【沖島/近江八幡市】
離島って、なにかワクワクしませんか?
“島での暮らし”と言われると、普段とは少し違う、
非日常な響きを感じてしまいます。
海の無い滋賀県ですが、実は“離島”はあるんです。
それが琵琶湖に浮かぶ「沖島」。
なんと、世界的にも珍しい、淡水湖の中で人が住んでる島です!
これまで「しがトコ」では、一度も沖島に行ったことが無かったので、
そんな、島ぐらしを教えてもらうべく、
沖島へと遊びに行ってみました。
堀切港からわずか10分!離島は意外に近かった?
沖島へは、近江八幡市の堀切港から、
町営の通船が一日12便運航しています。所要時間はわずか10分。
(撮影:若林佐恵里)
堀切港へはJR近江八幡駅から休暇村行きのバスで30分ほど。
(バスと船は連絡しています)
乗船券は船内にある自動券売機で買います。(片道500円)
(撮影:若林佐恵里)
取材日は3連休の最終日だったからか船内は人がいっぱい。
(撮影:亀口美穂)
沖島漁港につくと、「いらっしゃーい」と明るく出迎えてくださる方が!
沖島ファンクラブ「もんて」の本多さん、冨田さん、小川さんです。
しがトコ一行のガイド役を買ってでてくれました。
(提供:沖島町離島振興推進協議会)
「もんて」とは沖島の言葉で「もどってくる」という意味。
みんなが沖島に「もんて」来ますようにとの願いを込めたネーミングです。
琵琶湖に囲まれた島。タイムスリップしたような風景をめぐる
(撮影:若林佐恵里)
人口は約300人程度。そのうち約7割が漁業に従事しているそうで、
琵琶湖と深く結びついた暮らしがここにはあります。
(撮影:山瀬鷹衡)
滋賀県ではお馴染みの飛び出し坊やも、
沖島では漁師さんバージョンでお出迎えしてくれました。
(撮影:山瀬鷹衡)
まずは島の南東部をぐるっと歩きます。
家が軒を連ねるなか、細い路地を通って沖島散策がスタートです。
(撮影:若林佐恵里)
まず最初に出会ったのでは島民に欠かせない乗り物、三輪自転車。
車が乗り入れることのできない沖島では、
転ばずに重い荷物も運べる必需品です。
(提供:沖島町離島振興推進協議会)
細い道を自転車に乗ったおじいちゃんやおばあちゃんがゆっくり走ってくるので、
あいさつを交わしながら、狭い道の譲り合い。
(撮影:山瀬鷹衡)
沖島にはかつて、石英斑岩(せきえいはんがん)という石が豊富にあったそうです。
この島で石を切り出し、琵琶湖を渡って対岸に運び、
彦根城の石垣や瀬田の洗堰に使用したそうです。
今なお「石切場」という地名が残り、当時の面影を残しています。
(撮影:若林佐恵里)
石英斑岩が残る浜辺は、
石投げ遊びにもってこいのロケーション。
気づけば、子どもに混じって大人まで。
夢中で、琵琶湖に向かって石投げをして遊んでいました。
島内でみつけたおすすめポイント
(撮影:森中高史)
島の湖西側には遊歩道が整備され桜並木があります。
湖と桜を一緒に楽しめるスポットといえば
高島市マキノの海津大崎が有名ですが、
沖島の桜も、隠れたお花見スポットなのです。
(提供:沖島町離島振興推進協議会)
春になると、こんな感じの琵琶湖と桜のコラボ風景が!
島全体が、季節によってガラリと表情を変えるので、
四季折々の風景も見所のひとつ。
(提供:沖島町離島振興推進協議会)
そして、沖島の漁港で見かけるのが、こちらのカラフルな漁網。
各家庭で白い網を染めているのだそう。
琵琶湖の湖魚といえども、その大さは多様なので、
網の目も、大きさによって色を変えているのだとか。
といっても、この写真のように色とりどりの網が干されているのは、
地元の人でもなかなか見かけない光景だそうで、
見つけた人はラッキーです!
(提供:沖島町離島振興推進協議会)
また夜の沖島の風景も魅力の一つ。
オレンジの外灯が漁港を照らし、
昼間ののどかな雰囲気とはまた違って、なんとも幻想的です。
(撮影:若林佐恵里)
こちらは段々畑のその上の小高い丘の上からの眺め。
おばあちゃんたちがのんびり畑仕事をする様子も沖島の日常の風景。
(撮影:若林佐恵里)
ここは島の子どもたちの夏の遊び場。
この桟橋から琵琶湖に飛び込んで遊ぶのだそうです。
(撮影:山瀬鷹衡)
島内を散策していると、電柱に「ヒガイ」という謎の記号が。
じつは「ヒガイ」とは魚の種類のことで、
明治天皇が琵琶湖産のヒガイを召し上がって大変気に入り、
以来、琵琶湖産のヒガイを献上したことから由来するのだそう。
そんなこともあり、ヒガイの漢字は、魚ヘンに「皇」と書き
「鰉(ヒガイ)」という字になったのだとか。
琵琶湖最大の漁港、沖島を象徴するエピソードですね。
琵琶湖からいただく湖の恵み!汀の精の絶品ランチ
島には2軒のカフェがあり、そのうちの1軒の「汀の精」さんへ。
(撮影:若林佐恵里)
ここは琵琶湖を眺めながら、
ゆったりとランチやお茶がいただけるスポット。
また、自然と人に優しい手づくりの品も販売中。
ぜひのぞいてみてくださいね。
(撮影:亀口美穂)
ビワマスのお造り。
ビワマスは琵琶湖のみに生息する固有種のマス。
身のピンク色が美しく、脂がのってトロリと柔らかい!
(撮影:森中高史)
そしてワカサギの天ぷらもありました。
(撮影:森中高史)
手前はビワマスの煮付け。
奥は、エビ豆、ゴリの炊いたん、イサザなど
滋賀県民のおふくろの味、湖魚オールスターズも顔をそろえています。
沖島小学校を通りぬけ、島の守り神弁財天へ!
(撮影:若林佐恵里)
お腹がいっぱいになったら、今度は逆方向で島めぐり。
漁港から弁財天を目指して歩きます。
(撮影:若林佐恵里)
途中、沖島小学校を通過。
現在、1年生から6年生まで19人の児童が通う学び舎です。
鮒ずし作り体験や夏には琵琶湖で遠泳大会もあり、
自然の中でのびのびと成長する羨ましい環境。
なのですが、じつは深刻な問題も。
(撮影:山瀬鷹衡)
19人の児童のうち、島内の子どもは2名だけ。
17名は、島の対岸にある近江八幡市から通っているのだそう。
人口約300人の沖島で、子どもはたった2名。
これが、過疎化が進む島の現実。
でも、沖島の豊かな環境で学びたいという17名の子どもたちがいることに、
希望を託さずにはいられません。
(撮影:若林佐恵里)
琵琶湖沿いに彼岸花の咲く小径を抜けると
真っ赤な鳥居が見えてきました。
(撮影:若林佐恵里)
こちらは弁財天または厳島神社と呼ばれています。
湖上交通を守る神様として古くから信仰されてきました。
(撮影:若林佐恵里)
石段を上ると琵琶湖が一望。
真っ赤な鳥居も存在感がありますね。
(撮影:若林佐恵里)
漁港に戻り、漁協会館前の“屋台”でお土産を。
(撮影:森中高史)
沖島漁業協同組合の婦人部が運営する
「湖島婦貴(ことぶき)の会」のみなさんが作った
湖魚の若煮などが購入できます。
(撮影:山瀬鷹衡)
そして、島でゆっくり休憩できる場所をつくろうと、
現在、滋賀県立大学の学生さんの手を借りて、
流木や貝殻など沖島のものを使った休憩所を建設中なのだそう。
(撮影:若林佐恵里)
完成予想図はこんな感じのドーム型の施設。
秘密基地のような雰囲気で、いまからワクワクしてしまいます。
沖島を、次の世代へつなげていくために
(撮影:亀口美穂)
集落の中は、細い路地と昔ながらの民家が軒を連ねています。
最近では、漁村の風景がレトロで絵になると口コミで広がり、
観光客もじわじわと増えつつあります。しかし、島内の散策は、
民家のすぐ目の前を通り抜けるルートもあるため、
島の人の日常のすぐ近くを観光することになります。
訪れた人にとっては非日常の体験で、どうしたって気持ちも
ワクワク弾んでしまいますが、島民の暮らしがそこにあることを意識しつつ、
観光を楽しみたいものですね。
また、沖島では人口の過疎化や高齢化をどうしていくのかという問題も。
「沖島を未来へつなげていきたい」という思いから
沖島町離島振興推進協議会の方々が
沖島を盛り上げるファンクラブ「もんて」を立ち上げ、会員を募っています。
「もんて」とは、沖島の島言葉で「もんてこい(島に戻っておいで)」という意味。
沖島出身の人も、沖島へ行ったことある人も、
これから行ってみたい人も、ぜひ興味のあるかたは、
沖島ファンクラブ「もんて」のWebサイトを覗いてみてくださいね。
こちらが今回、沖島をめぐったメンバー。
左から2列目、上から順に
沖島を案内してくださった沖島町離島振興推進協議会の
本多さん、小川さん、富田さんです。
みんなで記念写真を撮って、
また「もんて」来ようと心に誓いつつ、船に乗り込みました。
離島でありながら、船でたった10分の場所にある沖島。
車もバイクもない、静かな島を後にし、いつもの日常に帰ってくると、
沖島を散策した時間がまるで遠い夢のような、
ちょっと不思議な感覚になりました。
みなさんも、滋賀の離島「沖島」へ。
小旅行気分で、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
「沖島』を地図でみる
堀切港から船で約10分
→大きい地図で見る
『沖島』の所在地
- 住所
- 滋賀県近江八幡市沖島町【→地図】
- 公式サイト
- 沖島町離島振興推進協議会
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