【びわ湖フィールドワーク/ヨシの名刺づくり体験】
「初めまして、私、こういう者なんですが・・・」
差し出した名刺の先にあるのは「ヨシ」。
その名刺を作ってる原材料も「ヨシ」。
せっかくなので、名刺にも「よしの名刺」と書いてみました。
8月某日、炎天下の近江舞子で行われたワークショップで、
お恥ずかしながら、私は初めて「ヨシ」が何なのかを知りました。
ヨシってすごい!ヨシって可能性がある!
そんな学びが得られたワークショップの一部始終を、
しがトコ新入社員・東田がご紹介します!
そもそもヨシとは?近江舞子内湖で学ぶヨシの凄さ
ヨシ(葦)とは、川辺や湖などに群生する植物で
最大で4~5mにも伸びる、背の高い植物です。
琵琶湖の周辺でもよく見かけるのではないでしょうか?
じつはこのヨシ、環境に悪影響を及ぼす恐れがある
リンなどの汚染物質を吸い取って水をきれいにしたり、
魚たちの産卵場所や住処になって生態系を豊かにするといった
環境を守るためにとっても重要な役割を担っているのです。
湖水浴場としても人気のある「近江舞子」。
そのすぐ近くで琵琶湖と一本の川でつながっている
「近江舞子内湖」にもヨシが多く群生しています。
内湖のヨシ原を前に話をしてくれたのは、
「近江舞子内湖を愛する会」会長の北澤さんです。
北澤さんは内湖をきれいにするための活動の一つとして、
ヨシが元気な芽をだせるように
毎年枯れたヨシを刈ったり
苗を育てて、内湖岸に移植をするなどの
ヨシを増やす取り組みを行われています。
その成果もあって、内湖のヨシ群生地は広がってきていて、
フィールドワーク中にも鳥が内湖の上を飛び、
魚が息継ぎのために水面に波紋をつくる
生き生きとした内湖の姿を見ることができました!
懐かしさを感じる小学校で学ぶヨシの身近さ
続いて向かったのは、大津市立小松小学校。
懐かしさを感じる小学校の図工室を借りて
ヨシから紙をつくる体験をします。
その前に教室を使って話をしてくれたのは
「ヨシネットワーク事務局長」の鳥飼さんです。
環境にとって大切なヨシですが、
じつは人にとってもヨシはとても“身近な存在”。
家の屋根や、簾の一種であるヨシズ、ついたてや笛など、
昔から私たちの生活の中にヨシは使われていたそうです。
ヨシから紙へ!いざ、ヨシの名刺つくり
いよいよヨシの名刺をつくっていきます!
ヨシと牛乳パックを混ぜたものに水を入れミキサーに混ぜ、
鳥飼さんお手製の道具で先ほどミキサーに混ぜた液をすくい、
丁寧に振るいそっと水を切っていく。
大きく振るってはいけない、
細かくゆすって水を均一に広げながら漉いていく。
これがなかなか難しい…。
水を大方切り終えたら、
板と布でぎゅっと挟んでさらに水を切っていきます。
後は乾燥させる作業です!
新聞紙に挟んで板で抑えたり、
布に挟んでアイロンにかけて水気をとばします。
最後は新聞紙に挟み、しばらく自然乾燥。
後は自分の好きなサイズに切ったり、文字を書いて完成です!
ヨシの繊維が重なってできていることが
紙の模様や紙の縁から感じられます!
人の想いから学ぶヨシの大切さ
「琵琶湖で泳いでその後、内湖に行って遊ぶ。
それが小さい頃はルーティンでした」と懐かしそうに話す北澤さん。
一時期は生態系や生活スタイルの変化によって
ヨシ原もずいぶん減ってしまっていました。
自分たちの思い出の場所の美しい姿を取り戻すため
活動を続けてきた北澤さんたちの力によって
いまではヨシ原は増えてきているのだそう。
また鳥飼さんも
「ヨシを見たり、触れながら、ヨシの大切さを学んでほしい」
という想いで、今回のヨシ紙つくりのような
ヨシに触れられる活動に取り組んでいます。
今回は自分たちでヨシ紙を作りましたが
企業でも使える本格的なヨシの名刺や
プリント紙も実際に販売されています。
2025年に開催される関西・大阪万博では
ヨシを使用した生地でユニフォームも作られるそう!
昔から生活のなかにあったヨシですが、
いまの生活の中にもヨシが活用できる場面が
たくさん存在しているのかもしれません。
そんな新たなヨシの未来を感じる
フィールドワークとなりました。
次世代のクリエイターと琵琶湖を感じ、環境の大切さを学んだフィールドワーク
今回のフィールドワークは、
琵琶湖の魅力を発信するクリエイターチーム
「NEXT BIWAKO CREATORS」のメンバーも参加した
琵琶湖を感じるフィールドワークの第二弾でした。
自然いっぱいの近江舞子で
参加者の人たちと貴重な時間を楽しみながら、
ヨシとはどんな植物なのか、ヨシはどうして支えられてきたのか
様々な角度からヨシを知ることができました。
湖や水辺に行ったときや通りがかったとき、
環境を守る、背の高い大切な植物「ヨシ」。
みなさんも見つけてみてくださいね。
※この記事は、滋賀県の「びわ湖の日情報発信事業」の一貫で、『しがトコ』が企画・取材を担当し制作しました。