イベント

創作の起源を辿る企画展 『 ルーツ・ルーツ・トラベラーズ』が成安造形大で開催中です!

【美の滋賀trip!2019#05】

芸術の秋に、“アートの実験室”を体験してみませんか?
今年も、『2019 秋の芸術月間 セイアンアーツアテンション 12
Roots Routes Travelers ルーツ・ルーツ・トラベラーズ』が始まりました!

滋賀県大津市・成安造形大学の「キャンパスが美術館」にて、
11/1(土)~11/23(金)のあいだ開催中です!
看板

今年のテーマは『ルーツ・ルーツ・トラベラーズ』。
5名の作家が、作家自身や伝統、身近なものなど、
それぞれの視点から「ルーツ」にアプローチしました。

表現方法は写真、映像、絵、インスタレーションなど様々。
これまでの価値観が変わるような、新しい切り口の作品に、見る世界が変わるかも!?
この記事では、そんな作品の数々をご紹介します!

石をひっくり返すとそこには…!!偶然から生まれた「旅する犬」

旅する犬全体像
こちらは、吉良加奈子さんの作品「旅する犬」です。
ギャラリーウィンドウには、#travelingdog(トラベリングドッグ)とともに、
絶妙にゆるくてポップなの犬のイラストが!
思わず頬が緩む可愛らしさに、「これもアート!?」と近づいてみると…
旅する犬拡大
石がゴロゴロとたくさん置かれています。
旅する犬の石
よく目を凝らすと、同じくかわいい犬の絵が!
ひっくり返した石
手前に置いてある石も、ひっくり返すとやはり犬が現れます!
いったいこれはどのような作品なのでしょうか?そしてこの犬は何者なのでしょうか?
吉良さん
「きっかけは、雑貨屋さんで売られているお盆の裏に偶然見つけた、謎の犬の落書きなんです。」
と説明する作者の吉良さん。

商品のお盆ではなく“犬の落書き“に惹かれ、
「不良品なので販売できない」と言われながらも、
どうしても買いたい気持ちに押され購入したそうです。

自分が見つけ出さなければ知られることはなかった犬が、
世の中で広がっていけば面白いのではないか、
そしてこの犬も喜ぶのではないか、と吉良さんは考えました。
インスタの画面
そこで始めたのが、「石に犬の絵を掘り、それを町のいたるところに伏せた状態で置く」こと。
子供のころの、石をひっくり返すとカニやダンゴムシが現れた経験から、
ひっくりかえして何かがあったら面白いのではないかと発想を得て、石に掘ることに決めたそうです。

今までに置いてきた石はなんとこれまでに100個ほど!
これらの石はInstagramのストーリーズなどで発信します。
(Instagramアカウント:@traveling__dog
ファンには、投稿を見て実際に石をゲットしに足を運ぶ人もいるそうです!
犬のお盆
こちらがきっかけとなった実際のお盆。
偶然の出会いから、人から人へ広がり、あちこちを旅する犬。
もしかするとあなたの近くを旅しているかもしれません。
企画展のあいだ、学内でも発見できるかも!?ぜひ見つけてみてくださいね。

写真から呼び起こす「ルーツ」の感覚


続いて、写真家・金サジさんの「『物語』シリーズ」。
金さんが作り上げた物語を、写真で残していくシリーズです。
オミの写真
オミの物語
写真とともに展示されている、短くとも重みのある物語のセンテンス。
想像ををかきたてられます。
巨きな五葉松
「『物語』シリーズ」はエントランスにも!作品の世界観に存分に触れてみてくださいね。
潮の洞窟全体
こちらは新作の「潮の洞窟」。
海を背景にちりばめられるスナップ写真の数々。

作者の金さんは、
言葉や手元に残るものではなく、
日常的に経験しているもののなかから身体的に実感が得られる、
初めて見聞きするけれど、どこか懐かしいようなものに目を向け、撮り集めてきました。

これをどう感じるかは、見た人次第!どう感じるか、実際に確かめてみてはいかがでしょうか。

「“これ”は何?」写真に映った正体不明の物体を解き明かす!

澤田さんの作品全体
こちらは澤田華さんの「Gesture of Rally #1902」。
展示室一体が1つの作品です。
入り口から順番に、古本の写真に映っと正体がわからないものを、
「これっていったい何だろう?」と追究していきます!
小さな謎の物体
まずはこちら。指さす先の、小さな物体が見えます。何なのか全く分かりません。
拡大した謎の物体
これを拡大するとうっすらと形が浮かび上がります。
縁取りした謎の物体
さらに線で縁取ってみます。何に見えますか?
謎の物体の候補資料
画像検索で、姿かたちの似た候補をピックアップします。
排水口の蓋?もしくは鍋?王冠?など予測はさまざま。
資料を見る来場者
資料を見る来場者2
壁に掛けられている膨大な数の資料をめくりながら、「なんだろう?」とさらに足を進めます。

「これは何?」「これ」とは?と読み解いていく過程の面白さと、
終わりなく繰り返す「問い」を体感できるこの作品。
はたして答えはあるのでしょうか。続きはぜひ会場で見てみてくださいね!

「ルーツ」と向き合い、残していく作品

罪の意識
こちらは井上裕加里さんの映像作品「罪の意識」です。
広島の原爆ドームを背景に作者の井上さんが左右に分かれて話します。
戦争と平和について、さまざまな立場の人々が残した言葉を投げあいます。
井上さん
井上さんは広島県の広島市外のご出身。
自身のルーツである広島での平和教育の教科書で学んだ史実と、
市外に住んでいた実際の自分の感覚のずれを感じ、
その違和感は何なのか、作品を通して探っていったそうです。
うつる・うつす
こちらは中尾美園さんの作品「うつす・うつる」。
作品には、伝統や風習など、今までのルーツを残していきたい思いが込められています。
中尾さんは、忘れ去られていってしまうもの、なくなりゆくものをテーマとして表現してきました。
美佐子切
「美佐子切」は、亡くなった祖母の桐たんすに入っていた品々を、巻物に模写したものです。
生きた断片を垣間みる作品。
当時の様子が息づくような、繊細な絵に見入ってしまいました。
キミヱからヨシエへ
中尾さんの大叔母・キミヱさんのしめ縄作りを収録した
映像作品「キミヱからヨシエへ」もご覧になれます。
ぜひチェックしてみてくださいね。

13回目となる今回の企画展!テーマに込められた思い

田中さん
イベントを主催する、成安造形大学「キャンパスが美術館」の田中真吾さんは
今回のテーマ「ルーツ・ルーツ・トラベラーズ」の由来について
「2020年に前身の京都成安学園が創立100周年を向かえるにあたって、
何かメッセージを伝えられる企画にできないかと思ったんです」
と語ります。

学祖である瀬尾チカさんは、女性の社会進出が難しかった時代に、
裁縫学校を設立し、自立した女性を社会に送り出してきました。
この企画展は、当時瀬尾チカさんが目指した社会から問われる、現代へのメッセージでもあります。
なので今回は5名の作家も女性、作品に登場するのも女性が多いんです!


バスストップギャラリーには、100周年の京都成安学園の歴史をあらわす年表が。
ここではほかにも、学祖・瀬尾チカさんが考案した戸田式開襟シャツを、
在学中の学生たちの手で復元したものが展示されています!
学園とそれをとりまく社会の昔と今、そしてこれからを考えさせられるエリアです。
グッズの表示
「ミュージアムショップ(カフェテリア結)」ではオリジナルグッズも販売中。

そして11月23日(土)14時からは、
愛知県美術館学芸員である中村史子さんをゲストに迎え、作家とともにトークショーも行われます!
入場は無料、会場は成安造形大学 I棟プレゼンルームにての開催です。
会期の最後まで楽しめるラインナップとなっています!
→詳細はこちら

ときにハッとさせられ、ときにワクワクさせられる作品がたくさんのこの企画展。
地域や一般の方にも開かれていて誰でも気軽にご覧になれます。
アートが好きな方も、アート初心者も楽しめること間違いなしです!

写真:林正隆 文:片山紀香

「成安造形大学」を地図でみる

国道161号線「雄琴IC」から車で約15分!

成安造形大学

→大きい地図で見る

「Roots Routes Travelers」の詳細情報

会期
2019年11月1日(金)~11月23日(土)
休館
日・月曜日休館※11/16(土)は休館
開場時間
11:00~17:00
場所
〒520-0248 滋賀県大津市仰木の里東4-3-1
→地図
お問い合わせ
成安造形大学【キャンパスが美術館】077-574-2111
入場料
無料
公式サイト
http://www.seian.ac.jp/gallery/?category_name=schedule-attention/
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