自然が残る滋賀県は、世界中のアーティストにとって最も刺激的な場所なんです」。

普段から長浜を拠点に制作活動を行う西村さん。
長年のアート活動を支えてくれた地域の人たちに、恩返しをしたいとも思っています。
「歴史的な街並みの中にアートを置くことで、地域に暮らす人にとっても長浜の魅力を再発見するきっかけにしたい。アートを通して人と人が出会い、対話が生まれ、地域の未来へとつながる文化の輪を広げていきたいですね」。



商店街やまちづくり拠点、地域住民が一体となってアートを迎え入れることで、
独自の化学反応を起こしている長浜。
歴史と現代アートが共鳴し合うこの感覚は、
アーティストだけでなく、地域全体で生み出した特別な体験です。
観光はもちろん、ちょっとしたお買い物や日々の暮らしの中で、
ふいにアートと出会うワクワクを、あなたも感じてみませんか?
『長浜国際芸術祭』の詳細
- 場所
- 土田金物店、文泉堂、金屋公園、ギャラリー楽座、祝町会館
ほか長浜大手門通り商店街周辺 - 会期
- 2026年8月8日(土)~8月20日(日)
- 開場時間
- 10:00~17:00(※最終入場16:30)
- 料金
- ・土田金物店、祝町会館は500円
※中学生以下・障がい者の方は無料
・そのほかの会場は無料 - 公式サイト
- https://www.jogoninart.com/
イベント情報
舞踊、能楽、琵琶、トランペットなど、多彩な表現者によるコラボパフォーマンス。展示作品と呼応しながら、音と身体が空間に新たな息吹をもたらします。
日時:8月15日(土) 13:00〜 / 15:00〜
場所:土田金物店
出演:大﨑 緑(舞踊)、Christopher Fryman(トランペット)
観覧料:無料(※本展覧会の鑑賞チケットが必要です)
秋には安土で!「浄厳院国際芸術祭2026」も開催
今回の長浜に続き、秋には織田信長ゆかりの地・安土の浄厳院を舞台にした
『浄厳院国際芸術祭2026』の開催が、10月24日(土)〜11月22日(日)に予定されています!
歴史ある寺院と現代アートが織りなす荘厳な世界観も、どうぞお楽しみに。
※この記事は、滋賀県の「地域資源活用交流創出事業に係るレガシー創出事業」の一貫で、『しがトコ』が企画・取材を担当し制作しました。 http://bino-shiga.net/













