【古民家農家民泊『たらいち邸』】
茅葺きの屋根を見上げてかまどで米を炊き、
囲炉裏を囲んでお鍋をつつく……。
スイッチ一つでできることに、あえて〝手間ひま〟をかけることも
田舎で経験できる楽しみのひとつに!
懐かしいアニメの世界に入り込んだような別世界の宿を、丸ごと一棟貸しで。
築150年の古民家を改装した農家民宿「たらいち邸」で味わえる、
自然遊びや田舎暮らし体験をご紹介します。
集落で一番大きな屋敷を、約1年かけてリノベーション
一歩足を踏み入れると、昔にタイムスリップしたような気分に。
当時の暮らしがそのまま活かされた空間が広がっています。
しばらくの間、空き家になっていましたが、
店主が約1年かけて自らリノベーションし、
2018年11月に一棟貸しの宿としてオープンしました。
吹き抜けで開放的な和室には土間、囲炉裏。
見上げると、囲炉裏の炭で長年燻されて
真っ黒になった太い梁(はり)。
土間からつながる手すりのないむき出しの階段は
とってもスリリングですが、子どもたちには大人気。
上ると中二階があり、さらに上には、茅葺きが。
昔ながらの趣のある屋敷の姿がそのままの姿で残されています。
畳が敷き詰められ、中央にはちゃぶ台と座布団が。
ゆっくりお茶するのもよし、寝転がってのんびりするもよし。
秘密基地のような空間に子供心が刺激されます。
たらいち邸のコンセプトは、
“おばあちゃんの家に帰ってきたような宿”。
非日常と懐かしさが同居する、
まるで懐かしいアニメの世界に入り込んだかのような不思議な空間です。
土間のかまどに外の光が刺すと
物語が始まる予感さえします。
一番人気の体験は、かまどで炊いたご飯を食べること
改装前から設置されていたというかまどは、まだまだ現役。
天然の着火剤である「杉っ葉」に火をつけて、息をフーッと。
いつもはスイッチを押すだけの炊飯も、ここではなかなか難しい。
火の世話をすること5分。
最初は小さかった火種が大きくなってきました。
しばらくするとお米を入れたお釜が
ブクブクと音を立て、白い湯気が。
これがパチパチという音に変われば…。
「そろそろ炊けたかな?」。
お釜の蓋を取ると、モクモクと蒸気が立ち上り、
辺りに炊きたてご飯の甘~い香りが広がります。
「わー、おいしそう!」。
一気に火力を上げて炊き上げることで、
米粒一つひとつがツヤツヤと輝きます。
お米は地元産のコシヒカリ。
豊かな山から湧き出る水で育つお米は、地元の自慢の味なのだとか。
家族や友人と囲炉裏を囲んで、美味しい食事をのんびりと
広間の中心には昔ながらの囲炉裏。
今回は、滋賀県高島市のブランド鴨である
「近江鴨」を使った鴨鍋をいただきます。
鍋を炭火にかけてしばらくすると、ふつふつと湯気が立ってきました。
同時に香り立つ出汁のいい匂い。
順番に具材を投入していきます!
すべての具材を鍋に入れ終わり、
鍋全体がグツグツと音を立てたら、もう食べ頃!
囲炉裏を囲んで、家族や友人と談笑しながら
美味しい料理を味わえるのは、一棟貸しならでは。
炊き立てのご飯やお出汁の香り、
薪が燃える匂いがあふれる空間が
なんとも心地よく、癒されます。
五感が冴えわたる!春夏秋冬を楽しめる“田舎暮らし体験”
たらいち邸では、この他にも農業体験、
薪で沸かす五右衛門風呂、昔ながらの杵で餅つき、
湧き水をつかった豆腐づくり、
夏には流しそうめんなどが体験できます。
積雪時には、かまくら作りも。
四季折々、さまざまな顔を見せる
高島市の大自然を楽しむアクティビティが、
旅をいっそう思い出深いものにしてくれます。
檜の五右衛門風呂も。
昔ながらの方法で、オーナー自ら薪をくべ、
お湯を沸かすのだと言います。
じんわりと温まりながら、
蛇口からお湯が出るのは当たり前でないことが感じられます。
さらに現在は、ピザが焼ける石窯を製作中。
ピザ生地をこねて伸ばしたら、畑で採ったばかり野菜を乗せて…。
夏にはBBQのメインとしても楽しめそうです。
機能的なキッチンや水回りがうれしい!
古民家の雰囲気を保ちながら、
快適に泊まるための設備も充実しています。
素泊まりにも対応しているため、
炊飯器や電気ポット、冷蔵庫なども完備。
持ち込んだ食材を調理するなど、キッチンは自由に使えます。
うれしいコーヒー飲み放題のサービス付き。
薪で沸かす五右衛門風呂もありますが、
家族で入れる広さのお風呂も完備。
洗面スペース、トイレなども手入れが行き届いています。
落ち着きのある和室に布団を敷いて。
レトロな飾りガラスから朝日が差し込みます。
高島市に魅せられたオーナーによる極上の体験を楽しんで
「たらいち邸」のオーナーは河野至宏(こうのゆきひろ)さん。
大学生の時に高島市に魅せられ、「いつか移住したい」と
何度も訪れるうちに地域の人からも信頼されるように。
この地で暮らすための入居先として
地域から勧められたのがたらいち邸でした。
「ただ暮らすだけではもったいない」と、改装をほどこして宿に。
「繰り返し来てくださるお客さんのためにも、
さらに多種多様な体験をそろえていきたい」。
愛犬・茶々丸とさわやかな笑顔を見せてくれました。
(文:川島圭 写真・編集:しがトコ編集部)
- 記事を書いた人
- 川島圭/滋賀県東近江市の若手農家。生まれは東京。北海道から沖縄までを転々とした後、慣れ親しんだ祖父母の家に流れ着き、新規就農しました。地域や文化に興味があり、農業体験宿泊などにも取り組んでいます。
「たらいち邸」を地図でみる
メタセコイア並木から車で5分
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「たらいち邸」のデータ
- 住所
- 〒520-1831 滋賀県高島市マキノ町上開田145-1(→地図)
- 電話番号
- 080-8182-4355
- メール
- info@taraichi.com
- 公式サイト
- https://www.taraichi.com/