「京阪は向かい合わせの席が青春っぽいから好き!」
という沿線の女子中学生の何気ない言葉から
生まれた『青春21文字のメッセージプロジェクト』。
大津市内を走る,京阪石山坂本線の駅数「21」にちなんで、
電車や駅を切り口に青春の思いを「21」文字で表現した
メッセージを募集するコンテストです。
17回目の今回は「出発」「駅舎」「笑顔」がサブテーマ。
46都道府県や海外から集まった5022点の中から
選ばれた入選作品が、現在、京阪石山坂本線や
近江鉄道、信楽高原鐵道の電車内などで展示されています。
海外からの応募も!5022作品から選ばれた優秀作品
今年の最優秀2作品は
知事賞「子ども切符を買った子の手に十円の跡」
米原市の中西太さんの作品と、
大津市長賞「さり気なく譲る少年。お腹の子もそう育てたい。」
神奈川県のつべるさんの作品。
知事賞の作者・中西さんはなんと、近江鉄道の駅務員さん。
電車に携わる人の入賞は17回目にして初めてのことなんだとか。
甘酸っぱい、青春を感じさせる作品も。
車両内に一足早い、春が訪れた気がしますね。
電車通学の中で、良いことがあったり、
ときめくことも起こったり。
メッセージを眺めていると、
そんなあの日の気持ちを思い出し
思わず21文字にしたためたくなってきます。
青春の21文字が電車できらめく
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
琵琶湖畔を走る京阪石山坂本線は、
沿線に数多くの学校があり青春を感じさせることと
駅数「21」にちなんでスタートしたのが、
『青春21文字のメッセージ』です。
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
2006年に市民グループ「電車と青春21文字プロジェクト」の主催で
第1回が開かれ、全国47都道府県から2355点が集まりました。
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
第1回から最終審査を歌人の俵万智さんが務めていることも話題に!
第10回までは、優秀作品をラッピングした電車が
街中を走り、コンテストを盛り上げていました。
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
2018年には近江鉄道にも活動が広がり、
翌年には信楽高原鐡道とも連携。
いまでは、入賞作品が県内を走る
ローカル電車に展示される光景が、
卒業シーズンの風物詩となっています。
今年も開催。県立美術館での「青春21文字のメッセージ展」
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
電車内の展示に先立って2回目となるメッセージ展、
「青春21文字のメッセージ展~ことばが光ると思いが届く~」が、
昨年12月に「滋賀県立美術館」で開催されました。
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
会場では2次審査で選ばれた入選100作品が展示され、
来場者は一つ一つのメッセージに見入っていました。
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
来場者の投票により、
「21文字メッセージin美術館」賞を
決めるという初の試みも。
ちなみに、投票の結果は、知事賞と同じく
「子ども切符を買った子の手に十円の跡」でした。
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
会場ではほかに、大津市瀬田地域を拠点に
障害者の支援やまちづくりに取り組む
NPO法人「BRAH=art.」(ブラフアート)
の協力で『青春21文字メッセージ』の歴史を振り返る
動画を紹介。
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
近江鉄道の車両で実際使われていた座席シートも登場し、
電車内にいるような仕掛けで来場者を魅了していました。
音で聞く『青春21文字のメッセージ』
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
「青春21文字のメッセージ展」の会期中には
イベントの日が設けられ、
市民グループ「ボランティア朗読 比良の風 琵琶のさざなみ」
による過去の優秀賞の朗読も行われました。
(写真提供:「電車と青春21文字プロジェクト」)
『青春21文字のメッセージ』をイメージして作られた、
「21文字のうた」を作曲した「ゴリラ祭ーズ」
ボーカル・ギターの古賀礼人さんが披露。
目で見るだけでなく、音でも感じられる
「青春21文字メッセージ展」となりました。
21文字で表現する新文芸。続けることが文化になる。
応募数が支えだという同プロジェクト代表の福井さん。
今回も全国から5000点を超える作品が集まりました。
「今年は、日常のありがたみを切り口にした
温かい作品が多かったです。
電車の利用者ではなく、電車に携わる人からの応募が優秀作になり、
まだまだ『青春21文字のメッセージ』の広がりを感じています」。
第1回からの同プロジェクトメンバー・木村浩一さんは
「県外の学校からの応募が増えて嬉しいです。
全国に向けて発信を続け、このプロジェクトが広がっていき
さらに色々な方に応募してもらえば嬉しい」と話してくれました。
電車内での展示は、京阪石山坂本線、
近江鉄道、信楽高原鐵道で3月下旬まで開催中。
(※車両点検等で運行のない日もありますので、ご注意ください。)
またJR西日本の県内の駅、比叡山鉄道・坂本ケーブルの駅舎でも
ポスターの展示が行われています。
ぜひ、電車に揺られながら作品を眺め、
それぞれの“青春”を感じてください。
(文・安部愛子 写真・山本陽子)
『青春21文字のメッセージ』の情報
- 開催期間
- 3月下旬まで
- 開催場所
- 京阪電車石山坂本線、近江鉄道、信楽高原鐵道など
- 主催
- 電車と青春21文字プロジェクト
- 公式サイト
- https://densyatoseisyun21.com