カルチャー

かつて外国人観光客をもてなした、琵琶湖畔に佇む迎賓館『びわ湖大津館』

びわ湖大津館外観

【びわ湖大津館/滋賀県大津市】

琵琶湖が一望できる抜群のロケーションに、
どっしりと漂う風格ある建築。

滋賀県大津市の湖畔にある『びわ湖大津館』は、
かつて“湖国の迎賓館”として、
国内外の賓客をもてなした国際観光ホテルを再利用した建物。

“建物全体が美術品”と言っていいほど、
優雅な姿がいまなお残されています。

建設当時のまま!雰囲気たっぷりのフロント

『びわ湖大津館』の正面玄関をのぞくと、
重厚な扉の先に、赤い絨毯が続いています。

ホテルだった当時の様相そのままで
なんだか背筋がピンと伸びます。

大階段

『びわ湖大津館』は、滋賀県で随一のホテル
「旧琵琶湖ホテル」で、
1934年~1998年までホテルとして営業しており、
国内外の賓客に愛されてきました。

その後「琵琶湖ホテル」は浜大津へと移転しましたが
この建物の保存を願う市民の声に応えて、
現在は、文化施設として運営されています。

広々としたロビーは、白い壁に太い柱。
天井から吊るされたシャンデリアなど
意匠を凝らした設備の数々。

寄せ木造りの床や、行灯を思わせる照明などは
89年前の建設当時のままなんだとか。

このフロントも、
ホテル時代から引き継がれたもの。
フロントの後ろには客室のキーボックスがあります。

実はこのフロント、一般的なホテルよりも
カウンターが高くつくられているそう。
それはもともとこの建物が、外国人誘致の国策のもと、
外国からの宿泊客のために作られたからなんです。

フロントの横には、「旧両替所」。
外国人客がホテルで換金できるように
設置された両替所が当時のままの姿で、
残されています。

びわ湖大津館外観

鉄筋コンクリート造りでありながら
寺院のような和風の外観に、洋風の内観。

随所に「和」の趣が感じられる独特な雰囲気は
外国人を喜ばせたいという思いからです。

昔の写真

ロビーに展示されている当時の写真にも
映画のワンシーンのような光景がたくさんありました。

あの有名人も堪能した!?琵琶湖の絶景

展望テラス

ここに訪れたならぜひ堪能してほしいのが
湖畔ならではの絶好のロケーション。

2階の展望テラスから、琵琶湖が一望できます。
ヨットが停泊する様子は、
まるで海外の港のよう。
この眺めが、タダで楽しめるなんて贅沢!

3階の「特別展示室」からの眺望も格別です。
窓ガラス越しですが、クルーズ船の停泊所も見え、
琵琶湖らしい風情を感じられます。

展示パネル

「特別展示室」には、
旧琵琶湖ホテル時代の歴史が
パネルで展示されています。

社会福祉に力を尽くしたヘレンケラー、
俳優の石原裕次郎、歌手の美空ひばり、
作家の三島由紀夫、川端康成、志賀直哉らも
宿泊したとされています。

時代を超えて、名だたる有名人たちと
同じ場所に立っていると考えると、なんだか感慨深い。

また、東側の窓からは、
『びわ湖大津館』自慢の「イングリッシュガーデン」が。

春や秋のシーズン中には、
見事なバラが咲き誇り、多くの人が訪れます。
ここからガーデンを見下ろすのもいいかもしれません。

ホテル当時の面影は他にも

広間での会食

当時、このような座敷スタイルで
「すき焼き」が楽しまれていたのは
1階にある「桃山の間」。
(見学の際は、フロントで申し出が必要です)

この部屋も、ほとんど当時のまま。
天井の格子や照明に和を感じる意匠が凝らされていますが、
ここで見てほしいのは、朱色の欄干の奥。

オーケストラピットのようなスペース。
音楽隊のための部屋だったという説もあるようですが、
実際にここで演奏がされていたかは定かでなく
真偽がわからないので“謎の小部屋”と呼ばれているそう。

2、3階はかつて客室があった階。
今は貸し会議室などで活用されていますが
各部屋の部屋番号を見てみると
海外で不吉な数字とされる「13」が欠番になっています。
細かい配慮が行き届いた様子がうかがえます。

特別に客室のバスルームを見せていただきましたが
現代のホテルと遜色ない設備が整っていたことに驚きます。

絶景レストランも!

館内には、ベルギーの港町をイメージした
フレンチレストラン「ベル ヴァン ブルージュ」もあります。

レストラン

料理の美味しさはもちろん、すべての席から
琵琶湖が一望できる絶景レストランです。

テラス席からも、見事な眺望が広がります。
この景色を見るだけでも、訪れる価値ありですね。

琵琶湖ホテル時代を通じて、
多くの人に愛され、
その姿を今に残してきた『びわ湖大津館』。

当時の最高峰の建築技術がつまっている上、
積み重ねられた歴史や文化、
さらに建物への人々の愛着が、
89年間をいっそう鮮やかに彩っています。
建物全体が”美術品”と、きっと実感できるはずです。

『びわ湖大津館』の中には、まだまだ
紹介しきれなったスポットもたくさん。
11月は「秋バラ」の季節です。
「イングリッシュガーデン」とあわせて
『びわ湖大津館』を訪れてみませんか。

(取材・文:川島圭 写真:山本陽子 編集:しがトコ編集部)

『びわ湖大津館』の詳細

住所
滋賀県大津市柳が崎5番35号
営業時間
午前9時~午後10時(受付午後7時30分まで)※店舗により異なります
電話番号
077-511-4187
公式サイト
https://www.biwako-otsukan.jp
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