【滋賀のええトコ:焼鯖そうめん】
そうめんに焼きサバが乗っかってる?!
このお料理、見慣れない方も多いのでは無いでしょうか?
じつは、滋賀県長浜市では古くからある郷土料理なんです。
その名も「焼鯖そうめん」。
最近、テレビ番組でも取り上げられることが多く、人気上昇中ですが、
起源はとても古く明治時代には確実に存在していたようです。
焼きサバとそうめんを炊き合わせた「焼鯖そうめん」。
地元の人々も知らぬ間に有名になってしまったソレは
一体どんなお味なのでしょうか。
数あるお店から選ぶは「翼果楼」
長浜駅から歩いてすぐに
「北国街道」と呼ばれる通りがあります。
その周辺には昔ながらの町屋が並び、
かつての城下町の雰囲気が今なお漂っています。
そこに位置する「翼果楼」はいつも行列ができている名店です。
取材時は8月中旬。真夏の猛烈な暑さでありながら
オープンして間もなくこの行列。
しかし、店内は70席あるというので
意外とスムーズに入店することができました。
店内はまるでジブリの「千と千尋の神隠し」に出てくる
ような昔懐かしい雰囲気。さらには武士が酒を酌み交わす姿まで
思わず想像してしまう(?!)歴史を感じる空間。
建物の雰囲気だけでもタイムスリップしたようで
テンションが上がりました。窓からの景色も風情があって、
日常から抜け出したような清々しさがこみあげてきました。
気になるメニューは、こちら!
いよいよ食す!「焼鯖そうめん」のお味は!?
そして「焼鯖そうめん」が登場。サバが!サバが大っきい!
わたしの後ろの席の女性グループからも「おっきい~!」と歓声が。
さて、まずは骨まで食べられるというじっくりと炊きあげられた鯖から・・・
おいしい~!おにぎり付きのメニューを頼んだらよかった!
しっかりと甘じょっぱく味付けされた鯖は、
ごはんのお供としても申し分ないです。
次にそうめんを食べてみるも、
味がしっかりついていてこれまたおかずにできそう。
麺の長さもお箸ですくうとちょうどよい。
ずるずるっと一口でいけちゃいます。
ペロリと速攻で完食してしまいました。
周りのお客さんをみてみると、焼鯖そうめんに
焼鯖寿司を頼んでいる人が多くみられました。
それに瓶ビールだったり、地酒だったりみなさん昼から楽しそうでしたよ。
地酒を注文するとお盆いっぱいに置かれた
お猪口から好きなのを選んで、というのがサービスのようでした。
店名の由来に込められた意味
店内で案内を待っている間に、
ふとレジにいた女性に店名の由来を
伺ってみました。
その方は戸惑うことなく私に説明
してくださったので、もしかすると女将さん
だったのでしょうか。
長浜には「のっぺいうどん」と呼ばれる
有名なあんかけうどんがあります。
こちらのほうが地元長浜の人々に
慣れ親しまれているかもしれません。
特に「茂美志屋(もみじや)」は
数々の著名人が訪れている老舗です。
その「茂美志屋」と「翼果楼」は
なんでも親子で営んでいるそうです。
紅葉からヒラヒラと舞い落ち種を運ぶ
「翼果(よくか)」から名付けられたそうです。
種を意味する「翼果(よくか)」と「茂美志屋(もみじや)」
まさに親子そのものですね。
長浜の人々の暮らしに溶け込んだ「焼鯖そうめん」
(写真投稿:HIDEGONさん)
長浜は滋賀県の中でも日本海に近い場所に
位置し、海産物の流通が盛んだったようです。
中でも鯖は庶民に親しまれた魚だったそうで、
生魚の保存が難しい昔は焼かれて売られて
いたといいます。
そして、素麺は昔から贈り物としてどの家庭
にもあり鯖を炊いた煮汁で炊いたのが始まり
といった説があるそうです。
今ではハレの日の料理と言われていますが、
昔は庶民の間で手に入りやすい食材で
作られた家庭料理だったんですね。
焼鯖そうめんのお店「翼果楼」は、
長浜駅からも徒歩で3分ほどなので、
駅前の観光客で賑わう黒壁やガラス館などの
観光もしつつ、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
(写真・文=山﨑ひかる)
記事公開日:2016年8月29日/最終更新日:2021年6月15日
焼鯖そうめん「翼果楼」を地図でみる
長浜駅から徒歩3分
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