【滋賀里劇場/滋賀県大津市】
滋賀初の“小劇場”が誕生し、いまじわじわと演劇の熱が広がりつつあります。
初心者でも経験者でも、誰でもが気軽に演劇に触れられる場所として、
2019年3月に誕生した「滋賀里劇場」。
そんな演劇の発信地で、5月17日(金)から3日間に渡って、
学生劇団から市民劇団まで総勢12団体が参加した
芝居のお祭り“近江演劇祭”が開催されました。
大学生が発起人となった今回のイベント。
一体舞台ではどんな物語が繰り広げられたのか?!
気になる演劇祭の模様をレポートします!
(写真:村田大河)
会場は県内初の本格派小劇場!県内外から12団体が参加!
会場となるのは「滋賀里劇場」。
滋賀里駅からは徒歩10分。あたりは緑豊かな風景に囲まれています。
さあ、早速入っていきますよ~!
受付には「いらっしゃいませー!」と近江演劇祭Tシャツを着たスタッフさん。
お金を払い、チケットとパンフレットを受け取ります。
看板には上演される団体が表示されています。記念にパチリ!
そしてこちらが今回上演が行われる劇場です!
中に入ると舞台上には本格的な照明と、劇で使用する小道具が。
客席は既に観客でにぎわっています。ワクワク!
いよいよ開演!稽古で作り上げたものを、舞台で放つ。
開演前のアナウンスが終わると、すうっと照明が暗くなり劇がスタートです!
様々なテイストの劇を堪能できるラインナップです!
以下、上演の模様をいくつか紹介していきます!
【劇団月光斜 Team BKC『ノーフューチャー ノークライ』】
男子学生2人の自然な会話や独白が印象的。
進路や恋愛、人生について…。共感するポイントが多かったです。
普段は立命館大学びわこくさつキャンパス(草津市)で活動中の学生劇団!
活躍は滋賀だけにとどまらず、
京都学生演劇祭2018では審査員特別賞を受賞されています。
【演劇集団ビワコボスゴリラ『はじまりの夜』】
演じるのは滋賀県出身の大学生3人。
高校時代の演劇仲間で集まり、再び作品を作り上げました。
笑いあり、切なさあり。繊細な感情表現に心がきゅっとします。
【劇団道草『熟れすぎた林檎たち』】
なんとこちらは、滋賀県で演劇をやりたい高校生で集まり、
2018年に結成・旗揚げされた劇団!
8月には第2回本公演が行われるそうです。今後が楽しみですね!
【スピカ『ロミオとジュリエット』】
舞台監督/デザイナー、舞台美術デザイナー、
俳優の3名で結成された滋賀県の演劇ユニット。
スピカ版のロミオとジュリエットを1人で演じます。
カラフルな椅子が、幻想的な照明に美しく照らされています。
【劇団ユニット グリム『公設市場~母とムスメとときどき殺陣師』】
打って変わってコントファンタジー!
年齢の異なる出演者が舞台を盛り上げます。滋賀県文化産業交流会館主催の音楽劇で
知り合ったメンバ―で結成されたユニットです。
【劇団ここから屋『ロミオはんとジュリエットはん』】
滋賀県甲賀市を拠点として活動している劇団です。
高校時代の演劇仲間2人によって繰り広げられるパワフルコメディ!
(全ての舞台写真:月館森)
すべての公演が終わり、閉会式には舞台に出場団体の代表者がずらり。
観客席もぎっしりです!!近江演劇祭発起人である田中直樹さんの挨拶もあり、
出演団体・運営スタッフ・観客のみんなで3日間の演劇祭を締めくくりました!
観劇後に物販コーナーを発見!
ここで少し、演劇以外のお楽しみを少し紹介したいと思います!
上演後のにぎわう様子。
少しうろうろしていると…
物販コーナーを見つけました!
劇団作成のグッズや上演台本、
劇中曲の入ったCDなどが販売されていました。
中には舞台で使用した椅子を販売するというユニークな試みも。
どこかほっこりします。
滋賀の演劇を盛り上げたい!発起人に聞いてみました!
ここまで演劇祭の模様をお伝えしましたが、
3日間を経て、改めて近江演劇祭の発起人である、
龍谷大学社会学部4回生の田中直樹さんにインタビューしました!
さて、演劇祭に込めた思いはどのようなものだったのでしょうか?
――演劇祭を始めようと思ったきっかけを教えていただけますか?
高校から滋賀で演劇を始めたんですが、その頃から演劇を観るなら
京都や大阪というイメージがあって。
いま僕が通っている大学のキャンパスは滋賀ですが、
演劇を続けているうちに、気づけば自分も京都で演劇をしていて・・・。
地元じゃなくていいの?と自分に疑問を感じて。
――田中さんが演劇祭を実行に移した理由は、何だったのでしょう?
滋賀で活動している団体や人に出会える場所を創造する事が、
すごく大事だと感じるようになったんです。
――確かに、劇団同士がつながると、お互い刺激しあえますよね!
そのためには、発表の場作りも大切で。
実際、滋賀県には公共ホールもいくつかあるんですが、
発表するにはある程度の知識や経験が必要だったり、資金の問題もあります。
学生だけの力で公共ホールで発表するには、ハードルが高いのが現状で・・・。
そんななか、滋賀県初の小劇場「滋賀里劇場」が大津にできて、
本当にうれしかったですね。もうこれは、使わずにはいられない!と思いました。
――なるほど、そういった数々の思いがあったのですね…!
はい。滋賀の演劇をもっと多くの人に知ってもらいたくて。
演劇に触れたことのない人にも気軽に観劇してもらえるように、
様々なところで宣伝をがんばりました!
――実際に3日間を終えてみて、どんなことを感じましたか?
本当に多くの方々にお越しいただけてすごく嬉しかったです!
県内はもちろん、県外の方々も“滋賀里”という小劇場の入り口に足を踏み入れ、
いろんな演劇を観ていただけて。本当にやってよかったです。
それから参加した劇団同士が交流を深められたことは、
滋賀の演劇界を盛り上げることにもつながったのではないかなと思っています!
――今後の滋賀の演劇に対して、さらなる目標はありますか?
今回の演劇祭だけでなく、これを継続させていきたいと思っています。
演劇祭だけでなく劇団同士の交流をさらに深めていって、面白い企画を考えたり、
作品の相乗効果を生み出せていけたらと思っています。その行動ひとつひとつが、
最終的に演劇に関心を持つ人を増やしていくベースになることができれば嬉しいですね。
――これからの滋賀の演劇の動向にもぜひ注目していきたいと思います!
本日はありがとうございました!
さいごに
滋賀にたくさんの劇団が集まり、
演劇や人との出会いを生み出す場となった“近江演劇祭”。
舞台を終えた後の役者さんのキラキラとした表情や、
見に来た方同士で「面白かったね」と話し合う様子は、とても印象的で、
演劇を通して人がつながる場面に立ち会えた気分になりました。
また、Twitter上では#近江演劇祭のハッシュタグとともに、
劇の感想や、「出場してよかった!またやりたい!」「京都から意外と近い!」
といった、県内外問わずたくさんの声が見られます。
その盛り上がりの裏には、発起人の田中さんをはじめとする、
滋賀県・県外の演劇に携わる方々の思いがあると知ることができました。
演劇祭をきっかけにした今後の展開。
人と人との化学反応に期待が膨らみます。
そんな滋賀の演劇界、今後も注目してみてくださいね!
(写真・文 片山紀香)