【美の滋賀オンライン成果発表会/レポート】
「美の滋賀」という言葉が生まれてから10年。
県内でさまざまな「美」にまつわる取組みが行われてきました。
それはコロナ禍であった2020年も同じ。
毎年行ってきた美の滋賀採択団体による「成果発表会」も
これまでとは違ったオンライン配信という形で開かれました。
新しい挑戦となった「オンライン成果発表会」当日の様子をレポートします!
成果発表会のダイジェストは動画でもご覧いただけますよ。
【紹介動画】「美の滋賀」BACKSTORY展2021&成果発表会
『美の滋賀BACKSTORY展』の会場から初のオンライン配信
オンライン配信を前に緊張した面持ちでカメラの前でスタンバイするのは
司会を務めるしがトコ代表の林です。
同じ会場から参加してくれたのは
『近江の祭り研究所』の辻村さん、
『ナガハマグラスフェス』の田中さん、
そして、『コニャンナーレ実行委員会』の皆さんと
美の滋賀専門評価員の滋賀県立大学上田洋平さんです。
控室は和やかな雰囲気のまま
オンライン配信がスタートしました。
限界集落「金居原」を撮影した『長浜ローカルフォト』
最初の発表は『長浜ローカルフォト』の皆さんです。
山間の限界集落「金居原」に通い、住民の皆さんの暮らしを撮影しました。
住んでいたら当たりまえすぎて見えてこない暮らしの魅力が、
撮影された写真から生き生きと伝わってきます。
写真展には、土倉鉱山で働いていたという人が訪れたり
故郷を離れて暮らす人が懐かしんで涙ぐんだり
また、他の地域の人からうちでもやってほしいと言われたりと
大きな反響があったそうです。
琵琶湖を身体で感じるワークショップを開催した『ながらの座・座』
美の滋賀の原点に立ち返り、
真正面から琵琶湖と向き合ったのは『ながらの座・座』です。
3回シリーズのワークショップの締めくくりは今津港で、
子どもも大人も関係なく、時間をのんびり使い、空間もゆったり使い
琵琶湖と身体が向き合う贅沢な時間を過ごしました。
町家や酒蔵、銭湯がアートの舞台に!『BIWAKOビエンナーレ2020』
2年に1度の国際芸術祭『BIWAKOビエンナーレ』の発表では
建物の隙間から自然光が差し込み、作品がきらめく奇跡の時間も紹介されました。
また、会場の設営や案内のボランティアに997名もの人が参加するなど、
来場者だけでなく、町の人にとってもなくてはならない
アートイベントに成長していることを感じました。
また、オンライン上で『BIWAKOビエンナーレ2020』が
もう一度楽しめる構想も進んでいるようです。
作品の動画なども公開されていますので
気になる人は公式Facebookからチェックしてみてください。
アート×散歩で地域とつながる『堅田*はまさんぽアートプロジェクト』
『地域とアートプロジェクト実行委員会』は学生代表の吉田さんより
コロナ禍での活動の工夫として
学生が町歩きをしながら道行く人に声をかけたり
回覧板を利用したりという話が飛び出し
地域情報はやはり回覧板が強いという話題で盛り上がりました。
これまでとは違ったアプローチで行われた
『堅田*はまさんぽ』の活動の様子は
YouTubeでも公開されています。
【はまさんぽ記録映像】
『ONE SLASH』の兼業農家応援PV第2弾は、心にしみる田園風景
『ワンスラッシュ』からは、制作が終わったばかりという
兼業農家応援PVが初公開されました!
昨年の応援PVとは違ったタッチで
メッセージ性の強い、ヒューマンドラマのような仕上がりに
会場からも拍手が起こっていました。
【RICE IS BEAUTIFULⅡ「あなたがいるから」】
美しくもユーモラスな飾り瓦を紹介した『近江の祭り研究所』
『近江の祭り研究所』からは、県内に残る瓦の造形美をたくさん紹介いただきました。
その精巧な細工に驚かされることもしばしば。
こんなに面白く魅力的な瓦が、文化財としては認められておらず、
保存されずに壊されていくということを知り、
改めて滋賀にはまだまだ知られていない「美」があるのだなと感じました。
コロナ禍でも大盛況だった『ナガハマグラスフェス2020』
『ナガハマグラスフェス』からは、
コロナ禍で生まれた新しい取り組みオンライン投票のお話が。
海外からの投票を含め、1000件以上のアクセスがあったそう。
その3割には「やってくれてありがとう」などのメッセージが添えられていて
その言葉に主催者側も救われ、大変な状況下ではあったが
やってよかったと心底感じたと話してくれました。
2022(ニャンニャンニャン)年に向けて『コニャンナーレ』が始動
発表の最後を締めくくったのは『コニャンナーレ』。
猫好きにとって今世紀最大の記念すべき年、
2022年のニャンニャンニャン年に向けて進行中の
壮大なアートプロジェクトについて説明がありました。
アートを難しく考えるのでなく
「好き」というシンプルな想いで、人が繋がり、集まれる
まさにそれはお祭りの原点ではないかという話も飛び出してました。
10年かけて熟した「美の滋賀」の取り組みが県内各地で花開いた
成果発表会を見終わった美の滋賀専門評価員の大澤寅雄さんは
「美の滋賀の構想って、東日本大震災を機に始まったんですよね。
震災があったことで、それまでのいろんな価値観が変わった。
そして、当たり前が当たり前じゃなかったと気づいたコロナの年に
県内各地で、暮らしの魅力を再発見するさまざまな活動が行われていた。
それって、この10年間で美の滋賀が変化してきたことと、
すごくシンクロしてるんじゃないかなと感じました」と感慨深く話します。
また会場で各団体の発表を見守っていた上田さんも
「コロナをきっかけにした新しい生活様式ならぬ、
新しいアート様式が生まれた気がしますね」と締めくくってくれました。
今まで当たり前であったことが、当たり前でなくなり
「美」に対するアプローチ法には模索も必要でしたが
そんな時代だからこそ、新しい「美」にも気づけた年となったようです。