【しが文化交流プロジェクト/はまダンス企画2026「風展」】
いつものようにいつもの駅前を歩いていたら。
通行人に混じって、ふわっと踊り始めた人々が。
なんだろうと足を止めると、いつの間にか周りはダンサーだらけ。
あれ??
私の立っていた場所が気づけばダンスの舞台になっている?!
大津の駅前で唐突に始まったのは「コンテンポラリーダンス」という踊り。
正解も決まった振付もない自由な踊りで日常をダンス会場に、そして通行人さえもダンサーにしてしまう大津のダンス集団「はまダンス企画」を取材してきました!
そよ風のように始まったダンス
10月4日。
この日は大津市で、プロからアマまでたくさんのミュージシャンが集まり、駅前や琵琶湖岸などを舞台に音楽を奏でる「大津ジャズフェスティバル」が開催されていました。
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街のあちこちから多彩な音楽が聞こえてくる中、やってきたのは京阪びわ湖浜大津駅前にある「スカイクロス」というスペース。

地元の人々や観光客といった通行人が足早に行き交う中で、唐突に「それ」は始まりました。
最初に抱いたのは、まるで吹き始めがわからないそよ風のように、気づくか気づかないか程度の違和感。

「なんだか通行人とは動きが異なる人がいるなー」と思ったら、似たような動きをする人がひとり、ふたりと増えていき、やがてその動きが「ダンス」だとはっきり認識できた時には日常の空間がダンス会場へと変貌していました!

日常をダンス会場にする「はまダンス企画」
ダンサーたちが披露していたのは「コンテンポラリーダンス」。
決まった型があるわけでもなく、音楽に合わせて踊るわけでもなく、自分の中から生まれてきたものを自由に表現するダンスです。

この日「大津ジャズフェスティバル」のプログラムの一つとしてコンテンポラリーダンスを披露していたのは、大津を拠点にダンスパフォーマンスやワークショップなどの活動を行う「はまダンス企画」のダンサーたち。
そんな彼らの振付を担当しているのは、大津市にて『比叡平ダンスクラブ』を開いている佐藤健大郎さんと、野田まどかさんのお二人です!

日本のコンテンポラリーダンス黎明期から活動されているダンサー夫妻で、これまで大津の商店街や長浜などを舞台に地域の人々を巻き込んだ”滋賀のダンス”を創る活動を続けられていて、過去にしがトコでも何度か取り上げさせてもらいました。
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今回の大津ジャズフェスティバルでの演目名は「風展 振り付けられる地形」。
「風」という言葉の通り、初心者やプロダンサーが入り混じる17名のダンサーたちは、まるでその場所を吹き抜ける風のようにスカイクロス内を縦横無尽に踊りながら行き交い、その不思議な光景に「何だろう?」と思わず足を止めて見入る通行人の姿も少なくありませんでした。
そこに「舞台」と「観客席」という垣根はなく、私自身、ただその場所にいるだけで自分もダンスの舞台に立っているような心地でした。
そんな不思議な高揚感に浸っていると、会場の中で一心不乱に布と布を縫い合わせる人たちの姿がふと目につきました。

彼らは布を縫い合わせ、空間を織りなす「つなぎてさん」と呼ばれる人たち。
滋賀の南から北へ、西から東へと。
地域の人々と一緒に滋賀の魅力を表現するダンスを創りあげてきた「はまダンス」にとって滋賀には中心と呼べる場所がなく、むしろ「街や人がパッチワークみたいに合わさって滋賀という県があり、風景がある」という思いが、全く別の布と布とを縫い合わせる「つなぎてさん」のパフォーマンスに込められているそうです。

そんな、つなぎてさんやダンサーの演技に音を吹き込んでいたのが音楽家のやぶくみこさんです。

ぼおーん、ぼおーん、とダンスにエスニックな歌と音を添えるのは「グンデル」というインドネシアの楽器で、滋賀県の織物や染物といった伝統が織り込まれたオリジナルの歌詞が「パッチワーク」というテーマにぴったり。
パフォーマーはもちろん、そこを偶然通りがかった人も含め、バラバラな人やものが集まってまるでそこに一つの大きなダンスが生まれているようでした。
「意味がわからない」を楽しむ

踊りの一つのひとつの動作に込められた意図や意味については、最後まで正確に把握できた自信はありません。
ただ、別にそれでいいのだとダンスが終わった後に思いました。

日々「タイパ」や「コスパ」といった言葉が飛び交い、常に「正解」や白黒はっきりした答えが求められる現代社会。
そんな中で「何でもない」で満たされる心地良さ。
正解のない答えを考える豊かさ。
毎日いつの間にかじんわり感じていた息苦しさを、はまダンスの「楽しい」で満ちた踊りが少し和らげてくれた気がしました。

そよ風のようにいつの間にか始まり、会場にいた人々をパッチワークのようにつなぎあわせ大きくなっていったはまダンスの風は、やがて琵琶湖に向かって吹き去っていきました。
最後に、ダンスに見入っていた通りすがりの方にお話を伺いました。
「今ってみんなが一人になろうとする時代ですよね。でもこのダンスを見ていると、人ってこうして集まったら大きな力になるんだなぁって感じました」
それは今回の「風展」のテーマである「パッチワーク」にまさに通じる考えでした。
(取材・文 結城弘 / 写真 辻村耕司)
次なるダンス会場は近江八幡

大津から飛び立ったパッチワークはまだまだつながれていきます。
次なる舞台は近江八幡市。
11月3日に旧伴家住宅にてダンスパフォーマンスが開催予定で、現在参加者も募集中!
観るのも、参加するのもあなたの自由。
もし興味があれば、「風展」をかたちづくる風景の一人になってみませんか?
「はまダンス企画2026『風展』IN近江八幡」
開催日時: 2026年11月3日(火・祝)9:30〜17:00
開催場所: (滋賀県近江八幡市)
対象:小学1年生〜おとな
定員:15名程度/先着順
参加費:3000円
申込先はこちら
- 記事を書いた人
- 結城弘/滋賀県出身。小説家・ライター。滋賀が舞台の小説『二十世紀電氣目録』『モボモガ』をなどを執筆。趣味は旅行、レトロ建築巡り、ご当地マグネット集め、地酒。noteにて旅ブログなどを更新中。各SNS⇒ X(旧Twitter)/ Instagram
「はまダンス企画」問い合わせ先
- メールアドレス
- hamadance.shiga@gmail.com
- https://www.instagram.com/hamadance.shiga/
※この記事は、滋賀県の「地域資源活用交流創出事業に係るレガシー創出事業」の一貫で、『しがトコ』が企画・取材を担当し制作しました。 http://bino-shiga.net/
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