カルチャー

芸術を愛する人の“第二のふるさと”。誰でも制作に没頭できる『芸術準備室ハイセン』

芸術準備室ハイセン

【芸術準備室ハイセン/滋賀県大津市】

かつては保養所だった建物が、
芸術家の制作拠点として活用され、
「表現」のエネルギーに溢れた場所になっています。

大津市北部にある『芸術準備室ハイセン』は、
絵画や木工、演劇の練習など、
芸術活動の準備のためなら誰でも使える施設。
住み込みの利用もできるので、
普段の生活をいったん離れ、”缶詰状態”で作業に没頭できます。

芸術を愛する人々の“第二のふるさと”にもなりつつある、
『芸術準備室ハイセン』を訪ねました。

豊かな自然に囲まれ、設備も十分

『芸術準備室ハイセン』がある大津市木戸は、
小高い場所から琵琶湖が望める、自然豊かな地。
琵琶湖が一望できる滋賀の絶景スポット
「びわ湖バレイ」もすぐ近くにあります。

別荘も立ち並ぶ、閑静な住宅街の坂を上ると、
目に入ってきた、白い2階建ての建物。
こちらが『芸術準備室ハイセン』です。

保養所のレトロさを残した建物が、いい感じ!
部活の合宿地に来たような懐かしさも感じます。

アットホームな玄関を入ると、
すぐ左に白い大きな部屋が!

ここは「スタジオ」(28帖)です。
防音設備や照明機器が備えられていて、
バレエができるシートも敷いてあるので、
演劇やダンスなどの練習には持ってこい。

実際に演劇の公演も行われたこともあり、
本番も、本番さながらの練習も
難なくこなす本格仕様。
もちろん冷暖房も完備です。

他の部屋も期待が高まります!

自宅でできない活動を『ハイセン』で

住み込みで制作に没頭できるのも、
『ハイセン』の大きな魅力となっています。
10帖の個室が4つ。
普段の生活をいったん離れ、
“缶詰”になれるのも魅力的です。

元・保養所らしいレトロな和室(2階)からは、
琵琶湖が一望でき、天気が良ければ対岸まで見通せるとか。
絵画や文学、思索にふけるに申し分ない環境。

キッチンや冷蔵庫、お風呂なども完備されているので
長期滞在することもできます。

廊下の本棚

廊下には本が並び、ひっそり。
秘密基地のような、
自分の世界観が守られる安心感があります。

建物の半地下に当たる部分には、「アトリエ」があります。
コンクリート床で、大掛かりな作業ができるスペースです。

慣れた手つきで手業を進めるのは、
吉村聡浩さん(写真左)と鐵鑼(てつら)佑さん。
ちょうど舞台美術の制作中でした。

舞台の背景など大きな作品が作れる場所は
非常に限られていると言います。

壁一面に工具がずらり。
もちろん自由に使うことができて、
簡単な大工作業なら材料さえあれば、
困ることはなさそうです。
これまでの利用者が残した材料なども、
自由に使えるように残されています。

ここは、芸術を愛する人の「実家」

『ハイセン』を案内してくれた、発起人の神谷俊貴さん。
舞台芸術の仕事をするなかで、国内のアーティストが、
制作場所を確保できずに困る状況を、ずっと目の当たりにしてきました。

自由に使える、開かれた制作場所をつくりたい・・・。
そのための物件をずっと探していた神谷さんにとって、
『ハイセン』の建物は念願の場所でした。


同じ大学演劇部に所属していた吉村さんと鐵鑼さんは
ともに『ハイセン』を支える仲間です。
3人は、芸術をめぐる金銭的な厳しさを実感していると言います。

「無理して身体を壊してしまったとか、借金とか…。
金銭的な問題でやりたいことを諦めてしまうのが、一番残念。
だから、事前審査で実績のある人だけを選んだり、
高額な利用料を課することはしません。
その人の事情をくみ取って料金を設定するんです」。

スタジオ

「利用者も運営もそれぞれ負担にならない金額を出して、
“みんなで生き延びようよ”って思ってます」と神谷さん。
そして、その思いを、通年利用する仲間や、
寄付をよせるサポーターが支えています。

今後の夢を聞いてみると
「小さな活動やきっかけ作りを積み重ねていくことが、
未来での大きな結果になるかもしれません。
土を耕し種をまくことがハイセンのやりたいことです。
ハイセンが軌道にのれば、こういった場所を周辺に増やして、
都市部のアーティストを滋賀に呼べたらいいですね。
“ハイセン滋賀芸術村構想”みたいな」と話してくれました。

芸術を愛する人々の実家のような、
あたたかい居場所が、そこにありました。

(取材・文:川島圭 写真:山本陽子)

『芸術準備室ハイセン』の概要

住所
滋賀県大津市木戸1696-2
アクセス
JR湖西線 志賀駅より徒歩約15分
問い合わせ(メール)
haisen.tkamiya@gmail.com(返信に時間がかかる場合があります)
公式サイト
https://haisen8100.tumblr.com/

提供:滋賀県 「滋賀をみんなの美術館に」プロジェクト http://bino-shiga.net/

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