観光

まるで桃源郷の世界!一度は訪れたい近代美術館『MIHO MUSEUM』

トンネルと枝垂桜

【MIHO MUSEUM/滋賀県甲賀市】

自然の光を映し込んで表情を変えるトンネル、
雄大な山を渡る吊り橋、
窓から差し込む光すらもアートへと変えてしまう美術館棟。

1997年に信楽の山奥に誕生した『MIHO MUSEUM(ミホ ミュージアム)』は、
創立者・小山美秀子氏の集めた作品と、天才建築家I.M.ペイ氏の設計をもとに生まれました。
訪れた途端、その美しさに多くの人が息をのみます。

信楽の自然あふれる緑とのコントラストはまるで異空間で、
なぜか古代から時空を超えてそこにあり続けているかのように思ってしまうほど。

どこを見ても美しく楽しいここはまさに“桃源郷”。その魅力をご紹介します。

信楽の山間に佇む、幻想的な美術館へ

レセプション棟前

ミホミュージアムは甲賀市信楽町の奥深く、標高400mほどの山間にあります。

施設はレセプション棟・美術館棟と大きく2つの棟に分けられています。
レセプション棟から枝垂れ桜の並木道、自然光を映し込む銀色のトンネル、
深い谷を渡る吊り橋を渡って、美術館棟へとたどり着けるようになっています。

レセプション棟

まずはレセプション棟へ。とても広くゆったりとしていて気持ちが良い!
ここで入館チケットを購入し、いざ美術館棟へ足を進めます。

並木道のゲート

さっそく飛び込んでくるのが枝垂れ桜の並木道!
人々を招くように、美しい桜の花が咲き誇っています。

“桃源郷”がテーマだというこの美術館は、
「道に迷った漁夫が仙境の楽園を見つけ出す」という物語を
この地で再現しているのだとか。

電気自動車

レセプション棟から美術館棟の間は、電気自動車での送迎もあります。
が、今回は景色を楽しみながらぼちぼち歩いてみました。

枝垂桜の並木道

春は花々の優しい白や薄桃色に、夏には青緑、秋には紅葉と
季節を通して移り変わる風景が楽しめます。

開館期間は1年の中で春季、夏季、秋季の3期に分かれていて、
毎年開館時期が変わるので、訪れる際は公式HPで確認ください。

トンネルの入り口

並木道を進むと、出口の見えない大きなトンネルが口を開けて待っていました。

トンネルの中

トンネルはゆっくりとカーブしていて、その先から差し込む光と
柔らかい間接照明を頼りに進んでいきます。
吸い込まれるような美しさに惹き込まれてしまいそう!

遠くからやってくる風がなでるように後ろへ流れ去っていきます。
それに誘われるように振り返ると、飛び込む景色に思わず息をのみました。

トンネルと枝垂桜

先ほどの入り口から見える外の景色のコントラスト!

こちらがトンネルの中にいるはずなのに、
半球にくり抜かれた穴の中に風景が描かれているみたいですね。

皆がその美しさにしばし見とれています。
静かに見守る人、カメラを手に取る人、各々がその景色を楽しみます。

前を見ても、後ろを見ても驚かされる空間にドキドキが止まりません。

トンネルから見える美術棟

そしてカーブを曲がると、出口の先にはすっぽりと美術館棟が収まっていました。

このトンネルは内側に銀色の板が張り付けられていて、
これが風景の色を反映させ、表情を変えていく仕組みに。

トンネルがかすかに緑色に染まっています。

トンネルの出口

トンネルを抜け、吊り橋へ。その先に美術館棟が待っています。
魅惑的な景色に導かれるように進んだ先にある“桃源郷”。
期待が高まります!

”光が鍵”の異空間!天才建築家のアイデアが止まらない!

美術館棟

古民家のようなデザインの美術館棟。どっしりとした風格を感じます。

エントランスの扉が静かに開くと、予想外の景色が飛び込んできました。

館内(正面)

まるで風景に描かれたように、くっきりと浮かぶ柱。窓から見える壮大な景色!
建物の中にもかかわらず、得も言われぬ爽快感があふれています。

この建物の設計は、『パリ・ルーブル美術館』ガラスのピラミッドで有名な
建築家I.M.ペイ氏によるものなんです。

屏風に収められたように顔を出す松の木は樹齢180年ほどのもの。

山々の景色

窓から向こうの山の稜線が納まるようにと床の高さを合わせ、
建物全体が設計されているのだそう。

天井

屋根全体を構造するスペースフレームは、三角形を幾何学的に組み合わせて構成することで、
広く幻想的な空間を創り出しているそうです。

I.M.ペイ氏が”光こそ鍵”と述べるように、
太陽の光の中にそっと包みこまれているようなんです。

内装(南館)

優しいベージュ色をしたライムストーンの壁面は、すっきりとどこまでも続いていくみたい。

なんとこの建物は、建物全体の80%が地中に埋設されているのだとか。
自然への配慮と、その外観すべては見せない設計がミステリアスな建物になっているんです。

ファイカスの木

沖縄のジャングルから運ばれてきた『ファイカスの木』。
滴る木の葉が生み出す木漏れ日はとても神秘的です。

木漏れ日

この空間に踏み込んでからわくわくとドキドキが止まりません。
細部にまで考え抜かれた設計にため息がもれます。

北館

館内は北館、南館と分かれていて、
北館では季節ごとに特別展が開かれています。

内装

2018年の春季特別展示会は『猿楽と面―大和・近江および白山の周辺から―』が開催されていました。
(2018年6月3日(日)まで)

猿楽と面

現在は、秋季特別展『金峯山の遺宝と神仏』が開催中です。(2023年12月10日(日)まで)

南館ではエジプト、西アジア、南アジア、ギリシャ・ローマなど
世界の様々な美術作品が展示されており、私立の美術館とは思えないほど。

展示されているたくさんの作品は、
創立者・小山美秀子氏が集めた美術品がベースになっているのだそう。

エントランス

そしてふと気になったのが、館内に順路を示す案内板や作品ひとつずつに細かな説明書きがないこと。

当時のその国の文化を述べた文章が、簡潔にそれぞれの入り口に記されているだけで、
展示品には作品名と、いつの時代のどこのものという程度しか書かれていないのです。

作品が当時の文化を黙って語るように、ただじっと佇んでいました。

エジプト

作品だけに集中し、その先は私たちが自由に想像させられ、
それがこの幻想的な空間と相重なっているのでしょうか。

音声ガイダンスでの案内があるので、そのガイダンスを頼りに
作品の声に耳を傾けるのもいいかもしれません。

階段

歩み進める一歩ずつに様々な想いが伝わってくるようで、
幻想的であり、不思議で、そしてどこか心地良い空間が広がっています。

館内にはまだまだ魅力がたくさんあふれています。ぜひ自分の足で感じてみてください。

夢の世界から現実へ。レストランやカフェ、ミュージアムショップもぜひ立ち寄って

メニュー

レセプション棟、美術館棟に
レストラン『ピーチバレイ』と、カフェ『パインビュウ』があります。

農薬や肥料を一切使わない『秀明自然農法』で育てた食材を使ったメニューが提供されています。
酵母から手作りの天然酵母パンや自家製豆腐なども大人気。

桜餅

スイーツメニューも豊富で、季節限定の「桜餅」をいただきました。

この美術館はもともと茶道具や陶磁器など日本の美術品から始まったとのこと。
使われている器も魅力的です。

ミュージアムショップ

館内にはミュージアムショップも3つあります。
オリジナルグッズをはじめ、数々の作家の作品も販売されています。
面白いグッズが揃っているので、お土産を選ぶのも楽しいですね。

美術館棟からの景色

美術館を後にする、帰り道の景色も格別。
山の中へ吸い込まれていくようです。

ベンチ

館内にはベンチなどもたくさんあり、春の暖かい日差しの下でお弁当を食べている人もいました。

トンネルと枝垂桜

この場所そのものが作品であり、アートであるように、最後までその姿で楽しませてくれます。
夢から覚めるのが寂しいような、帰り道は名残惜しい気持ちでいっぱいです。

のぼり

考え込まれたアートに包まれた空間と、世界の美術に思いを馳せる近代美術館『MIHO MUSEUM』。
誰もを魅了する桃源郷の世界へ、ぜひ足を踏み入れてみませんか。

(記事公開日:2018年5月24日/最終更新日:2023年11月6日)

「MIHO MUSEUM」を地図でみる

琵琶湖線「石山駅」からバスで約50分

MIHO MUSEUM

→大きい地図で見る

「MIHO MUSEUM」のデータ

住所
〒529-1814  滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
→地図
電話番号
0748-82-3411
入場料
大人 1,300円 / 高校・大学生 1,000円 / 小学・中学生 無料
開館期間
春季(3月中旬~6月初旬)
夏季(7月中旬~8月中旬)
秋季(9月中旬~12月初旬)
営業時間
10:00~17:00(入館は16:00まで)
休館日
開館期間中の月曜日(祝日の場合は翌平日)
公式サイト
http://www.miho.or.jp//
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