カルチャー

信長ゆかりのお寺×現代アート!”わからない”を楽しめる『浄厳院現代美術展』が開催中!

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織田信長ゆかりの古刹「浄厳院(じょうごんいん)」で、
国内はもちろん、ウクライナやポーランドといった
海外から集った30人以上のアーティストたちによる
現代アートの作品展『浄厳院現代美術展』が開かれています。

お寺の敷地すべてが展示会場!
一歩境内に踏み入れば、文字通りそこは”アートの中”。

廊下や台所など日常の空間を丸ごとアートにしてしまうなど
常識や先入観から解き放たれた200点を超す作品が
私たちを迎えてくれます!

考えの二極化が進み、
宗教や文化の違いで戦争や対立が起こる今だからこそ、
”目を開いて、知らない世界を知ってほしい”。

作品の楽しみ方には正解も答えもない。
自由な発想と解釈を楽しめる現代アートの時間を
過ごしてみませんか?

信長ゆかりの古刹がアートの舞台

楼門

JR安土駅から徒歩約10分。
今回の『浄厳院現代美術展』の会場である浄厳院は、
天正5年(1577年)に織田信長が創建した浄土宗のお寺で、
浄土宗と日蓮宗との間で「安土宗論」が行われたことでも有名です。

正面には重要文化財にも指定された楼門が
今なお色鮮やかにそびえており、
田畑越しにもその堂々とした姿がうかがえます。

鐘楼

境内に入るとまず目に入るのが大きな鐘楼です。
こちらも展示会場の一つかなと思っていたら、
なんと鐘楼そのものが”作品”!

鐘楼内部

作者は浅山美由紀(あさやまみゆき)さん。
鐘楼を小さな命たちを災いや困難から守ってくれる場所と見立て、
やがて時が経ち、小さな命たちが鐘楼の布の穴から
外界へと解き放たれていく様を表現されているそうです。

美術展のテーマは「解き放つ」

レイさん別アングル

「お化け屋敷ではないのでご安心を」

本人の軽妙な語り口とともに案内されたのは、
自分らしく自由に生きる己の姿を龍に重ね、
自身を「我龍」と称するレイさんの展示部屋です。

廃材のロール布に描かれた龍は長さが約6mもあり、部屋に収まらず、
壁にかけられた龍はどことなく縮こまってみえます。

「会期の終わり頃には障子を開けて、隣の部屋も使って龍を解き放ってやるんだ」
と、目を輝かせながら話してくれました。

日本画

そして書院の大広間の奥に立てられていたのは、
見た目は屛風でありながら、雷が絵画から飛び出した
「屛風”風”」と称される大西健太(おおにしけんた)さんの日本画です。

「心の免疫力、心の復興」を掲げ、
9枚の日本画が並べられた大広間には、
「絵を描くなら人の心を明るくしたい」という
大西さんの優しい気持ちで満ちあふれていました。

雀蜂子さん

今回の美術展のテーマは「解き放つ」

その想いを、独特の漫画風のタッチと
青い色彩による点描画で表現した雀蜂子(すずめばちこ)さんの作品です。

絵の中には「死」の象徴であるガイコツを描きながらも、
「死」に対して誰もが抱く「怖い」というイメージを解き放とうと
挑戦した一枚なんだとか。

ウクライナのアーティストも出展

ルイーザさん

『浄厳院現代美術展』の開催は今年で4度目。
昨年に引き続き、海外からも多くのアーティストも招かれていて、
その一人がウクライナ出身のLuiza Filatova(ルイーザ・フィラトヴァ)さんです。
庫裏の一室には、ルイーザさんが描いた
ウクライナや滋賀の風景画が並べられています。

安土の風景

安土の風景を描いた絵画の前に正座すると、
実家から眺める景色のような懐かしさをおぼえつつ、
そこから振り返るとルイーザさんの故郷ザポリージャの
自宅の窓から見た風景画が目に入りました。

ウクライナ

ウクライナと日本の間には、
状況的にも地理的にも途方もなく距離はあるけれど、
故郷の風景に愛着やノスタルジーを感じる心は、一緒なのかもしれません。

空間を丸ごと作品にする

渡り廊下

開催にあたって、展示場所を選んだのは参加アーティストたち自身。
事前に浄厳院を訪れ、お寺のそれぞれの場所から得た
インスピレーションをもとに作品を生みだしました。

中には空間そのものを作品にする「インスタレーション」という
表現方法が使われた作品も。

廊下

その一つが、廊下そのものをアートにした奥田誠一(おくだせいいち)さんの作品です。

命のはなかさを表現したという張子の和紙の焦げ跡と
古びた廊下の雰囲気が不思議と合わさっていて、
元からある壁面の剥がれやシミでさえ、
作品の一部のように思えてきます。

砂漠

また、北村瑞枝(きたむらみずえ)さんの砂漠の絵画が囲む空間は、
何の変哲もない小部屋に思えますが、
畳がかなり柔らかいので歩くたびに足が深く沈み、
まるで本当に砂漠の中を歩いているかのような気分を味わえます!

「お寺×現代アート」お互いがお互いの理解を”橋渡し”

台所

建物の中を歩いていると、土間にたどり着きました。
準備室に間違って入ってしまったのかなと思ったら、
実はここも作品の中。

プロジェクターで映し出された映像と一緒に並ぶ
ガスコンロやかまども今では珍しいもの。
まるでこの時のために用意された展示品のように
アートともにひと昔前の台所の風景を楽しめます。

阿弥陀正面

そうして現代アートの世界を巡っていると、
やがて本堂の中に入り本尊と対面しました。

平安時代の作と伝わる、重要文化財の木造阿弥陀如来坐像です。
(※特別な許可を得て撮影しています)

天井まで達するほどの大きさを誇り、
織田信長が浄厳院を創建した際、
他所から移設してき像が本堂に収まりきらず、
光背のてっぺんを切りとって入れさせたという
真偽が定かでない逸話が残るほど。

現地で初めて目にした際、そのサイズ感と荘厳さにしばし圧倒されました。

こんな発見ができるのも、
「浄厳院現代美術展」の特徴。

門から

お寺すべてが展示会場のため、
現代アートを楽しみに訪れた人は自然と
お寺の歴史や知らなかった自国の文化にも触れることができます。
そしてお寺を目的に訪れた人もまた現代アートに触れ、
「難しいイメージがあったけど、結構楽しい世界じゃん!」と
知らなかった世界を理解するきっかけができます。

本堂作品

「お寺×現代アート」の異色のコラボレーション。

そこにはお互いがお互いの理解を助けあう
仕掛けがあったのです。

目を見開いて、知らない世界を知ってほしい

「考えの二極化が進み、宗教や文化の違いから争いが絶えない今だからこそ、
アートに触れてほしい」
そう語るのは、主宰であり自身もアートを出展されている
西村のんきさんです。

のんきさんと作品

「日常ではわからないものにすぐ白黒つけようとしますが、
アートには正解も答えもありません」。

争いが絶えないのも、お互いのことを知らないから。
でもアートにはそれを乗り越えられる力があると、
西村さんは訴えます。

「ここにきて、わからないものに触れて、
知らない世界を知るきっかけになってほしい」。

展示風景

浄厳院を創建した織田信長も
破壊のイメージが強い人物でしたが、
それでも海外に目を向け、
浄厳院や安土城という美しく優れたものを築いた
アーティストの一面があったそうです。

その信長が創った浄厳院では今、
正解も答えもない現代アートの世界が広がっています。

想像も解釈も自由自在!
足を運んで、知らない世界を楽しんでみませんか?

「浄厳院現代美術展」は11月5日まで開催中

「浄厳院現代美術展」の開催は2023年11月5日(日)まで。
入場はパスポート制で、1500円(入場料+拝観料)を支払えば
何度でも楽しめます。

また会期中は、様々なパフォーマンスも催され、
ギャラリートークではアーティストたちによる作品解説も行われます。

10月28日(土)・29日(日)
全日 お茶会 裏千家
11:00・14:00 ギャラリートーク

11月3日(金・文化の日)14:00
よし笛 近藤ゆみ子
アメリカンフォークソング ザ・リタイアーズ
村西耕爾 古関友二 細井昇 寺島奈緒

11月4日(土)14:00
舞踏&ライブ音楽 ArtPLANDUinc
桂勘・杜昱枋・舞踏白狐系・ChristopherFryman

11月5日(日)14:00
コンサート 亜細亜親爺
Bar Gees AZU Annie-K
BumblebeeJazz 池上純子 野々村知之 斎藤タカシ 人見皆樹

記事を書いた人
結城弘/滋賀県出身。小説家・ライター。滋賀が舞台として登場する小説『二十世紀電氣目録』『モボモガ』を執筆。趣味は旅行、レトロ建築巡り、ご当地マグネット集め、地酒。noteにて滋賀の話題や旅行記事を発信中。各SNS⇒ X(旧Twitter)Instagram

『浄厳院現代美術展』の詳細

住所
滋賀県近江八幡市安土町慈恩寺744
会期
2023年10月21日(土)~11月6日(日)
開館時間
10:00~17:00
浄厳院公式サイト
https://www.jogonin.com/
AT ARTS公式サイト
http://nonki510nishimura.wixsite.com/website-1

提供:滋賀県 「滋賀をみんなの美術館に」プロジェクト http://bino-shiga.net/

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