カルチャー

プロスポーツを盛り上げるデザインの力。滋賀出身のスポーツデザイナー・大岩 Larry 正志

滋賀レイクスを観戦するラリーさん
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普段テレビで目にするプロ野球チームのユニフォームやロゴマークの影には、それをデザインする人がいます。

プロスポーツが盛んなアメリカではスポーツデザインを職業にする人もいましたが、2000年代の日本ではそれほど重要視されておらず、専門のデザイナーもいませんでした。

そんな状況を変えたいと、日本でスポーツデザイナーという職業を確立させた第一人者が、滋賀県大津市出身のデザイナー大岩Larry(ラリー)正志さんです。

西武ライオンズ、楽天ゴールデンイーグルス、ヤクルトスワローズなど、名だたるプロ野球球団のユニフォームやロゴを手掛けきました。ラリーさんはどうやってスポーツデザイナーとなり、どんな想いでデザインをされているのでしょうか?お話を伺ってきました。

スポーツ専門のデザイナーってどんな仕事?

球団ユニフォーム

ラリーさんは、スポーツチームのユニフォームやロゴを専門とするデザイナー。

2008年の西武ライオンズ(現:埼玉西武ライオンズ)をきっかけに、福岡ソフトバンクホークス、東北楽天ゴールデンイーグルス、東京ヤクルトスワローズ、北海道日本ハムファイターズの特別ユニフォームやロゴを手掛けてきました。

日本でスポーツデザイナーという肩書を持ったのは、ラリーさんが初めて。

「それ以前も誰かがデザインをしていたのですが、それはスポーツではなく別の仕事をするデザイナーが依頼をうけて作ったもの。当時、日本国内にはスポーツを専門にしたデザイナーはひとりもいなかったんです」。

ラリーさん

プロスポーツの本場・アメリカでは、野球だけで200チーム以上。

バスケットボールやアメフト、アイスホッケーなども合わせると、1,000以上のチームがあり、スポーツ専門の設計事務所やデザイン事務所が存在しています。

けれど、2000年代の日本では、独立するプロスポーツチームは野球かサッカーだけ。
球団に関するデザインは、別の仕事を兼ねたデザイナーが請け負うことが当たり前でした。

そんな時代に「スポーツデザイナーになりたい!」と公言していたラリーさんに、周囲の反応は冷ややかだったと言います。

有言実行!追い続けた夢の職業へ

滋賀レイクスを観戦するラリーさん

自身を「中学生の頃から、生粋の野球オタク」と語るラリーさん。

メジャーリーグのユニフォームを扱うお店に1日中入り浸っていたり、選手の記録や球団の歴史をすべて暗記するほどの野球好きでした。

「武蔵野美術大学でデザインを学び、フリーランスのデザイナーとして活動を始めたものの、自分の武器はスポーツだとずっと思ってて」。

しかし、当時のプロ野球はお客さんも十分入っていて、デザインの力を必要とする風潮はありませんでした。

「どうすれば自分がスポーツに関われるのかわからないまま、自分でデザインしたユニフォームの個展をやったり、周囲にスポーツの仕事をやりたいと言い続け、10年が経ちました」。

ラリーさんに転機が訪れたのは2008年のこと。
知り合いの美容師さんから、ユニフォームをデザインできる人を探してるという連絡が入りました。

「西武ライオンズの職員に転職する人が、イベントを盛り上げるための特別ユニフォーム企画を考えていて、デザインしてくれる人を探してる、という話でした。二つ返事で引き受けて作り上げたのが、最初にデザインしたユニフォームです」。

ラリーさんのデザインした西武ライオンズの特別ユニフォームは評判となり、次々と別の球団からもオファーが舞い込みました。
そして活躍の場は野球だけでなく、サッカーやカーリング、ラグビー、バスケットボールと、他のプロスポーツへと広がっていきました。

ユニフォーム

ラリーさんがデザインをするうえで気をつけていることは、街着を意識したデザイン。

「スポーツのユニフォームって、もともとは普通の服から始まってるんです。だから、当時の服に近づけていけば、自然とかわいくなって街着にもできる」。

新しいものを生み出しているのではなく、これまでの伝統や技術を継承しながら、今の時代に合わせることを大切にしていると語るラリーさん。

ユニフォームが選手に与える影響については、「デザインがきっかけで選手やファンのテンションが上がる、勝利する、また多くの観客が集まる、そしてまた会場のボルテージが上がる。そんな好循環が生めたら大成功ですよね!」と話してくれました。

選手やファンのテンションをあげる、これがスポーツデザインの真価かもしれません。

地元滋賀をデザインの力で盛り上げる!

滋賀レイクスロゴ

男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」で活躍する「滋賀レイクス」にも、ラリーさんのデザインの力が大きく発揮されています。

2022年のチームのリブランディングプロジェクトでは、新設されたエンブレムやユニフォームのデザインを手掛けました。

その他、オリジナルフォントの制作やポスターデザイン、グッズ企画、アートディレクションに至るまで、チームのデザインに関わる部分を丸ごとプロデュースしたラリーさん。

自分の得意分野で生まれ故郷のチームを盛り上げられることを、とても嬉しく思ったそう。

「エンブレムのイニシャルには、これまでのレイクスで主に使われてきた『L』ではなく『S』を使ってます。これはレイクスだけでなく、滋賀という地域の発展・繁栄への願いも込めました」。

じつは、滋賀の夏の風物詩となっている「イナズマロック フェス」のロゴもラリーさんによるもの。「滋賀のエンターテイメントを、デザインの力で盛り上げていきたい」と力強く話してくれました。

スポーツ選手と同じだけの努力や覚悟が必要

ラリーさん

スポーツデザイナーという職業が注目されることも増え、ラリーさんの元にもスポーツデザイナーを目指す人からメッセージが届くことが増えたと言います。

「プロスポーツ選手として活躍する人たちは、夢を叶えるために厳しい練習を乗り越え、選ばれたごく一握りの人たち。だからデザインで関わる人にも同じくらいの覚悟や努力が必要だと思うんです」。

スポーツデザイナーと名乗るのは簡単だけど、ただ名乗るだけじゃなく、選手への敬意を忘れず、デザインやスポーツに関する知識をしっかり身につけることが大切だと、思いを語ってくれました。

観戦するラリーさん

取材後に滋賀レイクスのホームゲームを観戦していたラリーさん。
スポーツに興味がない、観戦したことがないという人にも、バスケはわかりやすい競技だし、間近で迫力が感じられるのでおすすめなんだとか。

「僕がデザインしたものを見に来てくれるのでもいいし、好きな選手目当てでもいい。とっかかりはなんでもいいので、滋賀レイクスの会場に足を運んでみたら、スポーツを見る楽しさを感じてもらえるんじゃないかな」と話してくれました。

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