【彦根城/滋賀県彦根市】
満開の桜の中にそびえたつ『彦根城』は
徳川家康が佐和山城を一掃するために築かせたという”戦のための城”でした。
ゆったりと水が流れる堀を抜けて中に入れば、
目に入る石垣に積まれた櫓(やぐら)の数々。
見晴らしの良い天守閣も、当初は軍事的な目的で造られた戦いの跡なのです。
400年の時を超え、
政治的象徴から観光客で賑わう平和の象徴へと変貌をとげた
桜満開の彦根城へ行ってきました。
春はお城が一年で一番美しい季節
春になると彦根城界隈は約1200本の桜が咲き誇り
淡いピンク色に包まれます。
月明かりに浮かぶ彦根城の美しさは琵琶湖八景の一つにも数えられています。
明治時代の廃城令や戦火を免れて今に残るこの城は、
受け継ぐ歴史の深さと、その美しさで多くの人を魅了し続けているんです。
内堀を沿うように、屋形船がゆらりと水辺を進んでいきました。
江戸時代はお殿様の専用船であったそうです。
それについていくように鴨の親子がひょっこり。
なかでも外堀にせり出すように咲く桜の眺めは
彦根城ならではの桜の楽しみ方。
現在の彦根城は、“戦のための城”だったとは思えない、
ゆったりとした時間が流れる場所となっています。
戦いを有利に運ぶ!戦略的な櫓の数々
彦根城跡は敷地がとても広いんです!
天守を中心に内堀、さらに中堀の2重に堀で囲まれています。
城跡の敷地内には滋賀県立彦根東高校や滋賀大学などもあるんですよ。
そして彦根城といえば、大河ドラマにも何度も登場する『井伊直弼』。
ここ彦根城跡には、井伊家にゆかりのある建物もたくさん残っています。
また『彦根城博物館』では、井伊家伝来の美術品が約5千点、
彦根藩に関する書物が約4万点も収蔵されています。
表門から中に入ると、杖が用意されていました!
そんなに険しい道を進むの?と先がやや思いやられます…
表門参道には、石垣に囲まれた長い石段がさっそく出迎えます!
ここの石段だけでもぜえぜえと息が。
子供たちが元気に駆け上がっていくのを横目で見ながら負けじと進んでいきます。
この石段といい、それを囲う石垣と言い、
天守へたどり着くまでにたくさんの妨害があります。
これは、敵が一気に攻め入れてこれないようにと考えられているそうです。
角度やふみ幅をわざと不揃いにすることで、敵の歩調を乱すという戦略なんだとか。
400年前の戦を想像しながらこの道を通ると、より興味深い気持ちになりますね。
そして目に入る頭上の橋!
その先に繋がるのが重要文化財の『天秤櫓』です。
正面から見て、橋を中心に櫓の形が左右対称にあることから
「天秤櫓」と呼ばれるようになったそう。
当時、中心の橋は敵に攻められたとき、落とし橋として活躍していたのだとか。
彦根城の守備の要だったことが伺えます。
『時報鐘』は江戸時代から時刻を知らせる鐘として使われていました。
今も6~18時の3時間おきに鐘が鳴らされ、城下町に鐘音が響き渡ります。
毎年、大晦日には『除夜の鐘をつく集い』も開かれています。
敷地の西側に建つ『西の丸三重櫓』。
裏手から攻めてこられた時の守りの要であったそうです。
こちらは櫓内を階段で上階へ上ることができます。
天守にもこのように急な階段があるので、上るときは注意してください。
重要な見張りの櫓であったらしく十分な眺めです!
天守が桜の合間からひょっこりと顔を覗かせていました。
彦根のまちが一望!訪れたらぜひ天守を登ろう
そしてやっと、国宝『天守』に到着です!
その姿は城下からも見えていましたが
改めて目の当たりにすると、やはり圧倒的な存在感です。
天守は3階3重と規模としてはかなり小ぶりですが、
屋根に『切妻破風(きりづまはふ)』『入母屋破風(いりおもやはふ)』
『唐破風(からはふ)』といったさまざまな破風を配し、
非常に優雅で美しい外観をしています。
さらに、本来の機能である軍事面でも優れているんです!
破風を作ってできた空間が、
敵を待ち受ける隠し部屋にもなっているそう。
城内には『鉄砲狭間』や『矢狭間』も残っています。
外から見えないように漆喰で塗り込まれていたそうですが、
いざという時にはその壁を突き破って使用していたのだとか。
天守からの景色も最高!
彦根の城下町をぐるりと見渡すことができます。
当時はここから敵陣が攻めてくるのを確認していたのかもしれませんね。
雄大な琵琶湖の眺めも楽しめます。
戦の合間に、この風景を楽しむ余裕はあったのでしょうか。
そんな疑問を抱きつつも、ゆったりとした琵琶湖の姿を眺めていると
この癒しは昔も今も変わらないものだったのかもしれないと思えてきました。
彦根の人気者!ひこにゃんグッズがずらり
彦根の有名なゆるキャラといえば「ひこにゃん」!
先日では、東京「ここ滋賀」での目撃情報があったそうですが、
その人気は全国的なものなんです!
表門にはひこにゃんパネルがあったり、
天守の前ではひこにゃんと一緒にハイチーズ!
彦根城跡のいたるところにひこにゃんがたくさん出没しています!
天守を後にしようとすると、
「ひこにゃんの時間!早く行かないと!」と何やら人の波が動いていきます。
気になるのでついて行ってみると・・・
ひこにゃんの登場時間の案内板がありました!
登場時間や場所は当日の天候やイベント状況で変わることもあるそうですが、
ここでは1日3回ひこにゃんに会えるチャンスがあるんです!
彦根城博物館の前にひこにゃん登場!
観客も嬉しそうに皆が揃ってカメラを手にします。
皆の前でパフォーマンスをするひこにゃん。
お魚や刀を持って何をするのかと思いきや、
なんともスローでゆる~い動きがとてもシュール(笑)
あちらこちらでじわじわと笑いがおきます。
この愛らしい仕草はにやにやと眺めていたくなりますよ。
さらにお土産屋さんでもひこにゃんグッズがずらり!
マスコットからお菓子など…とにかくたくさん。
彦根市ではひこにゃんとコラボレーションしたお菓子なども多く、
こちらは老舗の手づくり和菓子工房『虎てつ』の看板商品『ひこどら』。
ひこにゃんの焼き印がとっても可愛い!
お土産にもぴったりですし、ひこにゃんに会えなかったという人も
甘くて可愛いお菓子で癒されたいですね。
城下町に流れる歴史の面影と、現代で暮らす地域の声
彦根城は平成8年に築城以来の5回目の大改修が完了しています。
天守の約6万枚もの屋根瓦の吹き替えと白壁の塗り替えが行われ、
現代に美しさを蘇らせました。
彦根城跡内だけでも楽しいスポットがたくさんあるのですが、
堀の外にも地元ならではの楽しみもあふれています!
お殿様・お姫様気分が味わえる『自転車タクシー』で
地元のガイドさんとゆっくり彦根の街を巡るのも楽しそうですね。
城下町の町並を再現したキャッスルロードには
彦根の美味しい食べ物が勢揃い!
穏やかな街並みを散策しながら、彦根名物を味わってみては?
堀に沿って歩いていると、敷地内の部活生のにぎやかな声も聞こえてきました。
歴史が深く、多くの人が訪れる場所でありながらも、
地元の活気や協力が垣間見える彦根城。
数々の戦を乗り越えてきたからこそ、今に繋がる平和の象徴なんですね。
穏やかな時代に残る戦の城にぜひ足を運んでみてください。
「彦根城」のデータ
- 住所
- 〒522-0061 滋賀県彦根市金亀町1-1
- 電話番号
- 0749-22-2742
- 入場料
- 彦根城・玄宮園:大人 1,000円/小・中学生 300円
- 営業時間
- 8:30~17:00
- 公式サイト
- https://hikonecastle.com/
(記事作成日 2018年4月13日)