カルチャー

滋賀から発信!個々の表現の”つながり”が新たな価値を生み出すアートプロジェクト

【しがトコPR:滋賀をみんなの美術館に】

一つひとつの個の表現も、
つながり、重なり合うことで大きな渦となり、
時代の新たな価値を作り出していく。

例えば、伝統文化が息づく職人の手仕事や、
日常の暮らしの中で脈々と受け継がれてきた地域独特の風習。

美術館で展示される前衛的な表現や、
自然の美しさを鏡のような湖面に写し込む琵琶湖も、
滋賀の真ん中にある巨大なアート作品のひとつ。

滋賀には、時代を横断しながら一本の鎖のように繋がっていく、
たくさんの“美の魅力”が溢れています。

それは視点を変えれば滋賀そのものが、
まるで大きな美術館のようでもある。

そんな想いとともに、滋賀県が主導でスタートした
アートプロジェクト「滋賀をみんなの美術館に」。

そのコンセプトに賛同するアート団体の中から、
2022年度は以下の、8つのプロジェクトが選出されました。(順不同)

浄厳院アーティストinレジデンス・浄厳院現代美術展
国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2022
変化するための食とアートのプロジェクト
近江多賀 山行きBOKKO
堅田*はまさんぽアートプロジェクト2022
電車と青春21文字プロジェクト
ナガハマグラスフェス2022
たいまつ展示2022

オンライン成果発表会

集大成として行われたオンラインでの成果発表会では、
各プロジェクトの代表が、表現活動に込められたコンセプトや、
その成果を熱く語る姿も。

「アート」の素晴らしさや課題、
これから期待されることなどを考察し、
ますます魅力が伝わるようにと意見交流が行われました。

「つながりたい」

2020年にコロナ禍が始まってから、早3年。

当初は物珍しさや便利さも手伝い、仕事や授業、飲み会など、
多くのものがオンラインでも代替できると感じました。

ですが、3年が経過した今、
私たちは他者との触れあいや、直接会うということの価値、
その尊さに否応なく気付かされています。

また、“今”や“ここ”に貼りつけられたコロナ禍は、
一人ひとりが自分に向き合う時間でもありました。

だからこそ、withコロナ時代に突入した今、
私たちは誰かとの、何かとのつながりを、
心の底から望んでいるのではないでしょうか。

「つながりたい」という人々の渇望は、
2022年のアートプロジェクトにも大いに反映されています。

地域で継承されていくもの

最初に皆さんと考えたい「つながり」は、
「過去ー現在ー未来」という、
文化の継承についてです。

「一般社団法人三銀蔵」さんの企画『近江多賀 山行きBOKKO』では、
林業や炭焼きの盛んだった多賀の蔵から見つかった
山仕事用の作業着「ぼっこ」をアートに昇華させました。

展示の様子

古いものでは江戸後期と推察されている
つぎはぎだらけの「ぼっこ」は、
山仕事の過酷さや当時の暮らしぶりを伝える貴重な文化財です。

近くで見ると、重い荷物を背負ってできた擦れと、
丁寧な当て布、それらをつなぐ一針ごとの美しさに魅せられます。

昭和の山仕事の様子

山仕事の記憶が刻まれ、美しさすらも兼ね備え、
「尊い仕事である」というところに到達した点にも、
プロジェクトの意義を見出しました。

また、「文化遺産としての松明を次世代へ贈る会」による
『たいまつ展示2022』では、
近江八幡市内で現在も大小200基が結われる松明の
制作と展示が行われました。

たいまつ展示2022

巨大で不思議な造形美を持つ松明は、
国の無形民俗文化財に登録されている
「近江八幡の火祭り」にも欠かせません。

縄を使って松明へと結っていくヨシは、
一本一本はとても細く、小さなものです。

私たち人間が一人では多くを成し遂げられないように、
松明もまた、小さなものを「結いの精神」で紡いでいくものと、
団体代表の大西實さんは語ります。

たいまつ結い

「ぼっこ」と松明はどちらも
地域の歴史や暮らしに密接した美を扱ったアートプロジェクトであり、
祖先と自分、そして未来を生きる人々との
「つながり」を感じられるものですが、
いくつかの課題に直面もしています。

「山行きぼっこ」プロジェクトを手がける澤田順子さんは、
国内よりも海外で「ビンテージ・ボロ」として価値が見出され、
浮世絵のように流出してしまうのではと懸念しています。

河川敷で干されるぼっこ3

ですが、国内外を問わず、価値を適切に見出し、
保存、または活用してくれることが
重要かもしれないという意見も出ていました。

「文化遺産としての松明を次世代へ贈る会」では、
素材となるヨシや稲わら等の不足、
そして結い手の後継者不足が課題となっています。

たいまつ結いに参加する子ども

地域の生業と分かちがたく結びついているための課題ですが、
近江八幡市だけで解決しようとせず、滋賀県下など、
広域でのネットワーク作りに光明があるのではと、
評価員からのアドバイスもありました。

多くの地方、地域が抱える課題に
アートの側面から向き合うことで、
滋賀から全国へ、地域が持つ魅力的な文化を継承していくための
ひとつの答えを提示できる可能性があるのではと期待が向けられています。

アートのプラットフォーム

次の「つながり」として、
滋賀がプラットフォームとなり、
人や場をつないでいく働きも見えてきました。

『電車と青春21文字プロジェクト』では、
「始発駅・友情・平和」をサブテーマに
21文字メッセージの公募が行われ、
全国から4557点もの作品が寄せられました。

青春21文字中吊り

歌人の俵万智さんが最終審査員を担っていることも関心を引く理由ですが、
応募者の年代層は20歳未満から高齢者まで幅広く、
「青春」が世代を問わず当事者になれるテーマであることがわかります。

今年度の活動では滋賀県立美術館での展示も行われ、
言葉をどう展示するかを考える機会になったと、
代表の福井美知子さんは語ります。

毎年恒例となりつつある鉄道を利用した展示では、
地元民から旅行者まで、多くの人々の目に留まるものとなりました。

21文字第1回外観

さらに今年度の活動では、
地元出身のメジャーバンド「ゴリラ祭ーズ」による楽曲制作が行われ、
「21文字のうた」が完成。

21文字ゴリラ祭りーズ1

文字を声や音楽、展示とするなど
「言葉の見せ方」にはまだまだ可能性があり、
今後、どのような進化を遂げるのか、楽しみなプロジェクトです。

また、『ナガハマグラスフェス2022』プロジェクトでは、
長浜市に点在する歴史的建造物や古民家などが会場となり、
全国から多彩なガラス作品が集まりました。

北近江サケグラス公募展

「ナガハマグラスフェス実行委員会」の田中仁さんは、
地方からのお客様や、ガラスを学びに訪れる作家の姿もあったと考察します。

伝統工芸の継承だけでなく、
現代アートへの再構築も見所のひとつ。

ユニークなアイデアの光る作品も数多く見受けられました。

アユの酒器

歴史を重んじると同時に、
新しい時代のアイデアを取り入れ続ける。

アートプロジェクトを進めてきた滋賀だからこそ、
全国のアートの容れ物=美術館
としての役割を果たせるのでしょう。

芸術は、ある日突然できるものと思われがちですが、
芸術家にも生活があります。

アーティストが技術を磨き合い、
芸術だけで食べていけるプラットフォームになれば、
さらに滋賀が魅力的な町になるのではないかという
切りこんだ言葉も飛び出しました。

日常と非日常のはざま

ここで少し立ち止まって考えたいのは、
アートとは特別なものだろうか?
ということです。

成安造形大学の学生有志による
「地域とアートプロジェクト実行委員会」のプロジェクト
『堅田*はまさんぽアートプロジェクト2022』では、
代表で、同大学学生の清水あかりさんを筆頭に、
日常のなかにアートが馴染む光景を展開。

堅田はまさんぽ

また、今年度の活動では、
「堅田今昔物語」と称し、
当時と今の写真を見比べる企画も行いました。

地域に寄り添い、
「まち歩きをしながら、ときどきアートを感じる」という
コンセプトがきらりと輝くプロジェクトです。

一方で、やはりアートは日常と切り離されているからこそ、
圧倒され、心を動かすという側面もあるでしょう。

『国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ』プロジェクトは10回目を迎え、
過去最大の規模で開催。

国内外のアーティスト約70組が、
滋賀の歴史ある町並みを現代アートと共鳴させ、
一日では回りきれないほどの美の祭典を創りあげました。

BIWAKOビエンナーレ

2022年のテーマは「“起源~ORIGIN”」。

集まった作品たちは、
生まれた瞬間から死に向かいながらも、存在意義を問い続ける、
そんな私たちの五感を揺さぶり、
内なる感動や生きる喜びをも感じさせてくれます。

BIWAKOビエンナーレ

総合ディレクターの中田洋子さんは、
2001年の初回から20年余りの月日が経ち、
発展を遂げた町の様相に感無量と思いを馳せます。

何を日常と捉え、
何を非日常なものとするか。

その価値観に揺らぎが生じたとき、
ありふれた風景や、
いつも見ているはずの全てのものにすら、
アートを感じることができそうです。

SDGs的側面から見たアート

今回の発表会では、
「SDGs」というワードも挙がりました。

様々な文化や価値観を持つ世界の人々が、
それでも同じ地球に住む者として、
貧困や差別、人権、環境などの問題を解決していくために
アートにできることが、必ずあるはずです。

『堅田*はまさんぽアートプロジェクト2022』では、
誰かが絵を描いたビニール傘を、
全く知らない誰かが持ち帰るという
偶発的な出会い、
間接的なつながりの創出に面白みがありました。

会期中、50本作成された傘のうち、
38本が誰かの手に渡るという盛況ぶり。

ですが、「ビニール傘」という選択がSDGs的にどうだったかなど、
議論を生み出すきっかけにもしてほしいという意見もありました。

答えがひとつではないからこそ、
地球のために何ができるのか、考えていきたいですね。

SDGsを一般の人にもわかりやすくアートに取り入れ、表現したのは
「一般社団法人コニャンナーレ」による、
『変化するための食とアートのプロジェクト』。

全体

廃棄野菜も使った制作では、
「食べるまでがアート」と考え、
実際に展示に使用した野菜を食す場面もありました。

オーブン焼き

さらに、ベルリンでフードアート活動を行うTainàさんとのコラボレーションや、
子どもたちを巻き込んだフードアートの楽しみ方も模索中です。

taina

3年に渡る活動は、
「2022文化で滋賀を元気に!賞」も受賞しました。

思考ではなく感性で体感できるプロジェクトは、
私たちに大きな学び、気付きを与えてくれます。

瀬戸内国際芸術祭や大阪関西国際芸術祭を目標に見据えつつ、
今後は郷土料理や発酵文化を活かし、
滋賀でしか味わえないつながりをもたらすプロジェクトにしたいと、
代表理事の中森健さんも意欲的に話していました。

他にも、『ナガハマグラスフェス2022』プロジェクトでは
廃ガラスのアップサイクル作品の創出、
『山行きぼっこ』プロジェクトでは、
「ぼっこ」そのものが究極のSDGsであるというお話もあり、
環境問題への関心の高さが伺えました。

場の力と平和への願い

「場の力」という興味深いワードを仰ったのは、
『浄厳院アーティストinレジデンス・浄厳院現代美術展』
プロジェクト代表の西川のんきさんです。

海外から招致したアーティストたちが、
織田信長創建のお寺で寝泊まりをしながら制作を行いました。

Atarts 制作風景

このプロジェクトには、ウクライナ人アーティストの
マリア・ルイーザ・フィラトヴァさんも参加。

マリア・ルイーザ・フィラトヴァさん

彼女は滋賀の田園風景にふるさとに似たものを感じ、
戦争画ではなく、平和な風景を描きたい
と気付いたそうです。

場が人を変え、人が場を変えていく。

アーティストの放つ力が場や人に影響し、
また、場の持つ力が人や作品に影響しあう感覚もありました。

パフォーマンスや交流を通じて文化を共有し、
想像力を豊かにすること。

それが、無限に広がる「場の力」の強みでしょう。

ローカルからグローバルへ、
平和のためにアートができることは、
まだたくさんありそうです。

滋賀をみんなの美術館に

滋賀に行けば、アートに出会える。

各プロジェクトを通して、
そんな感覚が国内、そして世界へと広がっていくビジョンが
見えてきているように思います。

ですが、滋賀がアートシーンで唯一無二の存在になるためには、
個々のプロジェクトがバラバラになっているのではなく、
「滋賀」という大きな掌の上にすべてが乗っているような
プロジェクト間の「つながり」も必要になってくるでしょう。

それでも、もうすでに、
滋賀には回りきれないほどのアートが点在し、
訪れる人々を驚かせ、楽しませています。

そして、滋賀がみんなの美術館になるためには、
アートを愛し、見に来てくださるファンの存在も不可欠です。

ぜひ滋賀を訪れ、
美的感覚を働かせながらアート巡りを楽しみ、
滋賀の持つ、場の力を持ち帰ってほしいと思います。

もっともっと愛される滋賀を
未来につないでいくために、
皆さんとの「つながり」を大切に、
これからもアートプロジェクトを続けていきます。

提供:滋賀県 「滋賀をみんなの美術館に」プロジェクト http://bino-shiga.net/

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