カルチャー

樹齢千余年の大ケヤキの一本に別れ。その堂々たる姿を目に焼き付けて

【菅山寺の大ケヤキ/滋賀県長浜市】

奥びわ湖の大箕山という山の中にある菅山寺。
学問の神様・菅原道真が手植えしたとされる二本の大ケヤキで有名です。

この大ケヤキ、樹齢はなんと約1300年!
滋賀県の自然記念物・保存樹にも指定されていますが、
その一本が幹から折れてしまったという悲しいニュースが舞い込みました。

長浜市を代表する巨木の「菅山寺のケヤキ」が、
幹から折れていたことが分かった。樹齢千年とされる老木で、
弱っていたところに強風などが加わって倒れたとみられる。
引用:「樹齢1000年のケヤキ折れる 長浜・菅山寺」(中日新聞)

折れていることが発見されたのが、9月3日。
実はその直前の8月30日に、しがトコライターが
ちょうどこの木の取材に行っていました。

長浜市を代表する巨木の一つである大ケヤキが倒れてしまったことは、
地元の方のみならず多くの愛好家たちにも衝撃を与えました。

とても残念で悲しい気持ちでいっぱいですが、
二本並んだ神々しいケヤキの姿を、ぜひ沢山の方に
見ていただきたいと思い、記事を書くことにしました。

(写真投稿:terapho.toさん)

その堂々たる姿を目に焼き付けて

二本並ぶケヤキ
まずは、その堂々たる姿をご覧ください。
さすがに樹齢千余年ともなると、その圧倒的な存在感に
ただただ無言で木を見上げてしまいました。

弱っているケヤキ
貫禄を感じる一方で、近づいてみると
枯れかけているようにも見えてなんだか元気がなさそうだったケヤキ。
まさかこの数日後に倒れてしまったなんて…。

菅山寺はもとは龍頭山大箕寺と呼ばれ、菅原道真は6歳から11歳まで
このお寺で勉学に励んだといわれています。
889年に宇多天皇の命により入山し再興させ、その際に大箕山菅山寺と改名。
鎌倉時代の最盛期には僧房105、末寺70余を数える非常に大きな寺院になったそう。

ケヤキの標識
道真公がその手で植えたとされるこの二本のケヤキ。
現在では幹回りはそれぞれ6.2mと5.8m、高さは15mと20mにまで成長しました。

建物はすべて江戸時代のもの!境内をぐるりと散策

ケヤキの足元
この大ケヤキも有名ですが、あたり一面苔むしていて、
無人のお寺の独特の雰囲気から、映画のロケ地に
選ばれたこともあるそうですよ。

せっかくなので、境内をぐるりと周って、
本堂、護摩堂、経堂、宝蔵庫などを見学していきます。

境内の建物1

境内の建物2

境内の建物3

境内の建物4
現存する建物はすべて江戸時代のものだそう。

朱雀池
朱雀池は前日まで雨だったためか、池の水は少々濁り気味でしたが
鯉が元気に泳いでいました。

近江天満宮
さすがは学問の神様!
境内の近江天満宮には、お参りに来られた学生さんたちの
絵馬がたくさんぶら下がっていました。

野鳥観察
菅山寺は初夏から秋にかけて、多くの野鳥が観察できるそうです。
鳴き声が聞こえるので私たちも探してみましたが、
あいにく姿は見つけられず……残念!
野鳥を観察するには時間が少々遅かったみたいですね。

菅山寺への行き方をご紹介!意外と楽に行ける?と思いきや、、、

菅山寺への行き方はいくつかあります。

私たちが選んだのは、ウッディパル余呉を経由し、
林道を進んだ先の駐車場に車を停め、そこから20分ほど歩くルート。
この方法だと、山道を歩く距離が一番短くて済みます。

登山も楽しみたい方は、他にもいくつかルートがあるので
一度調べてみてもいいかもしれませんね。

ウッディパルへの入り口
ウッディパル余呉への入り口。ここで右折します。

林道までの舗装された道
駐車場の奥に続く、舗装された道路。
この林道を車で進みます。
こんな感じの道路なら運転に自信がなくても大丈夫!と思いきや…

狭い林道
すぐに車一台分の幅しかない細い林道に!
道もでこぼこで、写真もブレちゃいます。

突き当りの駐車場
対向車が来ませんように…と祈りつつ、運転すること十数分。
林道の突き当たりの駐車場に到着です。

人気のない道
ここからは人気のない山道を進むので、念のため、
熊鈴などを持っていくことをおすすめします。

山頂
駐車場から5分ほど歩くと分岐点が。
「菅山寺」の案内を目印に進みます。

頂上の案内板
周辺案内図と標識があるので、
分かれ道でも迷うことはありませんよ。

ここからが本番!ちょっとした登山なみの道のり

下り坂
そして実はここからが大変!
下り坂がなかなか急で、少し湿っているところでは
気を抜くとつるっと滑ってしまいそう。

いざという時にとっさに掴まれるようなものもなく、
しかも進行方向の右側は急な崖…
このルートは途中まで車でラクに進めますが、
やはりそれなりの登山の装備や心構えは必要です。

菅山寺入り口
そんなこんなで慎重に坂を下ること約10分。
菅山寺の入り口に到着です。

ちなみに菅山寺は現在無人ですので、宝物はすべて
山のふもとの『弘善館』で展示されています。
地元の保存会の方々が管理されているので、こちらは要予約。
『弘善館』に行かれる前は必ずご連絡を!

自然の持つエネルギーに感動!残るケヤキを大切に見守りましょう

ブナ林の説明
林道の入り口にこんな看板が。

ブナ林と木漏れ陽
ブナは保水力に優れているといいます。
本来標高が低いところでは育たないブナがこのあたりで育つのは、
冬のあいだにたくさん降る雪のおかげでしょうか。
そしてそのブナの保水力のおかげで、菅山寺のあたりはき
れいな水の気配でいっぱいなのかもしれませんね。

空を見上げる
木漏れ陽の中、ふと立ち止まり空を見上げると
それは清々しく、自然の持つエネルギーを感じることができます。

今回はケヤキを見るためにここを訪れましたが、
それ以外にも美しく、心奪われる景色や自然が溢れる
素晴らしい場所でした。

最後にもう一度、二本並び堂々としたケヤキの写真を。

二本のケヤキ

長年この大ケヤキを見守ってきた地元の皆さんは、
きっと悲しく寂しい思いをされていることでしょう。
初めて訪れた私たちでさえ、とてもびっくりし、
残念な気持ちでいっぱいになりました。

大ケヤキが二本並んだ姿はもう見ることができませんが、
この神々しい姿を目と心に焼き付け、
残された一本を今まで以上に大事に、温かく見守ってあげたいですね。

(文:Keika/写真:Shin・Keika)

『大箕山 菅山寺』を地図でみる

どのルートでも登山の装備を!

大箕山 菅山寺

→大きい地図で見る

『大箕山 菅山寺』のデータ

住所
滋賀県長浜市余呉町坂口
→地図
営業時間
冬期(12月~3月)は積雪のため拝観不可
電話番号
0749-82-5909(奥びわ湖観光協会)
詳細情報
奥びわ湖観光協会
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