【NOTA_SHOP/滋賀県甲賀市】
見渡す限りの、山と自然。
ときおり風が心地よく吹き抜け、
目の前の線路には、二両編成の電車がゆっくり走っていく。
思わず深呼吸をしたくなる、昔から変わらない景色。
信楽の自然に抱かれるように建つそのお店は、
一歩足を踏み入れると、まるで美術館のような凛とした空気がただよいます。
滋賀県甲賀市にある『NOTA_SHOP』は、
様々なジャンルのアーティストの作品を展示・販売するショップ。
併設するアトリエでは、焼き物をはじめとするアート作品が
生み出されています。
細い道の先にある、隠れ家的アトリエ&ショップ
「お越しの際は、GoogleMapで”ノタショップ”で検索してみてくださいね」
お店の方の言葉を頼りに、ナビに案内されるままに車を走らせると、
向かってくる車とはすれ違えないほどの細い道!
心配になりながらも進み続けた先に、建物を発見しました。
一気に視界が開けた場所にある、
平屋建ての大きな建物が『NOTA_SHOP』です。
中に足を踏み入れると、そこには開放的で広々とした空間が。
凛とした空気の中、センス良く展示された器やアート作品。
窓からは陽の光が降り注ぎ、作品をやわらかく照らしています。
ここは、もともとは信楽焼の工房だった場所。
それを改装し、今の美しいショップへと生まれ変わらせたそう。
都会的でスタイリッシュな印象ながら、
なぜか落ち着きを感じるのは、そんな”元・工房”の空気と
自然に囲まれている環境のせいなのかもしれません。
つい、美術館のように作品を鑑賞してしまいますが、
このお店の90%以上のものは、なんと購入が可能!
ぜひ、お気に入りを探してみてくださいね。
『NOTA_SHOP』では、定期的に展示イベントも
企画・開催されています。
この日は、金属工芸作家の東亨(あずまりょう)さんの作品展が開催中。
作品が植木鉢となり、花を咲かせています。
奥にはカフェも併設。
メニューはドリンクと自家製アイスクリームで、
牛乳と卵は信楽産のものを使っているのだとか。
作品や窓の外の風景を眺めながら、
ゆったりとした時間を過ごしてみるのもいいかもしれませんね。
信楽焼の新たな世界観を伝える場所として
「花びんに花、食器に料理のように、
器は上にのるものがあってこそ。
ただ並べておくのではなく、美しくデザインされた空間を提案したい」
そう語るのは、店主の加藤駿介さん。
東京やロンドンでデザイナーとして活躍した後、
2008年に生まれ育った町、信楽に帰ってきました。
器は、基本的に信楽焼を扱うものの、
信楽焼にこだわっているわけではなく、
追い求めているのは”美しさ”だと、加藤さんは話します。
信楽は、陶芸を中心としたものづくりの町。
加藤さんによると、小学校の図工の時間には、
粘土から作品を作り、薪の窯で焼いていたのだとか。
それゆえか、信楽出身者には、
陶芸はもちろん、ファッションや音楽など
クリエイティブな分野で活躍している人が多いそう。
そんな、”作り手と環境”がととのった故郷、信楽に
自分のこだわりと思いを込めた『NOTA_SHOP』を2017年にオープンしました。
併設の広大なアトリエでは、作品づくりもおこなわれています。
「この場所で、ものづくりの面白さを伝えていきたい」と加藤さん。
アトリエから発信される、これまでにない信楽焼の世界観。
その魅力を若い人たちにも知ってほしいと話します。
信楽高原鉄道が走る。変わらない風景が目の前に
お店の前に広がる景色に視線を向けていると、
遠くから、ガタンゴトン…と電車の音が。
信楽高原鉄道、しかも「スカーレット」のラッピング電車です!
歓声をあげながら見送ると、さらさらと風の音だけが聞こえる、
心地よい静けさが残りました。
都会の真ん中にあるような洗練された空間から
一歩外に出るだけで、心なごむ風景がそばにある。
作り手の息吹を感じる、作品が手に取れる。
『NOTA_SHOP』ならではの、心がうるおう時間です。
より便利なもの、機能的なものを求めがちな現代人の私たち。
それも間違いではないけれど、
作者の思いがつまった器でていねいに入れたお茶を飲むだけでも、
一輪の花をいけるだけでも、
きっと気持ちが変わるはず。
そんな豊かさを提案する『NOTA_SHOP』。
自然に包まれたこの場所で、あたらしい信楽の美しさに触れてみてはいかがでしょうか。
(写真:若林美智子 文:若林佐恵里 企画編集:しがトコ編集部)
『NOTA_SHOP』の店舗詳細
- 住所
- 滋賀県甲賀市信楽町勅旨2317【→地図】
- 営業時間
- 午前11時30分~午後6時
- 定休日
- 火曜日(不定休有り)
- 電話番号
- 0748-60-4714
- 公式サイト
- https://nota-and.com/
(記事公開日:2019年12月20日/最終更新日:2022年2月4日)