観光

滋賀に麒麟はきた?! 明智光秀ゆかりの地『西教寺』に行ってきました

とびだし坊や

【西教寺(さいきょうじ)/滋賀県大津市】

現在放送中の2020年NHK大河ドラマ『麒麟がくる』。
いよいよ舞台は滋賀県に突入です!
本能寺の変を起こした明智光秀を通して描かれる戦国物語、
『麒麟がくる』ファンなら外せないスポットが
じつは、大津市坂本『西教寺』にありました。
明智光秀が再建に関わったと言われる境内には、
明智一族と、妻・熙子(ひろこ)の墓があることをみなさんはご存知でしょうか?

『西教寺』の主事補・前阪良樹さんに案内いただきながら、
明智光秀ゆかりのスポット、さらには豊臣秀吉ゆかりの客殿まで、
見所いっぱいの西教寺の境内をご紹介いたします!

光秀と妻・煕子が一緒に見た、琵琶湖の絶景

唐門

まず見てもらいたいのは、この景色!
光秀が妻・煕子(ひろこ)と一緒に見たと言われています。
立派な門が額縁の様になり、その奥には琵琶湖が!

この門は西教寺の「宗祖大師殿」の前に建つ唐門ですが…

唐門正面
何やらみなさん、門を見上げてシャッターを切っています。

麒麟
なぜ見上げているのか?
よく見てみると、なんとそこに、2頭の麒麟が!
「麒麟がきたー!!」と取材チームも興奮状態です。

前阪さんによると
「麒麟は中国に古くから伝わる特別な霊獣で、平和の象徴。
昔から門や建物の装飾としてもよく使われているんですよ」とのこと。

大河のタイトルが発表されてから、
この門にも麒麟がいたことを発見したそうで、
「偶然とはいえ、やはり光秀の菩提寺には
麒麟がいたんだなと感心してました」と前阪さん。

この麒麟が直接、大河のタイトルにつながったわけではありませんでしたが、
麒麟を見つけてテンションが上がった一同でした!

坂本城主・光秀と西教寺をつなぐ、総門と梵鐘

総門

元亀2年(1571年)、織田信長の比叡山焼き討ちの際に
西教寺も消失しました。その直後、坂本城の城主となった光秀は
西教寺の檀徒となり、寺の再建に尽力しました。

そんな光秀と西教寺の関わりを示すもののひとつがこの総門。

坂本城の城門として建てられたものを移築したので
通常のお寺の門よりも高く、立派な佇まいで出迎えてくれます。

鐘楼堂

「鐘楼堂」の梵鐘も、坂本城の陣鐘を光秀が寄進したそう。
現在は国の重要文化財に指定され、別の場所で収蔵されています。

境内随所で明智光秀の足跡に触れる

資料室

西教寺には「明智光秀公資料室」もあります。
光秀直筆の寄進状をはじめ、湖を渡った時の鞍など、
光秀ゆかりの寺宝が公開されています。

戦死した家臣への供養を西教寺に依頼した文書もありました。
妻や家臣を大切にした光秀の人柄が偲ばれます。

古文書

2021年2月7日までは、光秀の妻・熙子の命日を記した
古文書も公開されています。
熙子の命日が本能寺の変の後だったことを示す貴重な資料です。

明智一族墓

そして、本堂脇には明智一族の墓が。

熙子の墓

明智一族の墓から少し離れた所に建つのは、光秀の妻・熙子の墓。

「なぜ、一族と同じ所にお墓がないの?」と思いませんでしたか。
これは、熙子が光秀より6年前に亡くなったためだといわれています。

当時、妻の葬儀に夫は参列しない習わしでしたが、
光秀は熙子の葬儀を西教寺で行い、自分も参列したのだとか。
光秀が妻を大切にし、西教寺と深い関りをもっていたことが伺えます。

光秀ゆかりの一端を感じながら、気持ちは戦国時代にタイムスリップ。
ここからは、西教寺の本堂をご紹介しましょう。

圧倒的なスケールに思わず声が出る!重要文化財の本堂

本堂

西教寺は618年に聖徳太子が創建した歴史の古いお寺。
室町時代には真盛上人により「不断念仏」の道場とされた、
天台真盛宗の総本山です。

重要文化財となっている本堂は、
江戸時代に徳川家より寄進された木材で建てられたものなんだとか!
総ケヤキの豪壮な佇まいで、圧倒的な存在感を放っています。

屋根の猿

屋根瓦の上に可愛いお猿さんを発見!
何やら西教寺とお猿さんは関りが深いそうで、
境内のあちこちでお猿さんの姿を見かけます。

この西教寺とお猿さんの不思議な関係については、
本堂の中で明らかになります。お楽しみに!

阿弥陀如来像

本堂に入りまず目を引くのが、本尊・阿弥陀如来像です。
平安時代に造られた仏様で、比叡山焼き討ちの後に、
甲賀市水口町の浄福寺から移されたといわれています。

こんな大きな仏像を水口から下阪本までどうやって運んだのでしょう?
「分解して、水路を使って運んだそうですよ」と前阪さん。
琵琶湖を渡ってきたとは驚きです。

十六羅漢

阿弥陀如来の正面の欄間には「十六羅漢(らかん)」と呼ばれる彫刻が。
外陣のどこから見上げても、16人のだれかと目が合うように彫られています。
煩悩を見透かされているようで、身が引き締まります。

本堂

静かな本堂の中に、響くのは、鉦(かね)の音。
耳をすませてみると、かすかに念仏を唱える声が聞こえてきます。

念仏道場でもある西教寺では、1400年後半から今日まで毎日、
絶やされることなく念仏が唱えられているんです!

身代わりの手白の護猿

1493年、坂本で徳政一揆が起きたとき、
真盛上人を首謀者として攻め入る僧兵を回避するために
西教寺に人がいなくなった時期がありました。
しかし、そのあいだも鉦の音は止むことはありませんでした。
僧兵が本堂に駆け込むと、一匹の手白の猿が
上人の身代わりになって鉦をたたいていたんだとか。

そう、お猿さんです!

お猿さんが僧侶の代わりに念仏を唱え「不断念仏」を今に繋げてくれた
との言い伝えから、「身代わりの手白の護猿」として大事に祀られています。

※本堂内は特別に撮影させていただきました

今もあでやかな狩野派の襖絵が楽しめる客殿

客殿外観

本堂の奥にあるのは、なんと、豊臣秀吉ゆかりの客殿。

じつは、秀吉の邸宅、伏見城にあった客殿が、こちらに寄進されているんです!
こけら葺きの屋根が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

虎扉

客殿に入るとまず目を引くのが「虎」の引き戸。
風雨にさらされ絵は少し薄くなっていますが、
狩野永徳とその一派によって描かれたものです。

襖絵

廊下に沿って配置された5部屋にも、狩野派の襖絵が残されています。

「花鳥の間」に残るのは、「松鶴に牡丹図」と「松竹梅図」。
年月が経っても、この絢爛さ!
きっと描かれた当時は、秀吉が好む、艶やかな絵だったのでしょうね。

各部屋の襖絵・障壁画はアクリル板越しに見られますので、
よく覗き込んで下さいね。

上座

5つの部屋の最後を飾るのは「上座の間」。
この真ん中に天下人・秀吉が座っていたんですね!
そう思うと、すごく感慨深くないですか。

信長により焼き討ちされ、
徳川家が寄進した木材で再建された本堂、秀吉の御殿まで。
戦国ゆかりの見どころが満載です。

※客殿内は特別に撮影させていただきました

大河展

そして現在、境内の里坊・禅明坊では
「びわ湖大津・光秀大博覧会」が開催中。(2021年2月7日まで)
→公式サイト「びわ湖大津・光秀大博覧会」

情緒あふれる里坊の公開も、この会期中だけなのでぜひ立ち寄ってみてください!

小堀遠州庭園

「光秀をきっかけに西教寺に来て下さる方が増えています。
お寺に来て、日常から離れた空間で仏様と向き合い、
何かを感じてもらえたら幸いです」と前阪さん。

小堀遠州作の庭園など、まだまだ紹介しきれてない魅力もたくさん。
日本が動いた瞬間をひしひしと感じながら、取材チームも楽しませてもらいました。

ぜひ皆さんも西教寺で、何かを感じてきて下さいね!

(文・安部愛子 写真/編集・しがトコ編集部)

『西教寺』を地図でみる

JR湖西線「比叡山坂本駅」下車、江若バス約7分

西教寺

→大きい地図で見る

『西教寺』のデータ

住所
〒520-0113 滋賀県大津市坂本5丁目13-1(→地図
電話番号
077-578-0013
拝観時間
午前9時~午後5時(午後4時半受付終了)
拝観料
大人(高校生以上)500円,中学生300円,小学生200円
公式サイト
http://www.saikyoji.org/

   

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