【美の滋賀trip2020#2/ナガハマグラスフェス】
全国のガラス作家がつくったサケグラスが一堂に!
和風建築の由緒ある会場内で、色とりどりに輝く美しい作品が楽しめます。
2020年10月24日から始まった『ナガハマグラスフェス2020』は、
長浜市一帯がまるでガラスの美術館のように様子を変えて、
全国各地から集まった作品と出会える期間限定のアートイベント。
次世代に伝えたい優れた銘酒を味わうための「北近江サケグラス公募展」をはじめ、
子どもたちのアイデアを作品にした「みんなのグラスデザイン画コンペティション」や
吹きガラス体験など、ガラスの町ならではの企画が目白押し!
付近の飲食店では特別にガラスの器で食事を楽しむこともできます。
ガラスを通して文化の秋を満喫すべく、長浜に行ってきました。
コロナ禍でも集まった全国のサケグラスが106点!オンライン投票もできる「サケグラス公募展」
明治より続く長浜の迎賓館「慶雲館」で開催するのは、
今年で3回目を迎えた「北近江サケグラス公募展」。
今年は新型コロナの影響を受け、5月末の緊急事態宣言解除後に開催を決定。
作品の募集期間は短く、制作にも十分な時間をとれないため、
運営スタッフの間でも「作品応募は少ないのでは」という落胆の空気が流れていました。
しかし、いざ募集を開始してみると、北は北海道から南は沖縄まで、
続々と作品が届き、最終的には106点。
昨年を上回る数のサケグラスが長浜に集まりました。
一般的に公募展というと専門家の審査によるものが多いですが、
このサケグラス公募展は会場での一般投票で受賞作品が決まります。
「このグラスでお酒を呑んでみたい!という実際に使う人の気持ちが投票という結果で見えてくる。
だから、出展作家さんも増えているのかもしれません」と、ナガハマグラスフェス実行委員会の田中さん。
今年はコロナ禍での開催ということで、
初の試みである「オンライン投票」を実施。
長浜まで足を運ばなくても投票できちゃうんです!
なんと海外からも投票の問い合わせもあったとか。
全国だけでなく、海外にも日本のサケグラスは注目されているようです!
実際に来場した人は紙で投票することも、スマホを使ってオンラインで投票することもできます。
ぜひ、オンラインの投票会場ものぞいてみてください。
オンライン投票はこちらから
会場に入ると、ずらりと並ぶサケグラス。
ひとことでサケグラスといっても、これほどまでに多様なのかとため息が出るほどでした。
沖縄からの作品。サンゴにのっているところが粋ですね。
こちらは膠(にかわ)を使って表面を加工したグラスだそう。
こちらは伝統工芸「江戸切子」の作品。
色や形、デザインはもちろんのこと、技巧もさまざま。
吹きガラスや切子、ガラスの鋳物技法であるキルンワークなど、
それぞれの作家の個性が光ります。
会場となっている慶雲館は、明治天皇が長浜に行幸される際に建てられた由緒ある長浜の迎賓館。
緑あふれる日本庭園は京都の平安神宮の神苑を造園した小川治兵衛によるもの。
その重厚感のある雰囲気と色とりどりのガラスのきらめきが醸し出す世界観はここでしか味わえません。
ぜひ会場にも足を運んでみてください。
子どもたちのアイデアが形に!「みんなのグラスデザイン画コンペティション」
もう一つの目玉企画は、北国街道で展示されている「みんなのデザイン画コンペティション」。
子どもたちが「こんなグラスがあったらいいな」という思いを絵に描いて応募し
受賞作品を黒壁のガラス作家が形にするという心あたたまる企画です。
こちらも、昨年を上回る応募があったとか。
コロナ禍でも子どもたちの発想力は止められません!
壁一面に張り出されているのは集まったデザイン画。
どれも個性的で夢があります!
どんな気持ちでデザインしたんだろうなんて考えながら見ていると、自然と笑みがこぼれてきました。
こちらが優秀賞のデザイン画。
涼しげな色のグラスの中に花や鯉の姿があります。
それを実際に形にしたのがこちら!
グラスの真ん中にはガラスで作られた花が咲き、鯉がまわりを泳いでいます。
再現力がすばらしい!!
その美しさと技術の高さに思わず足を止めて見入ってしまいました。
その土地ならではの素材をガラスに!「LOCAL COLOR〜ぬくもりのガラス~」
黒壁ガラススタジオで行われていたのは「LOCAL COLOR〜ぬくもりのガラス~」展。
日本各地のガラス工房では、地域の身近な素材を取り入れたその地ならではの作品も多数あります。
そんなも取り組みを紹介しながら、展示販売しています。
滋賀の特徴的なガラス工芸品はこちら。
琵琶湖の水草の淡いグリーンを取り入れた作品です。
琵琶湖の厄介者の水草も、ガラスに混ぜこむとこんなに優しく柔らかい色になるんですね。
こちらは、琵琶湖の特産品である淡水パールの母貝「イケチョウガイ」の貝殻を
粉状にしてガラスにまとわせた作品。
普段使いの食器や一輪挿しもいいですが、アクセサリーも素敵です。
高級墓石として名高い高松市の庵治石をガラスに混ぜ、
瀬戸内海の澄んだブルーを発色させた「さぬき庵治石硝子」。
新島特産の軽石「コーガ石」を100%溶かして生まれる「新島ガラス」、
丹波篠山の特産「黒豆」を発色剤として混ぜた「丹波篠山黒豆硝子」などもありました。
ガラスの器で楽しむ焼き鯖寿司!「そば八」
黒壁スクエア周辺にはカフェや飲食店もたくさん!
「ナガハマグラスフェス2020」に参加しているお店では、
この時期だけガラスの器で食事が楽しめます。
その中の一つ「そば八」さんへ行ってきました。
黒壁の建物に白い暖簾が目を引きますね。
こちらのおそばはその名も「十六文」。
お金のない男がそば屋の主人を騙す有名な落語の演目「ときそば」を思い出しますね。
出汁は「関西風」「関東風」から選べます。
そして、サイドメニューの長浜名物「焼き鯖寿司」が
ガラスの器に乗って運ばれてきました!
お昼時には満席になる人気店です。
その他にも、あんみつの名店「文福茶屋」や、
老舗和菓子店の和スイーツがいただける「カフェ叶匠寿庵」も
「ナガハマグラスフェス2020」に参加しています。
歩き疲れたら、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
自分でガラス作品を作ってみたい人はこちら!
事前予約が必要ですが「吹きガラス体験」は子どもにも人気があります。
北国街道の安藤家では、北大路魯山人が愛した和ガラスの数々をみることができます。
『ナガハマグラスフェス2020』は、長浜の町がガラスの輝きに彩られる2週間です。
秋空の下、長浜の歴史ある街を散策しながら、
日本全国のガラスを愛でてみませんか?
外出を控えている人も、オンラインで日本全国から届いたガラスを目にして、
旅した気分を味わってみてはいかがでしょう。
(写真・文 若林佐恵里)
『ナガハマグラスフェス2020』を地図でみる
JR長浜駅 徒歩約5分
→大きい地図で見る
『ナガハマグラスフェス2020』のデータ
- 会期
- 2020年10月24日(土)~11月8日(日)
- 時間
- 各施設によって異なるので公式サイトでご確認ください
- 場所
- 北国街道、慶雲館、黒壁スクエアなど(全12会場)
- 料金
- 各施設によって異なるので公式サイトでご確認ください
- お問い合わせ
- 株式会社黒壁 0749-65-2330
- 公式サイト
- https://nagahama-glass-fes.com/
※「美の滋賀trip!」は『しがトコ』が企画・取材を担当し制作しています。この記事は、滋賀県公式のポータルサイト『美の滋賀trip!』でも公開されています。