【美の滋賀trip!#06】
人の目を意識せず、自分の中から湧き上がってくるものを表現した『アール・ブリュット』。
生々しかったり、ゴツゴツしてたり、揃ってなかったり、
でも、なんだか面白そうで、興味をひかれて見入ったり。
心をわしづかみにされるような、落ち着かない感覚を覚えることも。
“生の芸術”とも表現される『アール・ブリュット』は、時にそんな体験ができます。
2019年12月6日(金)~8日(日)の3日間、長浜の曳山博物館にて
『湖北アール・ブリュット展2019』が開かれます。
それに先駆けて、プレイベントの『まちなかArt Brut』も開催中!
11月27日(水)~12月2日(月)の期間は、風情ある街並みの中に突如現れる
個性豊かな作品を楽しむことができますよ。
(※この記事でご紹介している写真はすべて、過去の展示作品です)
滋賀でジワジワ広がってきた『アール・ブリュット』
『アール・ブリュット』とは、美術の専門教育をうけてない人が、
周囲からの評価を気にせず、
自らの衝動のままに表現した作品を指す言葉。
個性豊かでエネルギッシュな作品が多く、『湖北のアール・ブリュット展』では
毎年たくさんの驚きやドキドキを与えてもらえます。
中でも存在感を放つこちらの作品。
作者はガムテープを少しずつ丸めてポイっとするのが好きなんだとか。
それをまとめて、大きな作品に仕上げています。
滋賀県では、障害者福祉の分野で先駆的な取組が進められてきたこともあり、
福祉施設などでの造作活動の中から、
多くのアール・ブリュット作品が生まれてきました。
障害をもつ人のアートを積極的に紹介する
「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」(近江八幡市)などもあり、
滋賀は、“アール・ブリュット先進県”とも呼ばれています。
湖北でも広がりを見せる『アール・ブリュット』の取り組み
ただ、一方で、その中心は湖南エリアで、
湖北ではあまり活発な取り組みが行われていなかったのだとか。
展覧会を主催する「湖北アール・ブリュット展推進会議」の理事長・廣部さんは
「数年前まで湖北でアール・ブリュットという言葉は、ほとんど認識されてなかったんです」と話します。
障害者らが作った作品はあるのに、施設で放置されたままだったりしたそう。
その現状を打破しようと、9年前から『湖北アール・ブリュット展』を続けてきました。
回を重ね、多くのみなさんに見てもらえることで、湖北でも少しずつ
アール・ブリュットという言葉が認知されてきたと実感しているそうです。
知ってもらい、認めてもらえることで
作家さんの創作意欲にも大きな変化がでてきたとも。
昨年からは『アール・ブリュット創作工房』も開催し、
「なにか作ってみたい」という障害者の人に向けた創作の場も提供しています。
「創作工房からも、続々といい作品が生まれてきてるんですよ」と嬉しそうな廣部さん。
新たな才能が発掘されるかもしれませんね。
“アートに触れる”というと高尚なイメージもありますが
身構えることなく楽しめるのも『アール・ブリュット』の魅力。
あまりに細かい作り込みに「そんなトコにこだわるの?」と驚いたり、
時にはクスッと笑えたり、素直に作品から何かを感じてみてください。
昨年に引き続き、会場は観光スポット黒壁スクエア内にある『曳山博物館』。
入場無料なので、観光のついでに立ち寄ってみることができるのもうれしいですね。
風情ある街並みに溶けこむアール・ブリュット作品
長浜の街並みの中に作品が展示される『まちなかArt Brut』が
プレイベントとして11月27日(水)~12月2日(月)まで開催中。
※編集部撮影
町屋の軒下や店先、あんなところや、こんなところにも。
「どこにあるかな?」と探して歩くのも楽しいですよ!
独特の存在感を放つ作品ですが、
意外にも街並みにもしっくりと馴染んでいて「気づかなかった!」なんてこともあるかもしれません。
歴史ある長浜の街で『アール・ブリュット』に触れてみませんか?
(写真:鎌田遥香/文:しがトコ編集部)
「曳山博物館」を地図でみる
JR琵琶湖線「長浜駅」から徒歩7分!
→大きい地図で見る
『湖北のアール・ブリュット展2019』の詳細情報
- 会期
- 2019年12月6日(金)~12月8日(日)※まちなかArt Brutは2019年11月27日(水)~12月2日(月)
- 時間
- 10:00~17:00(8日は15:00まで)
- 会場
- 曳山博物館 伝承スタジオ(滋賀県長浜市元浜町14-8)(→地図)
- 料金
- 入場無料
- 主催
- 湖北アール・ブリュット展推進会議
※「美の滋賀trip!」は『しがトコ』が企画・取材を担当し制作しています。この記事は、滋賀県公式のポータルサイト『美の滋賀trip!』でも公開されています。
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