カルチャー

県立美術館で琵琶湖を表現!?「うた」と「おどり」でさぐった創作の可能性

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【滋賀をみんなの美術館に#08/「ながらの座・座」のワークショップ「身・水・湖」】

日本で最も大きな湖、琵琶湖。
その琵琶湖がある滋賀を舞台に、
「水」をテーマにしたワークショップがおこなわれました。

普段とは違った方法で「水」に触れて、感覚を研ぎ澄まし、
感じたままに「うた」と「おどり」で表現する試みです。

なんとも不思議な体験に、
子どもから大人までが、もう夢中!
創作の可能性をさぐってきたワークショップの最後には、
滋賀県立美術館で琵琶湖を表現!?

ジャワ舞踏家・佐久間新さんをナビゲーターに、
3年間、全9回にわたって、じっくり取り組まれた、
「ながらの座・座」の「身・水・湖」プロジェクトの一端を紹介します。

築380年の日本家屋で紡がれるワークショップ

「ながらの座・座」の活動拠点は、
約380年前に建てられた、もとは三井寺の坊舎だった建物。
大津駅から徒歩15分の、閑静な住宅地にあります。

歴史ある建物と美しい古庭園をいかしたコンサートや、
連続セミナーなどを企画し、
特別な文化空間を作り上げています。

きっかけになった佐久間新さんの踊り。手がかりは、さまざまな「水」

ワークショップが始まるきっかけになったのは、
ジャワ舞踏家の佐久間さんの踊りでした。

「座・座」で開かれた音楽祭で古庭園を舞台に、
身体と空間を存分につかった踊りを披露した佐久間さん。

その表現にほれ込んだ「座・座」と、
佐久間さんが「何か取り組みができないか」と話し合う中で
ワークショップが形づくられていきました。
(写真は、ワークショップ中の佐久間さん)

佐久間さんをナビゲーターにむかえ、始まったワークショップ。
「水」が、テーマのひとつになりました。

琵琶湖という日本最大の湖をもつ、滋賀の地。
「座・座」古庭園の池にとどまる水。

そして、ジャワ舞踊の大事な考え方、
「バニュ・ミリィ」(水が流れる)が、
創作のヒントとして浮かび上がってきました。

佐久間さんは、「琵琶湖とその周辺の地域、この古庭園の水、
ジャワ舞踊の『バニュ・ミリィ』という考え方が、
ぼくらをつないでくれるのでは、そう思ったんです」と、
ワークショップの開始当時を振り返ります。

まずは「感覚を研ぎ澄ます」ことから

ワークショップは、感覚を研ぎ澄ますことから始まりました。
ペットボトルに入った水を頭や身体に載せ、
バランスをとったり、わざと落としたり。

そして、古庭園の池の水に触れたり、
物を浮かべて音を鳴らしたり。

水との関わりが深まっていくような感覚と、
参加者それぞれから発せられる音が、
時空に溶け込んでいくような心地さが広がりました。

みんなで言葉を拾って編んで

もうひとつの表現が「うた」。
音楽家・鈴木潤さんのナビゲートのもと、
“連歌”という和歌の手法をつかって言葉を紡ぎました。

琵琶湖周辺を散策して拾い集めた言葉を、
組み合わせて、節をつけて音楽に。

みずみずしい「うた」が生みだされる瞬間がありました。

♪「木のいのち 光吸いこむシダの穴
ジジがまってる みずおとおちる…」

さまざまな場所を「うた」と「おどり」でめぐって

ワークショップの舞台は、「座・座」にとどまりません。
「座・座」を起点にさまざまな場所を散策。

身体の感度を高め、季節や自然の機微を感じながら歩けば、
林の中にぽっかりあいた空き地は、「野外劇場」に。

琵琶湖に近い、魅力的な場所をたくさん巡りました。

そこにあるのは、身体や自然とじっくり向き合う
今このときだけの瞬間。
あわただしい日常から解放される、豊かな創作の時間です。

「光とかげ」うつしだされるもの

ここまで1、2年目の取り組みを紹介してきました。

最後の年、3年目はまず、
1、2年目に試みたり、創作したりした、
「うた」や「おどり」を味わい直すことから始まりました。

3年目は、かげ(陰・影)や鏡、光が、
創作のひとつの手がかりになりました。
舞台は再び、「座・座」古庭園の池。

木漏れ日が注ぎ、それが池に映ります。
それがまた、建物に投影されて…。

「うた」と「おどり」の野外劇場だった「林」。
今度は、空間に幕を張って、鏡で太陽の反射光を当ててみます。
そして、「おどり」も幕に映し出します。

薄暗い部屋で、ほのかな明かりがつくる影。
光が媒介して、身体と空間のつながりがつくられていきます。

水とひかり、水とかげと

「光通信」という試みもありました。
鏡でつくる太陽の反射光を、
遠く離れた場所から見届けるというもの。
キラリと一瞬の光が見えれば成功です。

ヒントになったのは、江戸時代の米相場を伝える「旗振り通信」。
大阪・堂島の米市場から、各地を経由しても、
4分で京都まで到達したと言います。

琵琶湖のまわり、近江舞子浜と琵琶湖大橋の間でも、
「光通信を」を試みると…無事、成功!
10数キロの距離を光でつなぐことができました。

こちらは、鏡をいくつも取りつけた衣装を羽織った
「ミラーマン」という踊り手。

動くたびに反射した光が、ゆらぎながらあたりに投影されます。
キラキラ光る水面のようにも感じられる光景が広がっていました。

滋賀県立美術館で成果を報告

ワークショップの最終日にあたる1月22日、
3年間の成果を滋賀県立美術館で発表しました。

まずは、高台にある県立美術館と琵琶湖を、
「光通信」でつなぎます。
その距離、6キロ以上。見えるかな…。
しばらくするとキラリと一瞬の光。
「見えた!」。歓声が上がりました。

こちらは、県立美術館のロビーの様子。
「座・座」でもおこなわれた、ペットボトルの「水」の試みを
公開の場でやってみます。

頭に水のペットボトルを乗せ、ゆっくり歩いて…。
「あれはなに?」
「なにをしてるんだろう?」

自分たちでつくりあげてきたものを味わいなおす中、
一般の来場者からの視線も集まることで、
また別の側面から新たな「かたち」が生まれます。

こちらも「座・座」でおこなった「光とかげの表現」を、美術館内で。
明るい場所でも、壁にかすかに浮かび上がる影。

同じ「表現」でも、場所と時間を変えて取り組むことで、
その違いはくっきりとあらわれます。

「3年前にワークショップが始まったころは、気にならないと思っても、
やはり周りの目が気にしていた自分がいて。
けれど県立美術館で踊ったときは、もう、その場に自分だけ!
そんな感覚で集中できたんです」

参加した人から、そんな言葉がこぼれるような
「おどり」に没頭する時間と空間が生み出されました。

クライマックスはみんなで琵琶湖に!

県立美術館での最後の取り組みは、広場で。
「琵琶湖を身体で感じ、あらわす」をテーマに
回を重ねてきたワークショップの集大成として、
これまで創作してきた「うた」と「おどり」を発表しました。

「波ダンス」では、演奏されるメロディに合わせて
前へ後ろへと小きざみに歩き、波を表現。

琵琶湖で見つめた波、座・座の古庭園で触れた波…
自分の中から自然にあふれ、こぼれる、
記憶の「水」と触れ合いながら、体を動かします。

その動きの流れから、ゆっくりと地面に体をあずけ
参加者みんなで琵琶湖を表現!

これまで琵琶湖とその周辺をめぐり、研ぎ澄ました感覚と、
紡いできた言葉と音楽。

その場、その瞬間しかない空気、光、音、人。
それらから生まれる、唯一無二の表現。

クライマックスにふさわしく、一連の試みが昇華した瞬間でした。

古代湖をかかえる滋賀だから生まれた「身・水・湖」

「正解」はない。
だからこそ、自分の中のかすかなゆらぎや、
仲間たちとの心ふるえる経験から、
すくいあげ、つくりあげていく。

子どもから大人までが、主体的に、夢中になってかかわった
「ながらの座・座」ならではのワークショップのかたちです。

はじめは、自分の「身」ひとつで、感性を見つめて。
そこから生まれたものが、隣にいる仲間へ「水」のように広がり、
やがて「湖」のように悠然とした存在へ。
そしてまた、感覚を「一滴の水」へと戻していく。

こんな時代だからこそ、意識しておきたい視点ですね。

今後も魅力的な取り組みが期待される「ながらの座・座」。
ますます大注目です!

「ながらの座・座」3年間のワークショップの様子をYouTubeに公開中です。

2019年〜2021年 第1・2回

2021年 第3回

2021年1⽉22⽇(日)ふりかえりトーク&ライブ

(取材・文:川島圭 写真:ながらの座・座、とんがるちから研究所 編集:しがトコ編集部 )

※『滋賀をみんなの美術館に』プロジェクトは「しがトコ」が企画・取材を担当し制作しています。この記事は、滋賀県公式のポータルサイト『滋賀をみんなの美術館に』でも公開されています。

「ながらの座・座」を地図でみる

JR東海道本線「大津駅」より徒歩15分

ながらの座・座

→大きい地図で見る

「ながらの座・座」のデータ

住所
〒520-0035 滋賀県大津市小関町3-10
→地図
電話番号
077-522-2926
公式サイト
https://nagara-zaza.net
しがトコ採用情報

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