【ヴォーリズ火曜喫茶室/滋賀県甲賀市】
「開催は月に1度だけ。
決まって第2火曜日に開かれるらしい」
歴史ある優美な西洋建築の建物内で、
静かに営業する「ヴォーリズ火曜喫茶室」。
そんな幻の喫茶室があるとの噂を聞きつけたら、
居ても立ってもいられないのが我々しがトコです!
はやる胸を押さえながら
滋賀県甲賀市にある「ヴォーリズ火曜喫茶室」に行ってきました。
(写真提供:稚木(わかぎ)の会)
約90年前に建てられた『ヴォーリズ建築』で、優雅な一時を。
月に一度、その喫茶室が現れるのは、
信楽の焼きものや、忍者の里で知られる甲賀市。
甲賀市立水口小学校の敷地内にある「旧水口図書館」です。
戦前のヴォーリズ建築の中で「珠玉の小品」と
賞賛されたと言われる通り、コンパクトで上品な
雰囲気のある建物。
第2火曜日の今日は、入り口に
「ヴォーリズ火曜喫茶室」の看板が上がっています。
図書館にしては小さいな、と思ったのもつかの間、
100年以上前に木造で建てられた前身の図書館の頃で、
蔵書は既に11万冊を超えていたと聞いて驚き!
入り口には、図書館として使われていた当時を思わせる
黒板が立てられていました。
1階の喫茶オープン時には、2階の旧閲覧室まで
見学可能とのこと。
2003年に、建築当初の姿を参考にした保存改修工事
が行われ、建物全体が趣きのある空間として
蘇っています。
当時の図面などもあり、レトロ建築好きには
たまらない空間が作られています。
喫茶室のオープンは午後1時。
少し過ぎて2時ごろに到着すると、既に数組の
お客さんで賑わっていました。
レトロ建築とレコードから流れるジャズ!「喫茶室」でタイムスリップ気分
喫茶室のドアを開けると、そこに広がるのはゆるやかに
ジャズが流れるコンパクトで暖かい空間。
限られたスペースなので自然と相席になり、
お客さん同士や、気軽に話しかけてくださるスタッフの
方々との会話も弾みます。
近所の人達が自然と集まる感じかな、
と思って聞いてみると、県内外の少し離れたところから
来ている方が多かったのも面白いところ。
知る人ぞ知る、喫茶室なんですね!
心地よく流れるジャズは、室内に置かれた
懐かしのレコードプレイヤーから流れていて、
レトロな空間を、さらに素敵な雰囲気に演出
していました。
「カフェ」でも「喫茶店」でもなく、
「喫茶室」という心惹かれるネーミングにも納得です。
たまたま集まった人がお茶やお菓子をいただきながら、
同じ空間で会話や読書に音楽を楽しむ、小さなサロン
のような空間はには、この名前がぴったりですね!
朝から焙煎した珈琲という贅沢!こだわりの詰まったメニューにも注目
火曜喫茶室で提供されるメニューは、3種類の飲み物と季節のお菓子。
「挽きたてのコーヒー」とあるのが気になって、
「地元の焙煎家さんのところから仕入れて来られるんですか?」
と聞いたところ、
「ここにいるスタッフが生の豆を仕入れて、
朝から自宅で焙煎してるんですよ」という驚くべき答えが!
豆はもちろんその場で挽いて、注文ごとにハンドドリップで
淹れてもらえます。
(写真提供:稚木(わかぎ)の会)
「せっかくだから美味しいものを味わっていただきたくて」
とニコニコしながら話してくださいましたが、
そんなレベルをはるかに超えています!
他にもお抹茶や、信楽朝宮茶の和紅茶など
この場所ならではのメニューが揃うのも嬉しいところ。
使用するカップは信楽焼で、ずらりと並んだ棚から
お気に入りを選ぶことができます。
どれも独特の味わいがあって、迷ってしまいますね!
注文を済ませて室内を見物していると、淹れたてのコーヒーが、
地元のお菓子屋さんで作られているという、
クルミがぎっしり入ったケーキとともに運ばれてきました。
シンプルで、どこか懐かしい佇まいとお味が、
喫茶室の雰囲気とよくマッチしていて、
ほっと癒されながらいただきました。
カンパ箱に溢れる”地域の絆”に守られた「旧水口図書館」
「ヴォーリズ火曜喫茶室」を運営しているのは、
「稚木(わかぎ)の会」という地元のボランティアグループです。
グループのメンバーは皆さん、旧水口図書館を大切に保存し、
より多くの人に知ってもらうために活用したい、
と願う方々ばかり。
「今で、始めて4年半になります」と話してくださったのは、
Web上での告知などを担当されている森田治(もりたおさむ)さん。
森田さん、普段は市内で美容師をされているのだそうです。
稚木の会では、もともと毎月第2・第4日曜日に
旧水口図書館の内部公開をしていたのですが、
「週末だけではもったいない、来られない人もいるかも。
平日も何かしよう!」と考えて、この喫茶室を始められたのだとか。
「この建物を訪れてもらうために始めたものなので、
飲食代はいただいていません」とのこと。
代わりに、建物の保存や管理のための協力金を、
室内に設置された箱にそっと入れて帰る仕組みに
なっています。
室内には昔ながらの紙芝居を本の形にしたものが
置いてあったりして、お子さま連れでも楽しめそうです。
他にもお茶や器の本、雑誌などもあり、
それらが置かれている机はずっと昔に敷地内の小学校で
実際に使われていたものだそうです。
「小学校の敷地内にあるということで、
車通りもない静かな空間になっています」
そんなお話を聞いている最中も、すぐ目の前を
小学生達が下校して行く長閑な光景が。
旧水口図書館ではスペースの貸し出しもされていて、
古本市やクリスマスイベントなど、季節ごとに
様々なイベントが開催されています
(イベントのスケジュールはブログ、
facebookでご確認ください)。
月に1度のヴォーリズ火曜喫茶室。
1月はお休みとのことで、次回は2月14日、
バレンタインデーの開催!
取材中にそのことに気づいた森田さんからは
「季節のお菓子、考えます!」とのお言葉が。
これからの開催もますます楽しみな
ヴォーリズ火曜喫茶室。
「毎月第2火曜日」を合言葉に、ぜひ出かけてみてください。
(写真・文:林由佳里)
「旧水口図書館」を地図でみる
近江鉄道「水口石橋駅」下車 徒歩5分!お車の場合は小学校正門内の駐車スペースへ
→大きい地図で見る
「ヴォーリズ火曜喫茶室」のデータ
- 住所
- 〒528-0031 甲賀市水口町本町1丁目2-1(甲賀市立水口小学校内)
(→地図) - お問い合わせ
- m-kyutosyokan@excite.co.jp
- 次回開催日
- 2017年2月14日(火) 13:00~18:00
※開催スケジュールは変更となる場合もありますので、
遠方からお越しの方はあらかじめメールにてお問い合わせください。 - 公式サイト
- http://kyutosyo.exblog.jp/
https://www.facebook.com/wakagi2004/#/